M-1グランプリ 2021 感想・採点メモ
1.モグライダー(637点/8位) 個人採点:91+2=93点/3位
今回の決勝進出コンビで唯一ネタを見たことがないため、youtubeでM-1決勝の前に「浜ちゃん結果発表」だけを見てきました。その時にも思いましたが、ツッコミの芝さんがとにかく上手い!ワードに過不足がなく、それでいて視聴者の気持ちをしっかりと代弁できており、今回もよくハマっていました。今大会で一番上手なツッコミじゃないでしょうか。
不安定と噂されていたともしげさんも、本番に関しては安定していたと思います。指折りの数え間違いとか、ふたご座を2回言うところとか、良い意味でミスなのか台本なのか分かりませんでした。
そして最後にさそり座の女を二人で歌う、Win-Winで幸せなオチ。トップの苦境を跳ね返せなかったのは残念ですが、2人とも売れそうだし、もっといろいろなネタを見たいと思わせてくれました。
※トップバッターのハンデとして、個人採点に2点上乗せしています。
2.ランジャタイ(628点/10位) 個人採点:87+1=88点/10位
思ったより早く出たのに、点数的に大ケガしなくて良かったと思いました。ランジャタイのネタ自体は過去のM-1敗者復活で見たことがあるのですがその時はハマらず、昨年の敗者復活も同様でした。それが「国民最低~!」から流れが変わり始め、今年の3回戦のネタを見たときは気付いたら笑ってしまうぐらいには虜になってました。
決勝ネタ自体はランジャタイにしてはわかりやすかったのですが、その分国崎さんが大人しく見えてしまいました。きっと感覚がマヒしてるんだと思います。伊藤さんの異常性も認知されていけば、更なるカオスなネタとして今年以上に大ハマりするかもしれません。最下位ではありましたが、なんだかんだ彼らがおいしく扱われていてよかったです。
※実は平均順位の低い2番手のハンデとして、個人採点に1点上乗せしています。(これは野田クリスタルさんも言及しています。)
3.ゆにばーす(638点/6位タイ) 個人採点:92点/4位タイ
今年優勝予想していたコンビです。2017年、笑神籤が導入されたときにいきなり呼ばれて、それでも堂々たるパフォーマンスを見せてくれたことで好きになりました。川瀬名人の芸人引退うんぬんは正直どうでも良かったりするのですが、それでも熱い想いで決勝に戻ってきたのは嬉しかったです。
とにかくはらちゃんが綺麗に、そして上手くなりすぎてる。ネタも男女コンビならではの上手いところを突いていると、一緒に見ていた母親が絶賛していました。その割に点数が伸びなかったのは、ウケの山がうまく爆発まで繋がらなかったのと、川瀬名人がかかり過ぎてしまうところかなと感じました。ガチネタをフラットな自然体でできれば、いつか優勝できるだろうと楽しみにしています。
4.敗者復活⇒ハライチ(636点/9位) 個人採点:90点/8位
敗者復活戦についても記事を書く予定ですが、人気レースなら見取り図、ネタのクオリティは男性ブランコ、その中間かつイチウケの金属バットあたりが有力だと思っていたので、ハライチが上がってきたのはちょっと驚きました。過去の敗者復活では2位で悔しい想いをしてきたので、そのリベンジを果たせたなら良いかなとか思ってました。
岩井さんの新しい面が見れた、というのは確かにそうですが、澤部さんを困惑させるという本質的な部分は15年間変わってません。そういう意味ではハライチのフォーマットは変えずに新たな形を見た気がします。もっと展開するのかなという期待はあまり超えてきませんでしたが、岩井さんが切れて地団駄を踏むだけでなんか面白い、それに対する澤部さんのリアクションも面白い。なんだかんだずっと笑ってたネタでした。
ラストイヤーにやりたいネタをやって、自己最高得点を更新して爽やかに卒業、見てるこっちも何となく嬉しくなりましたね。
5.真空ジェシカ(638点/6位タイ) 個人採点:92点/4位タイ
知ったのはここ2年ぐらいですが、大好きなコンビです。大学の友達が実は真空ジェシカ推してたって聞いてテンション上がりました。予選で強いネタかけてる癖に準々決勝が超えられない、それだけに準決勝進出の段階でかなり嬉しかったですし、このチャンスを逃さなくて本当に良かったです。
ネタについては、川北さんのボケもガクさんのツッコミもよくハマっていて、ベストパフォーマンスに近かったと思います。分かりやすいボケも割とちりばめられていた印象ですが、M-1決勝という括りの中だと小さくまとまってしまったのかなと感じました。上沼さんの89点というのもすごく納得がいきます。
それでも真空ジェシカがゴールデンタイムのお茶の間に登場し、面白い人たちだということが国民に知れ渡ったことが価値あると思います。キングオブコントや大喜利番組など様々な活躍を経て、来年もまたM-1決勝で見られることを願ってやみません。
6.オズワルド(665点/1位通過) 個人採点:96点/1位
2019年、あのミルクボーイの後で堂々とネタを出来た肝の据わり具合に心打たれました。一方で2020年は勝つために変えたところがガラの悪さとして良くない形で出てしまったと残念に感じておりました。今年に入ってABCお笑いグランプリのネタが物凄く良くて、あの感じで2本あれば最強だろうと期待していたところでした。
期待は裏切られました、良い意味で。一番良いと思ったABCのネタを遥かに超える完成度で、しゃべくり漫才としては歴代のM-1でも最高傑作だと思います。実際に歴代のM-1の中でも6位に入る高得点をマークしています。ネタの台本、演者の出来、どちらも完璧で感動しました。昨年からあれだけ苦悩したオズワルドが最高の形で報われて嬉しかったです。
7.ロングコートダディ(649点/4位) 個人採点:91点/7位
実はそんなに好きじゃなかったコンビです。天ぷらと合コンするネタは斬新でしたが、それ以外のネタだと兎さんの癖のあるキャラをあまり面白いと感じられませんでした。
今回のネタはかなりキャッチ―に仕上がっていて、とても面白かったです。ワニになりたいなんて導入も、転生の練習したほうがいいなんて返事も明らかに突拍子もないはずなのに、そこから一気に引き込めるのはコントと漫才どちらにも長けているのが活きた結果だと思います。ただ、漫才として掛け合いがもう少し欲しかった、ボケとツッコミがより相乗効果を生み出してくれたら良かったなぁと感じました。
それでもネタ、平場、敗退ボケの全てが面白くて、実力で爪痕残した様はとてもカッコよかったです。コンビ仲の良さも垣間見えたり、エモいですね。
8.錦鯉(655点/2位) 個人採点:94点/2位
まさのりさんのキャラが昨年ついに世間に受け入れられ、錦鯉は大躍進を果たしました。しかしキャラ芸人や一発屋かと言われれば決してそんなことはなく、隆さんも含めて大人の魅力と深さ、人の良さが滲み出ているコンビです。50歳という大台に乗ったことで、「おじさん頑張れ!」のような応援の雰囲気はあったかもしれません。
1stでやった「合コン」は昔からある鉄板ネタでしたが、最初の方まさのりさんがちょっとカタかったように感じました。(『穴でも掘ってろ』⇒『穴は掘らねーよ』のくだりとか。実はあれ大した意味ないんですねw)ただ、後半改良されて畳みかけるようになったという話は聞いていて、その通り「物足りないかな…」と感じかけていたところで一気に持って行ったような印象。やはりボケツッコミともに強烈で、かつ人間の面白さが一番出ていたと思います。それ以外にも、昨年からの細かい改善点が審査員の点数を少しずつもぎ取っていった印象でした。
9.インディアンス(655点/3位) 個人採点:92点/4位タイ
昨年の敗者復活戦を一番楽しそうに演じてた二人を見て、ただうるさいだけだという印象が一気に変わりました。他の方の記事に書かれていたコメントですが、目の前のお客さんを笑わせることに関しては一番ではないかという評価、まさにその通りだと思います。(余談ですが、ぺこぱ・インディアンス・すゑひろがりずのオフショット動画も人柄が出ていて面白いです。youtubeでご覧になってください。)
今年のM-1もらしさ爆発といった感じですが、ボケとツッコミの相性がより良くなっていたと感じました。ボケの田渕さんの緩急も改善されて見やすく、心地良いうるささだったと思います。本筋での笑いももう少し欲しかったですがこれもインディアンスの味だと思いますし、オチを名乗りで終わるというのは斬新でかなり笑いました。
いつ見ても人柄の良さが良く表れてますし、落ち込んだ時に見たくなるコンビですね。生でも見てみたいです。
10.もも(645点/5位) 個人採点:89点/9位
しきりにダークホースと言われていたコンビ。決勝進出発表会見でも色々といじられていて、愛されてるなぁと感じてほっこりしました。今年初めてネタを見ましたが、わかりやすいシステムで面白かったです。ただ、ミルクボーイや見取り図がちょっと頭をよぎって、比べてられたらどうだろう…という懸念もありました。
当日も爆発したところとそうでもないところでウケ量がやや不安定に感じたのと、いきなりボルテージが上がって乗り遅れそうになったのが少し残念でした。ただ、これもキャッチーな題材で、傷つかない程度に刺さるワードがポンポン出てきて楽しめました。
最年少で堂々と1stラウンドのトリを飾ったこと、そして3年後優勝する顔という誉め言葉に「来年優勝するんで」と返すギラ付き感、同世代として素直にすげえなと感じました。顔いじりから派生していろいろなフォーマットが出来そうなので、来年以降も楽しみです。
1stラウンド振り返り
誇張抜きに、全組ウケて全組得したM-1だったと思います。最後のもも以外、みんな暫定BOXに行ってたのはそれだけ番組が尻上がりに盛り上がっていたことの証左でしょう。前半も低い点数ではないのですが、後半のインフレに飲み込まれて沈んでいったのはやはり残念。川瀬名人の言う「運」というのもまさにその通りですね。
1位から3位までが10点差、そして後半でパワー系のコンビが最終決戦の枠を決めたということで、オズワルドも盤石ではない、横並びの雰囲気は感じました。
最終1.インディアンス(上沼:1票) 個人採点:93点
最終決戦は3組ともややスケールダウンしたとの声が多いですが、3組の中で唯一1本目より面白く感じました。特にきむさんのツッコミが今までの中で一番光っており、構成もかなり良かったです。マミの回収や、じゃんけんのくだり、もう中学生など、力と技で爆笑を掻っ攫っていった印象です。
最終2.錦鯉(富澤、塙、志らく、礼二、松本:5票) 個人採点:93点
面白かったのですが、ちょっと先が読めてしまう展開だなと感じました。上手くハマらなかったのは、中盤の「森へ逃げたぞ!」→「…じゃあいいじゃねえか」のくだりが家族の笑い声でよく聞こえなかったのもあるかもしれません。後からyoutubeで見返したら、なるほど確かにこれは勝ち切るネタだと納得しました。バカやってるのにきちんと伏線回収するってずるいですよね。
最終3.オズワルド(巨人) 個人採点:93点(投票)
世間で言われているほど悪いネタだとは思いません。ただ巡り合わせが悪かったのかあまりウケていないのは感じていましたし、爆発する前に終わってしまった印象を受けました。「俺とお前とお前と俺」みたいなワード好きなんですけどね…
最終決戦振り返り
点数が横並びだったため、しゃべくりとしての完成度でオズワルドにしました。「オズワルドが3~4票かな…」とか考えていたので、錦鯉が5票というのは正直びっくりしました。と言っても、3組それぞれに票が入るのは相当に接戦だったという事でしょう。最終決戦すら出順で結果が変わったかもしれません。
終わりに
錦鯉優勝おめでとうございます!まさのりさんが大粒の涙をボロボロ溢す姿は、つられてこっちも泣いてしまいました。
よく今年のM-1の功労者が誰かという議論を目にしますが、スタッフも司会も審査員も敗れた漫才師も勝ち残った漫才師も、みんなが盛り上げようとした結果が毎年のM-1の大成功に繋がっていると感じております。これからM-1ファイナリストたちが各種メディアで活躍していき、それを見ていたらM-1 2022の戦いが始まる…今は今年の余韻に浸りつつ、来年への期待を胸にしまっていきたいと思います。
ここまでご覧いただきましてありがとうございました。今回が初めての記事となりますが、敗者復活戦、並びに昨年以前のM-1についても振り返っていこうと思うので、もし良ければ今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
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