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今徒然草 その一「はじめに」

 今年3月、長年勤めていた会社を退職した。
世間に名の知れた優良企業だったが、敢えて大きな傘から出て、私は何の肩書きもない無職人となったのだ。

 別に仕事が忙しくて自分の時間が無かったというわけではないし、土日祝日はちゃんと休みを取れていたのだが、何故か気持ちにゆとりが無かった。平日は朝起きて支度して出社し、夜帰宅するとごはんの用意をして食べ、TV観てお風呂入ってスマホいじって寝る、という繰り返し。休みは少し寝坊して溜まった洗濯や掃除・買い物その他もろもろ、時間あれば本を読んだりTV観たりネットサーフィンしたり、映画を観に行ったり友人とランチしておしゃべりしたり。それはそれで幸せだった、と思う。
 ところが、フリーダムな生活を送りはじめたある日、外出をした時ふと空を仰いで「空って、こんなに遠くて青かったんだ」と今更ながら感動した。春の穏やかな日だった。私は自分の周囲半径5メートル以内ぐらいにしか目を向けていなかったのだ。
せっかく四季の移ろいの美しいこの日本で、自然に触れることの出来る環境に居ながら、随分長い間この目で楽しんでいなかった事が勿体なくて、過ぎ去りし時を惜しいと思った。

 私はこれからどの様な道を進むのかわからない。また前と同じ規則的な会社員生活を送るかもしれないし、フリーダムに生きていくかもしれない。コロナ渦の中もしかして明日感染して死ぬかもしれないし、ヨボヨボのおばあちゃんになるまで長生きするかもしれない。ただ、もう少し色々なところに視線を向けて、感じた事・考えた事をここに書き留めていこうと思う。

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