大学受験「総合型選抜」とは?〜人物重視の入試を受けるポイント〜(基本情報)【165】
以前の記事では、総合型選抜の入試の魅力と全体概要についてお話いたしました。今回は「総合型選抜とは?」というテーマで、入試の特徴や受験する上でのポイント、そしてどんな生徒に向いているのかなどを中心にご紹介いたします。
大学入学選抜方法
日本の高校で学んでいる生徒のみなさんが大学入試を受ける場合、多くは「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」のいずれかを受験することになります。
「一般選抜」
こちらは1から2月に行われ、学力試験が中心となっています。いわゆる受験勉強をして、当日の試験のスコアで合否判定を行うものです。日本の受験勉強のイメージに最も近いものかもしれません。
「学校推薦型選抜」
11月から12月に行われます。大学から提示された条件をクリアし、学校からの推薦をもらって受験するタイプの入試です。推薦の種類にも2種類あり、比較的競争率の高い公募制推薦と、校内での選考を経てから受験する指定校推薦があります。
この選抜では、国公立や私立、あるいは大学・学部ごとに試験内容は異なります。評価基準としては、高校での成績や課外活動の実績、また書類審査や小論文、面接などが中心です。一部、大学入学共通テストの結果を活用する大学もあり、学力試験自体を課す大学もあるので、詳しい試験内容については、各大学・学部の入試要項を確認する必要があります。
「総合型選抜」
今回記事のテーマとなっている総合型選抜は、9月から翌年の2月頃まで行われています。こちらも評価方法は、大学や学部によって様々ですが、学校推薦型入試に比べると人物評価を中心に行われます。
人物評価では様々な方法が用いられ、書類選考や小論文・面接などの他、プレゼンテーションやディスカッションなどの方法で評価されます。
この総合型選抜は、推薦系の入試よりも時期や方法は多様になります。また、近年では総合型選抜あっても、大学入学共通テストなどの学力試験も合否判定に含まれるようになってきました。そのため、入試に関する情報収集は重要です。
総合型選抜入試の内容
総合型選抜では、初めに受験する予定の大学や学部が求めている学生像(いわゆるアドミッションポリシー)に適しているかどうかを確認する必要があります。総合型選抜で行われる様々な試験は、すべてその学生像に適しているかどうかを測る試験として行われます。
具体的な試験内容は、こういったものがあります。
・調査書や志願書などをもとに行う書類審査
・小論文
・面接
・プレゼンテーション
・グループディスカッション
・スポーツや芸術などの実技系の大学・学部では実技試験
・資格検定試験の成績
・その他(模擬授業を受講しレポート提出など) など
入試のポイント
総合型選抜では、いろんな試験内容に基づいて評価されることが分かりました。私がこれまで多くの生徒のサポートをする中で、志願書、面接、小論文など共通して問われていると感じたことについて6つご紹介いたします。
「志望理由」
なぜその大学・学部を選択したのかが明確であり、かつ求められる学生像に適しているかどうかがポイントになります。
「高校生活」
高校生活の中で、自ら考えどれだけ行動に移してきたのか、そしてそれらによって学んだことをどのように活かしてきたかというのがポイントです。
「自己PR」
先ほどの高校生活を振り返っていくと、きっと自分の強みなどが見えてくると思います。それを元にエピソードを分かりやすく整理して、自分が学んだことや成長できたことなどを話せるように準備してもらいます。
「大学での学び」
これは、大学に進学した後に何を学びたいと思っているのかについて問われます。採用する立場にある大学・学部側が、受験する生徒が希望する大学でどんな学びがあるかをきちんと理解できているかを確認することもできます。つまり、採用側にとっては大学と学生のミスマッチを防ぐというメリットがあります。そのため、受験生は大学や学部に関して、入念に調べておく必要があります。
「進路」
大学を卒業した後、どのような進路を考えているのかを求められます。これは、具体的に実現できるものかどうかが重要なのではなく、今ご自身に興味があることや、これから進学して学ぼうとしていることを社会でどう活かそうとしているかを問われています。そのため、今生徒自身がやってみたいと考えていることで、それが大学に行って学ぶことによって、どのように磨かれていくか、そして社会に出た時にその学びをどう発揮したいと思っているかを考えていただくことが必要です。
「専攻分野」
こちらは、もちろん大学レベルの知識や技能といったものが求められるわけではありませんが、専攻したい分野に関して、高校生の間にどんなことを経験し学んできたのかが問われます。
例えば、農業系の大学で食品関係の学科に進みたい場合、興味があるだけで何も行動していない生徒と比べると、自分なりに食品開発に関する体験をどこかでしている生徒や、体験まではできていないまでも、書籍や新聞などから学んでいろんなことを考えている生徒の方が、主体性や行動力があると判断されやすいです。また、当然ではありますが、大学に入ってからも自ら学べる学生を大学は求めています。
以上6点を少し強引にまとめると、どれだけ自分で考えて行動してきたか、また、その経験から何を学び、次のステップにつなげたのかが問われているのです。
こんな生徒におすすめ
そのため、総合型選抜というのは、多少の向き不向きがあるかと思います。高校生の段階で自分の取り組みたいことがはっきりしていて、何か行動に移すことができているのであれば、総合型選抜の合格ができる可能性もあります。しかし、総合型選抜を受験することになっても、一般選抜の勉強を怠るのはおすすめできません。その理由として、まだ一般選抜を受ける可能性があることと、総合型選抜でも学力試験を課される可能性も十分にあるからです。専攻する分野に関する知識や熱意だけでなく、基礎的な教養としての学力もある程度必要とされているのです。前回の記事でも述べましたが、私はこれはとても大切なことだと思っています。
それでは、もう少し具体的にどのような人におすすめできるかについて、以下の3つにまとめておきます。
「主体的に行動してきた人」
学校内での活動、留学・国際交流、学外での活動などをおこなってきた人です。私がこれまでにサポートさせていただいた生徒の例をご紹介いたします。ある生徒は、放課後に理科の実験教室に通っていてそこから科学に興味を持ったことがきっかけで食品関係の道に進みたいと考えたそうです。その後も、自身で食品開発の体験に参加したり、書籍などから学んでいました。また、国際経営に興味を持っていたもう一人の生徒は、学校内での国際交流に力を入れて複数のプログラムに参加していました。また、そこで英語でのディスカッションや異文化交流に力を入れてたり、留学して英語で経営や経済の勉強をしたそうです。
そういった生徒にとっては、向いているかもしれません。
「専門的に学びたいことが明確である人」
高校で取り組んできたことを、大学に入ってからどのように学びにつなげるのか、さらに大学で学んだことを活かして、卒業後社会にどう関わっていこうとしているのかのビジョンがある程度確立されているのであれば、受験をおすすめできます。
「興味があって取り組んでいることがある人」
上の2点にもあるように、自分の興味や関心が明確になっていて、高校生からその活動を始めることができている場合、その経験というのは今の一般選抜のペーパーテストではなかなか測れません。よって、そういった自分の興味関心に基づいた探究心やその行動、学びなどを総合型選抜で発揮することをおすすめします。
以上が「総合型選抜」に関する基本情報になります。次回は、具体的にどのような対策が必要なのかについてまとめておきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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