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もうリアルには戻れない? 「Webインターン」を初めて実施して大成功した話(前編)

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、21卒の採用活動に関しては説明会や面接などをWebで進める企業が増えています。そのような状況で、これから始まる22卒の採用活動の入り口である、インターンシップはどうなるのでしょうか。

そこで、ワンキャリアは2020年6月18日にオンラインセミナー「3daysインターンをWeb実施した先駆者が語る、注意点とハック術10選!」を開催しました。

5月にWeb上でインターンシップを開催した、株式会社フリークアウト・ホールディングスの新卒採用責任者である金様をゲストにお迎えし、注意点と実践的なアドバイスを語っていただきました。【前編・後編】の2部構成でご紹介いたします!

Peatix ピーティックス カバー画像 勉強会 (2)

〈スピーカー〉
株式会社フリークアウト・ホールディングス 金 聡 様

1987年生まれ。大学卒業後、組織開発に特化した人材系コンサルティング企業に入社。その後、株式会社ドリコムにてデジタル広告の営業および組織開発、採用業務に従事。2016年株式会社フリークアウト(現株式会社フリークアウト・ホールディングス)入社。人事組織のマネジャーを経て現在は新卒採用責任者を務める。
Twitter:@KSTR0405

〈モデレーター〉
株式会社ワンキャリア 経営企画室 PR Director 寺口 浩大

1988年生まれ、兵庫県伊丹市出身。京都大学工学部卒。リーマンショック直後に三井住友銀行で企業再生、M&A関連業務に従事し、デロイトトーマツグループなどを経て現職。現在は経営企画とパブリックリレーションズ全般を担当。また、日本最大級のYouTube企業説明会「ONE CAREER SUPER LIVE」の企画に携わる。共著に『トップ企業の人材育成力』。

1ポイントの満足度向上が、エントリー率を◯倍にする

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多くの企業にとって、Web上でインターンシップを行うのは未経験の領域でしょう。しかし、たとえそうだとしても、学生の「体験の質」や満足度が高まるコンテンツを目指す必要があります。

ワンキャリアの調査によると、体験の満足度と次の選考ステップへのエントリー率には、相関があることが分かっています。なんと「満足度が1ポイント上がることで、次の選考ステップへのエントリー率が2倍近く上がる」のです。

さらに満足度の高さは「良いクチコミ」にも繋がります。「今や『クチコミ』は就活生の重要な情報収集源の1つであり、クチコミ評価の高い企業の話をひとまず聞いてみる、と考える学生も少なくありません」とワンキャリアの寺口は強調しました。つまり、体験の質を向上させることで、眼前の候補者の志望度を高めるだけでなく、未来の候補者との出会いも増やせるのです。

そして、「Webとオフラインのインターンは全く別物であり、オフラインではあまり意識されない仕組みやツールの活用に気を配らないと、参加者の体験の質を下げてしまう恐れがある」と寺口は続けます。

では、Web上のコミュニケーションでも体験の質を高めるためには、どういったポイントに気をつけたら良いのでしょうか。金さんによると、インターンの実施前、そしてインターン当日それぞれに気を付けるべき点があると言います。

Webインターンで最も重要な準備は「ITツール」と「通信環境」

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寺口:金さんに事前にヒアリングした際に、事前準備は「通信環境」「ITツール」「メンター育成」の3つが重要だとお話しいただきました。まず、通信環境のところから簡単に説明いただけますか。

金 聡様(以下、金):運営側の人事が自宅から接続するならばネット環境、特に回線速度は非常に重要です。参加学生は最低でも10Mbpsあれば良いと思いますが、運営側はかなりゆとりを持っておく必要があります。

寺口:ネット環境が悪いと、どういうリスクがあるのでしょう?

金:いろいろありますが、リカバリーが厳しいのは、プログラムの説明など全体に対するプレゼンテーションで画面や音声が止まってしまう、といったところでしょうか。

寺口:確かにオリエンテーションが聞き取れない、という事態は避けたいですね。ちなみに学生のネット環境はどのように確認したのでしょうか。

金:事前に学生一人ひとりと人事で30分の面談を実施しました。今回はあまりにも接続が悪い学生はいませんでしたが、もしいた場合に備えて、今後はモバイルWi-Fiルーターを郵送する、近くのネットワーク環境が整っているビジネスホテルに泊まってもらうといった施策も検討しています。

寺口:Wi-Fiだけでなく、他のプランも用意しておくのが大事ということですね。続いてはITツールです。選択肢も多かったと思いますが、これはどのように選んだのでしょうか。

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金:基本的に社員が普段使っているツールを全て使ってもらいました。Slackはゲストアカウントを発行し、G Suiteを使うためにGoogleアカウントの情報を事前に収集。さらにDiscordという無料で使えるボイスチャットツールを学生には事前にダウンロードしていただきました。ビデオ通話は通信量も多く、ストレスもかかるので、声だけでやり取りできたほうが良いのでは、と思い利用してみましたが、結果として非常によく使われました。

寺口:顔が映っていなくても、全く問題ないんですね。

金:そうですね。ボイスチャットをつないで、Googleスライドを共同編集して、というのが一番多かったように思います。

寺口:参加者の方からも質問を頂いていますが、学生とNDAは結んでいましたか?

金:NDAは結んでおらず、渡せる情報を事前に整理して公開して良いものだけを渡すようにしていました。講義で利用した資料等についてもGoogle ドライブに格納し、参加学生が自由にダウンロード出来る状態にしました。
流出リスクについても考えましたが、展開するメリットの方が大きいと判断しました。

寺口:ホワイトボードはどうされましたか、という質問もいただいています。

金:Googleスライドがホワイトボードの代わりになりましたね。「ホワイトボードがないと議論が進まないのでは」という心配もありましたが、杞憂でしたね。オフラインで実施するときはホワイトボードを用意しておくのが当たり前だったのですが、学生はITツールへのキャッチアップも早く、大きく困ることは特にありませんでした。

寺口:学生間のITリテラシーの差は大きかったですか。

金:選考段階でテクノロジーが好きな人を選んでいるので、あまり差はなかったです。皆さんしっかり使いこなしていました。

寺口:Webでインターンを実施するようになると、学生も就職活動で見られるポイントが変わりそうですね。

金:そうですね。やはりオフラインとWebでは必要なスキルセットが変わってくると思います。それに対応していくことが必要にはなりますね。

寺口:なるほど。一旦次に進みますが、「メンター育成」に関しては学生に負けないくらいITツールを使いこなせるように、ということでしょうか。

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金:そうです。弊社では新型コロナウイルス感染症対策として、リモートワークを実施していたこともあって、メンターもツールの使い方は問題なく、学生に使い方をアドバイスしてくれていました。ただ、学生のITリテラシーは本当に高く、メンターがしっかり使えないと運営に支障が出ることもあるので注意が必要です。

寺口:Slackなどのチャットツールを使って、コミュニケーションを盛んにするために、重要なことはありますか。

金:スタンプが良かったですね。弊社は4,000個くらいのオリジナルスタンプがあるのですが、学生もかなり使ってくれました。たまたまインターン期間中に誕生日の方がいたのですが、「おめでとう!」という投稿を、盛大なスタンプで盛り上げてくれていました。本当に自分たちで調べて使いこなせてしまうので、リマインダーやタスクの設定なども進めてくれていました。

寺口:ツールの使い方に関して、ガイダンスは実施しましたか。

金:していないです。事前に見ておいてね、ということは伝えましたが、あとは触りながら学んでもらいました。正直、ガイダンスは必要ないと思っています。今どきの学生にとっては、ゲームをしながらチャットをするというのも普通に行われているくらいなので。一方で使い方のガイダンスではなく、利用するにおいてのガイドは明示しました。
オープンコミュニケーションを原則とする(ダイレクトメッセージは原則禁止)
全体チャンネルで議事録等の共有を推奨する
等など当社が各種ツールを利用する際に大切にしている価値観をインターン当日の冒頭に紹介しました。

寺口:複数のデバイスを使いこなす学生は多く、使い方は問題なくとも価値観の共有は確かに重要ですね。運営メンバーの人数と役割も教えてください。

金:4チームにメンターが1人ずつ、人事が2人の計6名で14人の学生を迎え入れました。

インターン当日に欠かせない「ハイスペPC」、そして「計画的な休憩」

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寺口:MacBookはAirよりPro推し。これはスペックが高いほうが良いということかと思うのですが、詳しく伺っても良いですか?

金:運営メンバーのPCが落ちると、進行が止まってしまうので、スペックには絶対にこだわったほうが良いです。個人的には音声にもこだわりがあるので、PC内蔵のマイクではなく、廉価なコンデンサーマイクと、ウェブキャスティング用のミキサーを使っています。BGM等はDJ用のミキサーを利用しました。趣味の音楽活動が仕事に活きました。こだわりが強くない方はUSB接続のマイクでも必要十分だと思います。

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(金様使用のコンデンサーマイク/ウェブキャスティング用ミキサー/DJ用ミキサー)

寺口:自己紹介のところ。Webだとオフラインのときより緊張感がありそうで、アイスブレイクは大事かなと思うのですが、工夫されたことはありますか。

金:もちろんアイスブレイクとしても良かったのですが、ツールの使い方の確認として実施しました。事前に1ページの自己紹介資料を作ってきてもらい、画面共有をしながら発表してもらうことで、基本的なITツールは使えることを確認できました。

寺口:それだけすれば、後は話し始められるものなのでしょうか。

金:メンター側の自己紹介も楽しくやりました。彼らに自己紹介をしてもらったあとに、僕が他己紹介で意外な一面を見せることで、距離を少し縮められたかなと思います。

寺口:学生からすると社会人は遠い存在なので、身近に感じられる工夫は良いですね。次の「休憩は計画的に」。これは悩まれている人事の方が多そうですね。

金:休憩は1時間に1回のペースくらいで多めに取ったほうが良いですね。理由としては、Webだと学生の体調を見ることが難しく、集中してワークをしていたら突然倒れた、ということが起こってもすぐに助けにもいけないためです。しっかりと休んでもらうことを意識し、半ば強制的に休憩を入れました。

寺口:夜は何時まで、というのは決めていましたか。

金:19時に1回、全体で夕会を実施しましたが、明確な時間設定はしていませんでした。その代わりメンターにはきちんと管理するよう伝えていて、ワークをしている最中は付き合うことと、寝る時間は確保できるようにすること、はお願いしていました。

気になる後編の内容は?

前編では、Webとオフラインは違うものだと認識して「体験の質」を高めることが重要であることと、そのために事前準備と当日で気を付けるポイントについてお話しいただきました。

後編では、気になる参加者のアンケート結果を大公開していただきます。対面でないと満足度が下がるのでは……? と懸念を持たれる方も多くいらっしゃると思いますが、実際その満足度はどうだったのでしょうか。ぜひ後編もご覧ください!

もうオフラインには戻れない。Webでインターンを実施したリアルな声に迫る。(後編)はこちら



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