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2024年第1回IBDP日本語A SSST準備講座〜一時帰国に向けて「ブックリスト」の整理[415]

 5月の末から6月にかけて、IB MYP5の最終試験が終了した学校が多いようで、少しゆっくりとできる日々がインターの中学生に訪れているようです。私のIBDP日本語AのSSSTの生徒を対象とした講座でも、「今時間のあるうちに自分の日本語力で日本語Aを十分に学習できるのかを確認したい」「夏に一時帰国するから、その間にDPで使う日本語Aに関連する書籍を購入したい」という声が出てきたので、8月末から9月からスタートする日本語Aの準備を始めることにしています。授業はすべてオンラインのマンツーマン60分レッスンです。

 先週1回目の講座を行い、簡単な「自己紹介」と広告分析などを通じた日本語のアウトプット、それからブックリストの条件などを確認していきました。先週の授業内容について簡単に記録しておきます。

自己紹介

 SSSTで学ぶ生徒は、学校で言語Aに関する情報は手に入れることができても、日本語で得られる情報が不足していたり、そもそも日本語で学ぶ機会がほとんどないために、日本語で学ぶことに不安を持っている生徒が多くいます。そのため、いきなりDPのスタートとともに日本語Aの学習をスタートするにもそれぞれの生徒の日本語の力を見ておく必要があると思い、それぞれの生い立ち(主にこれまでの学習言語の経緯について)をまとめた作文を事前に書いてもらい、その表現自体を見たり、これまでの学習言語を確認して、総合的にそれぞれの生徒の日本語表現に関する現在位置をお伝えしています。
 また、それぞれの生徒が自分の生い立ちを簡単に書いた自己紹介文を他の受講生も見られるようにして、日本語の学習に対する不安の内容はそれぞれ違っても、少なくとも同じような不安を持って学んでいる人が自分以外にもいることに気づいてもらうようにしています。さらに、これから取り組む最終試験の練習解答や作品分析なども、共有してお互いに見合うことができた方が生徒たちの学習はより充実するのではないかと考えています。

 今年の担当する生徒たちは、自分のこれまでの日本国外での暮らしやこれからの日本語学習に対する不安を、それぞれの立場でとても分かりやすく文章で表現してくれました。日本での生活年数や年齢、日本国外での生活年数や言語などに関わらず、何かしらの不安があることが分かりました。

ブックリストの条件

 日本語Aの学習を始めるにあたって、日本語で書かれた文学作品を国外で手に入れることは非常に難しいです。そのため、夏休みの一時帰国に備えて日本語Aで使用する文学作品を明確にしておきたいという要望を面談の中でいただきました。

 実際に私がMYP5の時から日本語学習としてサポートをしている生徒も、学校から「チューターが決まっているなら、暫定で構わないので文学作品に関するブックリストを共有してほしい」という連絡があったりして、新学期からのスタートに向けてそれなりに準備することが求められているようです。

 そのため、私自身も生徒が事前に準備をすることで安心できる部分は取り組んでおき、安心してDPの学習がスタートできるようにサポートしたいと思っています。

 日本語Aのブックリストの条件に関しては以下の記事、動画でも説明しています。少し複雑なので、参考にしていただけたら幸いです。

日本語で簡単なアウトプットのワーク

 初回の授業では、事前に書いてもらった自己紹介の内容の確認とブックリストに関する条件を確認したところで、最後に日本語のアウトプットに関する簡単なワークを実施しました。ワークで取り組んだ内容として、過去に日本語Aの「言語と文学」の最終試験で出題されたことのある広告分析をすることにしました。その理由としては、詩や小説の分析になるとまだまだ日本語の読みに不安がある可能性もあるので、まず初めは取り組みやすい「広告」という題材で、広告が伝えたいことや工夫されていると思った部分などを素直にアウトプットしてもらいました。日本語でのディスカッションに慣れていない生徒でも、自分が感じたことをできるだけ詳細に伝えようとしたり、一人では気づけてなかった広告で工夫されていることなどに気づくことの面白さに気づけたようです。

 そして、これは単なるワークで終わるのではなく、同じようなことを言語で書かれた文章から読み取るのが最終試験の問題だったり、文学分析で必要なことだと伝えると、そういった隠された工夫を見つけることが面白いと感じるとともに、それができることで主題を正確に掴むことができるというメリットがあることも理解できたようです。

 最初の1回目としては、不安なところから希望や学ぶことの面白さなどを感じてもらえたのではないかと思います。次回は6月中に2回目が行われる予定で、その時は仮のブックリストを完成させ、短い小説の分析を行う予定です。

 最後までご覧いただきありがとうございました。IBDP日本語Aの学習で不安がある生徒の方で、サポートが必要であったりサポート内容について聞いてみたいという方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。


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