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大学受験「総合型選抜」とは?〜人物重視の入試を受けるポイントとは〜(準備と対策)【166】

 10年以上の学習塾や公立高校教諭の経験を元に、大学受験に関する情報を保護者、その他教育関係の方向けに情報発信させていただいています。そして、大学入試「総合型選抜」に関する基本情報を、これまでの記事でお伝えしてきました。この記事からは、高校生の各学年でどのような準備を進めれば良いのかについてまとめさせていただきます。


高校3年生で準備すること

【STEP1「専攻」の決定】

 大学での学びを明確にするためには、まず初めに専攻をどれにするのかを決定しなければなりません。専攻が決まらないまま大学名だけで大学や学部選択をしようとすると、試験対策をする時に考えをうまくまとめることが難しくなることがあります。まずは、専攻を決定するところから始めてみてください。

【STEP2「志望校のリサーチ」】

 次に、希望する専攻に合う大学・学部の候補を複数用意するために志望校のリサーチを行います。求める学生像や受験資格、評価方法、試験日程などを比較しながら、志望校の絞り込みをしていきます。
 また、大半の入試では、「専願」での受験になると思いますので、「専願」「併願」についての確認も必ずしておいてください。

【STEP3「試験対策」】

 試験対策の内容は受験する大学・学部によって異なるため、細かい情報収集が必要です。その中でも共通しているのは、入学志願書・面接・小論文です。

入学志願書には、大抵「志望理由」「高校生活から学んだこと」に加えて、「大学進学あるいは大学卒業後のビジョン」について記入することもあります。それをもとに面接を行ったり、専攻分野に関係する小論文を課すところが多いかと思います。

※試験対策の注意点
 試験対策を始める上で、注意していただきたいことがあります。志願書・面接・小論文などを別個に準備しないことです。なぜなら、それぞれを別々に準備を進めてしまうと、後から一貫性を感じられない内容になってしまうことがあるからです。そのため、自分に考えについて整理する「自己分析」から始めていただきたいということです。混乱してしまうとなかなか収集をつけるのは難しくなります。自己分析については、次回の記事をご参考にしていただければと思います。

高校1年生が準備すること

 高校1年生の段階では、いきなり何かの入試対策を始める必要はありません。基本的には、入試対策を3年生になってから始められるような土台づくりを進めておくということになります。

進路について考えてみる

 身につけたいと思っている専門性や、これから取り組んでみたいと思うことについて考えを巡らせて紙に書き出してみてください。まだ思いつかない場合も慌てず、考えているうちに不意に何か見つかってくることもあります。

 また、学校の進路指導室に置いてある、大学のパンフレットや入試要項を見てみたりすると参考になるかもしれません。

 とにかく、具体的なことが決まっていなくても、ぼんやりでも、その後に変更があっても大丈夫です。それは、最終的にやりたいことが見つかるためのプロセスなので、そこに試行錯誤があるのであれば、全て大切な経験となります。

学校の勉強を大切に

 仮に何か自分のやりたいことが明確であったとしても、授業を疎かにすることはおすすめできません。それには、視野の広さを大切にしてほしいという理由があります。

 大学に進学あるいは社会に出てから、自分の好きなことだけができる人というのはほとんどいません。自分のやりたいことだけのことだけ考えていると視野が狭くなります。高校生として求められる学習は必ず取り組んでおいていただきたいのです。
 また、幅広い教養としての基礎科目の学習を大切にすることによって、効果的に学習できたり進路に関して新たに何かに気づく可能性が高まります。
一見自分がやりたいことと関係ないことであったとしても、そこから何かヒントを得ることも大いにあります。視野を広く保ち、いろんなことを学習できる機会を大切にしてもらいたいです。

高校2年生が準備すること

 1年生と3年生の間にいる2年生は、将来的に進みたい道をそろそろ明確にして、必要な準備に取り掛かることが重要です。そのため、「1年後、2年後の自分の姿」をなるべく具体的に想像するところから始めてみてください。

1年後、2年後の自分を具体的に想像する

 まず初めに、2年後の自分は大学生としてどんなことを学び、どんな学生生活を送っているのかを考えてみていただきたいです。また、そこから逆算して1年後の自分は受験生としてどんな大学・学部を目指しているのかを
なるべく具体的に想像していただきたいと思います。

 自分のこれからについて具体的に想像することができたら、自分に足りない経験を補うよう取り組むことが必要です。その不足していることに関しては、来年の受験を想定して入試要項などを確認すると明確になるかと思います。ただし、入試要項は3年生になってからも変更される可能性は十分にあります。必ず受験の年には最新の入試要項を確認するようにしてください。

 資格などが不足している場合は、資格試験を受ける準備をしたり、既に受験している場合は有効期限などもチェックしておいてください。私が過去にサポートさせてもらった生徒で、英語の資格試験の期限が受験期に切れていることが直前に判明して混乱したケースもありました。

 また、専攻分野に関する情報を集めるために、本を読んだり体験できる場所などに赴くなどをしておいていただくのが良いかと思います。大学レベルの知識は必要ありませんが、これまでにどんなことを経験し学んできたのかということを積み上げておくことが必要です。経験自体もとても大切なものですが、そこから学んだこと考えたことなどがより重要になります。なぜなら、同じ経験であってもそこから考じたことや学んだことは一人ひとり異なり、そこに評価するべき個性が現れるからです。

 最後に、今準備をしておいて最終的に総合型選抜を選択しないとしても、大学進学の選択として役に立つと考えていただきたいです。自分の進路と向き合う時間というのは決して無駄にはならないからです。ぜひ、まだ比較的余裕のある2年生のうちにできる準備を進めておいていただきたいと思います。

 以上、総合型選抜に関して準備しておいてもらいたいことについて、各学年に分けてまとめさせていただきました。次回は、「自己分析」の具体的な方法についてまとめていきます。自己分析については悩んでいる生徒も多いかと思いますので、参考になれば幸いです。

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