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鑑賞レビュー:根津美術館 物語る絵画 涅槃図・源氏絵・舞の本…だけど…

こんにちは、9月のはじめから急病で長期にわたって入院することとなり、退院してきたので久しぶりの投稿です。

「物語る絵画」展は、2023年8月20日まで開催されていた展覧会なのですが、この1か月はおなかが痛くてなにもできず2か月余りたってからの投稿となります。

激暑の記憶をたどりながらちょっと書きますが、じつは、この展覧会では、私、伝岩佐又兵衛作といわれている「妖怪退治図屏風」のインパクトが強すぎてほかのことを全部忘れてしまいました。

根津美術館のコレクションは源氏物語絵巻や宗教絵巻など品格が高くスタイリッシュな作品が多いので、古典の物語や史学に疎い私は見ているときには楽しいのですが見てもすぐ忘れてしまいます(すみません)。でも、豪華で美しく、美意識をたかめてくれるような作品はたくさんありました。

しかし、その中でも一等光って見えたのは伝岩佐又兵衛の妖怪退治図屏風(個人蔵)でした。

妖怪退治図は江戸時代(17世紀)の作とされ、最近になって能の演目である「田村」を主題として、田村丸が妖怪(鬼?)退治をする場面を描いたということが判明した八曲一双の屏風。(大きさは”大きい”としか言えない)
作風から岩佐又兵衛のものだと言われているので「伝」とされており、もしかしたら工房の作品かもしれません。

画面は向かって左下段にすやり霞(金色の雲)に囲まれたた中には馬に乗って矢を射る武装集団 田村丸一行、そして右側やや上段、黒い雲の中に応戦する妖怪一行も甲冑や兜を身に着けているのですがちょっと異国風?
表情も目をむいてたり大きな口を開けていたりして剽軽なのと、その衣装の色彩が鮮やかで洗練されているので視線が釘付けになってしまいました。

妖怪の中にはヒョウ柄の首まきをしたものも!

作品から遠ざかり少し離れて見ると背景は金雲と黒雲のコントラストの中に緑色の松が点在し、全体的には豪華で荘厳な雰囲気ですが、それよりも対角線上に”方向性のある塊”として描かれた田村丸一行と妖怪一行に視線が流れるので派手な背景に主題が負けないで浮かび上がっているように見えます。
そして手前に描かれた松が影響し、上下だけではなく奥行きの空間も感じられ退屈のない表現です。

近寄ってみると武将の動きや表情もじたばたとさまざま。してやったりと少し笑っているような表情のものも見られます。

また、妖怪たちの表情もなんだか可愛らしく、色彩も軽妙なために怖さやおどろおどろしさは感じられません。ちょっと、アニメやマンガにでてくるような…。
岩佐又兵衛の特徴である風俗的表現がみられるゆえに作者ではないかと言われているのかもしれません。

有名な絵ですがネット上で利用できる適切な画像がみつからず!

美術展ナビの記事にリンクを貼っておきます

(日本の美術館の作品は画像利用や写真撮影がフリーになっていないものが多いので、足を運んで実物を見ないとわからないかも)

他、おぼえているのは源氏物語を主題とした「浮舟図屏風」。
源氏物語が(チャラすぎて)あまり好きではないのでぼんやりとしかわからないのですが、その作品は驚くほど大胆なデザイン的要素のある絵画です。

やはり、日本の古典絵画を鑑賞を深めるためには現代語訳でも源氏物語は読んだほうがいいかもしれませんね。
今期の課題はまず紫式部日記と源氏物語は読む!

夏の盛りではありましたがお庭の木陰は清々しく、散策を楽しんで帰りました。


渋い。


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