見出し画像

鑑賞レビュー:GYRE GALLERY(表参道)アニッシュ カプーア 奪われた自由への眼差し 監視社会の未来

1月26日、表参道のジャイルギャラリーで開催中のアニッシュ カプーアの展覧会 「奪われた自由への眼差し 監視社会の未来」を見に行きました。

展示を見る前には虚淵玄のアニメ作品 psycho-passを彷彿とするような、スリリングなタイトルと、ウェブサイトの混沌としたイメージ画像から、どんなおどろおどろしい展覧会なのかと思ってちょっとドキドキしました。

ギャラリー内には焼け焦げた肉の塊みたいに見える赤と黒と白のどろどろオブジェ(固まってますけど)が点在し、ちょっとダークなイメージに見せている空間に、鮮やかな色彩のドローイング作品が展示してあり、展示室内が外部とは異なる世界としてつくられているのかなと思いながら絵に近づいてみました。

作品名はすべてUnlimited。
具体的な何かを描いたものではないという事でしょうか?

Unlimited
紙 ガッシュ
Unlimited
紙 ガッシュ

どの作品にも一部には赤が使われており、ドローイングの力強い筆致と協奏して全体的に情念や欲望など人間のプリミティブな意識や血、肉、温度、混沌としたエネルギーを感じさせます。強い色が使われていますが、色彩は洗練されており、切れ味の良い表現に美しさを添加しているようでした。

この展覧会ではジェレミー・ベンサムの提唱したパノプティコン(一望監視)やジョージ・オーウェルの小説「1984」に起因する、日常においての不安を掻き立てられるデストピアのなかで人の情動がどのように作用していくのかを見つめることを促されているのではないかと考えました。

現在、社会全体ではつねに国民総生産や株価などの数値が評価基準となり、人に対しても学歴や年収、資格、あるいは能力の有無などが人間の評価の対象となり「多様化社会」という言葉が虚無的に響きます。

効率化、均質化、数値化、予測可能化、マニュアル化など、非人間的管理化が進む中で人のなにがはみ出し、取り残され、ぶすぶすと燃え残ってのかを想像しました。

【おまけ情報】

このギャラリーのある表参道のJYROの地下にTAMITU(たみつ)というはちみつカフェがあります。一般的なカフェメニューもあるのですが、ブレンドしたはちみつ(ヒーリング・ビューティー・エンパワー・プロテクトの4種)をお湯やソーダで割っていただけるはちみつドリンクをこのビルに来たときには必ず立ち寄っています。

今は寒さで体に負担のかかる季節なので、展覧会を鑑賞した後プロテクトブレンドのお湯割りをいただいてほっこりあたたまりました。


ほっかほっか

はちみちがお嫌いでない方はぜひ💛





この記事が参加している募集

散歩日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?