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 2026年からスタートするIBDPの「国際政治」の科目概要について日本語でまとめています。私は元公立高校の社会科の教諭をしていたので、日本以外の社会科のカリキュラムに興味があって、海外で暮らす生徒たちの日本そサポートをしながら自分自身も学んでいるところです。
 この記事を見て、社会科の学び方に関する視野が広がる助けになれば何よりです。

コースの説明とねらい

 この科目では、私たちが住んでいる世界がどのように機能し、その世界を変化させるもしくはその変化を防ぐのかについて理解を深めます。私たちが暮らす社会は、政治と国際関係の研究、そしてより広範な社会科学と人文科学による伝統的な規律によって形成されています。生徒は、現代の政治問題や課題に批判的に取り組むことで、政治活動とそのプロセスの様々な次元に関する知識と理解を構築します。

 特にそれらの学習を行う上で、コースの概念・学習内容(コンテンツ)・現実世界の事例(コンテクスト)に焦点を当てて学びます。

・権力、主権、正当性、相互依存などの概念は、コースを通して探求され、批判的に検討されます。
コンテンツは、政治システムとアクター、権力の相互作用、フレームワーク、条約と条約、用語、分析モデルを含む、さまざまなグローバル政治トピックを通じて問い合わせを通知します。
コンテキストは、現代の現実世界の例やケースを通じて、問い合わせを多様化し、形作り、チャネルします。

 これらの学習を通して、以下のようなことが可能になります。

現代の国際政治における権力を探求し、評価する
国家および非国家主体が政治システム内でどのように運営し、相互作用するかを調べる
・複数の視点から現代の政治問題と課題を調査し、分析する
・共同や機関を通じて、積極的なグローバルシティズンシップへの生涯にわたるコミットメントを開発する

カリキュラムモデルの概要

 SLコースを修了するのに150時間、HLコースを修了するのに240時間が推奨されています。

コアとテーマ別学習

SL,HLともに125時間
権力や国際政治を理解する

・テーマ別学習
 ①権利と正義
 ②発展と持続可能性
 ③平和と対立

内部評価

SL25時間、HL35時間
探究型プロジェクト

HL拡張学習

HLのみ80時間
国際政治の挑戦

評価目標

・知識と理解を示す
 権力関係、政治的概念 、関連するソース資料 、政治的問題と課題

・アプリケーションと分析
 関連する概念やツールを適用して、さまざまな文脈で現代の政治的問題や課題を分析する
 ソース資料の情報、主張、視点を特定し、分析する
 議論を策定し、提示し、維持するために、関連する証拠を特定し、分析する

・合成と評価
 国際政治に関する証拠(ソース資料を含む)を合成し、評価する
 国際政治への視点とアプローチを合成し、評価する
 政治的信念、立場、偏見に関する視点を検討し、統合する

・適切なスキルの使用と適用
 政治的問題や課題を研究し、調査する
 政治的問題や課題の分析を伝える
 研究と調査のプロセスと結果を反映する

評価の詳細

○外部評価
試験問題1(1時間15分、SL:30%、HL:20%)
 国際政治のコアからのトピックで扱われる資料に基づいた質問
試験問題2(1時間30分、SL:40%、HL:30%)
 テーマ別研究の所定の内容に基づき拡張された質問
試験問題3(HLのみ)1時間30分(30%)
 HL発展項目「世界的な政治的課題」に関連する興味・関心ベースの質問

○内部評価
(SL:25時間、HL:30時間、SL:40%、HL:30%)

問題のサンプル

・試験問題に含まれる資料とあなたが研究した1つの例を使用して、国際協力が一部の州にとって問題になる可能性がある理由を説明してください。
・開発は常に不平等をもたらすという見解について話し合ってください。
・永続的な平和を達成するために、構造的暴力への対処はどの程度重要になりつつありますか。
・あなたが調査した2つのケースを参照して、複数の世界的な政治的課題のつながりを述べてください。
・2つのケースを参照して、世界的な政治的課題に対処するための国際政府機関の有効性を評価してください。

まとめ

 知識を活用した現実世界における国際政治の分析や評価が求められるカリキュラムであれば、知識を定着させるだけではなくそれらを統合してどのように説明を展開するかが重要になります。知識の活用にも注目することで、生徒自身の思考力や論述する力もつけることができ、学習内容以上の学習する能力も身につけることが期待できるのではないかと思います。

 現在日本では、政治と経済は同じ科目の中に位置づけられています。社会科全体の科目間のバランスの関係で、科目を統合せざるを得ないこともあるかもしれませんが、その分1つずつの単元に避ける時間が短くなり、内容が薄くなってしまいます。政治や経済は、私たちの生活に非常に身近な科目でもあると思うので、現実世界の見方が広がるような学びになってほしいです。

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