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夜が好きなあなたに送るエッセイ

世界に誰もいなくなってしまったような夜が好きなんです。この瞬間だけは僕は紛れもなく何者でもない。

これはただ、詩的なだけの言葉ではなく。人は誰しもがなにかしらの社会的な役割を背負って生きています。

今回は社会学者であるG.H.ミードの言葉を借りながらお話ししようと思います。

まず社会的な役割とは何なのでしょうか。
例えば僕は、会社では上司であり、部下であり、親から見れば息子です。部下に対しては上司らしく、上司の前では部下として、たまに帰省したときは息子なりの行動をすることを期待されています。いわば、他人からの期待を自分の役割として受け入れて実践しているのです。

しかし、「他人に期待される私」にはさまざまあり、すべて引き受けることはできません(家に帰って上司として母親と接したらしばき回されます)。そこで僕たちは「一般化された他者」として他人の期待を引き受けます。周りの人々とのやりとりを通じて「部下」ってこういうものだよね、「息子」ってこういうものだよねという具合に「みんな」の期待する役割を理解しながら実践します。

つまり、誰しも、人との関わりの中でしか役割を持ち得ないのです。だから、期待も役割も全て脱ぎ捨てられるこんな夜は、僕は何者でもないのです。

僕は、僕でいいんです。
あなたは、あなたでいいんです。

それでは、おやすみなさい。



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