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THE SECOND~漫才トーナメント~2024 感想・採点メモ

 実は去年見れなかったので初視聴です。1~3点を自分ならどう決めるかについて、いつもやっている100点満点の個人採点を
 ~84:1点
85~89:2点
 90~:3点
として考えましたが、レベルが高いので全コンビの全ネタで3点になりました。来年以降は87,93点あたりを基準にしようかと考えています。別に必要ないんですが、いつも通り100点満点で載せています。

1.ハンジロウ(271点)

 「元嫁カフェ」という設定が秀逸だったと思いますし、アドリブが弱いところも面白かったです。ただ、アドリブが弱いというところを掘り下げずに次のくだりに行ってしまうのがもったいないというか、少し置いて行かれた感じがしました。
 ザ・ぼんちとの名勝負やネタのクオリティ、平場の面白さなど今大会で大きく名前を上げたと思います。今後がとても楽しみなコンビです。

個人採点:90+2=92点 ※トップバッターのハンデとして、個人採点に2点上乗せしています。

2.金属バット(291点/勝ち抜け)

 ア行、カ行…と羅列になってしまいそうな構成の中で、一つ一つの大喜利が強かったのが良かったです。M-1の晩年でほぼ完成した友保さんの精度が更に上がっているように感じました。

個人採点:93+1=94点 ※2番手のハンデとして、個人採点に1点上乗せしています。

3.ラフ次元(255点)

 一つ一つのくだりが少し無理やりに感じられたのと、ツッコミが少し物足りなく感じました。とはいえ最後一気にまとめ上げて、タンクトップ姿で視覚的にも楽しむことができたのがとても良かったです。

個人採点:92点

4.ガクテンソク(288点/勝ち抜け)

 正直、面白すぎて記憶があまりなかったです。元々鋭かった奥田さんのツッコミに更に磨きがかかっていたうえ、よじょうさんのボケも強かったことでシナジーが生まれ、後半は息する間もなく笑ってしまいました。
 ここまで不必要な個人採点を載せているのは、このネタに100点を付けたからです。6分間という時間を上手く使い、ボケツッコミの密度も強度も凄まじく、そして人間性も乗った完璧なネタだったと思います。ここまででも期待通りには面白かったのですが、ガクテンソクのネタを見てからは興奮が収まらなかったです。感動すら覚えました。

個人採点:100点

5.ななまがり(268点)

 森下さんの奇人シリーズはパッケージ化されていない自由な発想の方が面白くなると思っていて、今回はそれがドンピシャでツボにハマりました。初瀬さんのツッコミも力強くて、ここ数年で漫才師然とした佇まいになったと思います。
 ななまがりのお二人は何となく応援したくなる魅力があるんですよね。今回は惜しくも1点差で敗れてしまいましたが、来年以降も十分にチャンスはあると思います。

個人採点:95点

6.タモンズ(269点/勝ち抜け)

 ネタを見るのは初めてですが、大波さんのツッコミが非常に上手かったです。一方で、ご自身のことをネタにしたしゃべくり漫才にもかかわらずリアリティが伝わってこなかったことで、入ってこないなと感じる部分もありました。後半のライダーベルトを軸にした部分は何も考えずに笑えて楽しかったです。

個人採点:90点

7.タイムマシーン3号(273点)

 上手いし期待通りに面白いんですが、そこに熱と体重が乗っていない印象を受けました。もう一つ大きな笑いや裏切りがあったら印象が変わったかもしれません。審査員で仰っていた「こなれている」という部分には共感するところもあります。
 濃いネタが続く中で見たから薄味に感じただけかもしれませんし、順番や環境が変わればこのネタが最高に面白く感じることだって十分あり得ます。なにより超売れっ子で賞レースの決勝に来ることがどれだけ難しいか。点数や笑いの量だけでは測れないカッコ良さをお二人から感じました。

個人採点:91点

8.ザ・パンチ(284点/勝ち抜け)

 ネタの面白さもそうですが、楽しそうにネタをやっているのがとても伝わってきたのが良かったです。「死んで~」が色々まずかったとはいえ元々松尾さんのツッコミは面白かったので、それが伝わったのが嬉しいですね。かと思えば「27年目で一番ベテランなはずなのに相槌打つのが下手」っていうのも馬鹿馬鹿しくて、キャリアと人間性と劇場での頑張りが乗っかった素晴らしいネタだったと思います。

個人採点:96点

準-1.ガクテンソク(283点/勝ち抜け)

 1回戦もそうでしたが、奥田さんのツッコミは情景が浮かびやすいのが長所ですね。そのおかげで全体として非常に丁寧に感じられるのが素敵だなって思います。もちろんその上で爆発力もあって、引き続き素晴らしいネタだったと思います。

個人採点:97点

準-2.金属バット(273点)

 コンビのコントラストが良く、かつ金属バットのちょっと悪いところもしっかり出ていたので、こちらもとても良かったです。印象的にはガクテンソクにも金属バットにも4点をつけたいぐらいでした。
 お二人の人柄や礼儀正しさにクローズアップされる機会が多かったので、品行方正な漫才師として落ち着いてしまうのではないかという寂しさを感じつつありましたが、久しぶりにガラの悪いネタが見られたのは良かったですし、これで炎上しなかったのが嬉しいです。類稀なるバランス感覚で、引き続き個性的なネタが見られるのを楽しみにしています。

個人採点:96点

準-3.タモンズ(264点)

 後半のほっこりした関係性が見えるところが良かったです。今までタモンズのネタを見てこなかったので理解するのに時間がかかっていますが、見返したら段違いに面白くなりました。他のネタも気になるコンビです。

個人採点:91点

準-4.ザ・パンチ(278点/勝ち抜け)

 1回戦と似た型式ではあるものの、つかみも脱線したところもハイレベルでやっぱり笑ってしまいます。大江裕さんでググったらメチャクチャ似てて「ずるいな~笑」と思ってしまいました。面白かったです。

個人採点:93点

決-1.ザ・パンチ(243点)

 しっかり面白いネタを用意してきたのでマシンガンズで言われているようなガス欠というわけではないと思いますが、同系統のネタが続いたというのとガクテンソクと比べようという意識が働き過ぎたのか凄い低得点になりましたね…
 松尾さんの昔の形式のツッコミで胸が熱くなりました。たくさん見たいけど、1回だけというのがある種の美しさを引き出してると思います。良い物見れたなって思いました。

個人採点:94点

決-2.ガクテンソク(294点/優勝)

 このネタを見るのはM-1 2020の敗者復活以来ですが、やはりお二人の思いが伝わってくる良いネタだと思います。当時よりブラッシュアップされており、弱かったり気になったりするところが軒並み良くなっていました。

個人採点:95点

終わりに

 ガクテンソク優勝おめでとうございます!M-1の頃は良くも悪くも正統派コンビの印象で、面白くて安心感があるけど決勝にはあと1歩パワーが足りないと感じていました。あれから4年、その方向性で磨きをかけることで珠玉のネタをいくつも生み出し、パワーとテンポを兼ね備えた最強の漫才師となったことは本当に感慨深いです。
 敗退したコンビも本当に全組面白くて、満足感と高揚感が "まだ" 続いているぐらいです。それに応えるように全体的にお祭り感が凄かったですね。コメント役や司会進行も暖かかった。やはりお笑いの賞レースはこうでなければと思いました。
 1回目で大成功だったハードルを飛び越え、これ以上の改善は見込めないのではないかと思うぐらいに完成された大会だったと思います。幸せな時間を過ごせました。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


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