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「先生は他の仕事もあって忙しいから、、、」- 教員の仕事とは生徒に直接関わることを優先すべきではないのか?【154】

 今日は、オンラインで日本の高校3年生の一般推薦入試の対策をさせてもらった時に感じた「日本の教育」への悔しさについて記録しておきたいと思います。

 私は現在、日本にいる高校生の総合選抜型入試の志願書や面接・小論文などの準備のためのサポートをオンラインでさせていただいております。

 私もかつて公立高校の教諭でした。現場にいた時は、夏休み明けからこの時期までとても忙しかったのを覚えています。夏から秋にかけての総合選抜型の入試が落ち着くと、冬に向けて大学共通テストや一般入試へ向けての準備が本格化していきます。そんなとてつもなく忙しい日々の中でも、生徒の進路に関わる指導は優先すべきことだと考え、できるだけ時間を割き、事前アポを取ってもらいながらなるべく多くの生徒たちをサポートしてきました。

私が今「総合選抜型入試サポート」でしていること

 大学や日程によって、選抜方法は変わってきますが、概ね志望理由や高校時代の活動などについて記載する「志願書」の添削、「面接」の準備・「小論文」の書き方の指導・添削などを行なっています。
 そして、何より重要なのが、全ての活動を始める前にこれまでの自分が考えてきたことを明確に振り返る作業を徹底的に行うということです。

 現在の私の役割というのは、生徒が自己の振り返りを行う手伝いをすること、そして第三者として高校生が表現したいことと、それを言葉や文字に表した時にずれが生じていないかなどを確認することです。

 教科の勉強とは違い、自分が考えていることや経験してきたことを言葉や文字にするのはとても大変なことです。
 サポートする立場として、生徒によって考え方や経験が一人ひとり異なるため、教科指導よりもさらに丁寧なサポートが必要になると考えています。

学校の先生が一人ひとりを丁寧に見られない現状

 生徒たちと共に過ごしてきた時間が長い先生たちは、生徒にとって自己分析をする時の強い見方になります。
 しかし、オンラインで生徒たちの話を聞いていると「学校の先生に聞こうと思ったんですけど、先生は他にも仕事があるからなあ、、、」と言われたそうです。
 また他の生徒は「他の生徒の分も見ないといけないから、、、」と言われたとのことでした。
 私は生徒に対し「じゃあいつ空いているかを確認してアポ取っておいたらどうかな?」と聞いたら、「会議とかテストの採点とかがあるから、いつ空いてるか分からないと言われた」とのことでした。

 高校現場にいた人間としては、先生が忙しい現状というのは大いに理解できます。
 私が勤めていた学校では、総合選抜型入試の対策を専門的に担当するところがなかったので、生徒は個人的に先生に頼みに行くことになります。そして、ピークとなる夏休みから秋口にかけて好意で受けてくれた先生には大きな負担がかかることになります。そこで私は、個人に任せるのではなく、進路指導部の仕事としてチームを作ってほしいと校長に頼みましたが、一般入試に比べて受験人数が少ないことを理由に断られてしまいました。推薦入試の担任の負担なども考えて再編してもらいたいと考えていましたが、うまくいきませんでした。しかし、たとえ人数が少ないとしてもその生徒たちにとっては大切な進路です。

 生徒の進路指導というのは、授業と同じぐらい重要です。授業や生徒指導、進路指導など直接生徒に関わることは優先して行えるように環境整備をするべきだと思っています。
現場の先生は何を優先すべきなのかが分からないぐらい忙しくて疲弊しているのではないでしょうか。

今の学校教育の問題点

 日本の教育現場が抱える問題というのは、いろんな要素が複雑に絡み合っているため、解決するのがとても難しいように感じます。
 しかし、教科の授業だけで放課後を迎えるのではなく、授業時間の中に自分の進路について考えたり先生と話す時間なども設定してほしいと思いました。
 私もかつては、生徒たちが1時間目から6〜7時間目まで授業があって、昼休みや放課後でしか進路指導がしっかりとできませんでしたし、そもそも生徒とゆっくり話すこともままならない状況でした。

学校の先生にゆとりを

 オランダで学んだことは、学校の先生は小学校から高校まで、基本的にゆとりをもって仕事をしているということです。そうしなければ子どもたちに必要なサポートを施すことができません。
 子どもたちへのサポートのパフォーマンスが落ちないよう、「先生の仕事とは何か」を改めて考える必要があると思いました。
 もう「何でも屋」としての仕事ではなく、子どもを育てるプロとしての自覚が持てるようにあってほしいと思います。先生たちが対生徒のケアを最優先にできる日が一日でも早く来て欲しいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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