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【ちょっと県外】が切なかった。。。

今年の5月の末は、切ない思い出として刻まれました。

「生きてる間にもう一度」、が叶わなかったから。。。

前日に、母から連絡がありました。
祖母の容体が悪化し、もう長くないだろうと。3月から入院していたけど、今年はこんな状態だったから、連絡できなかったようです。電話の向こうの声は、少し震えていました。

今すぐ行きたかったけど、話し合った結果、やめておくことになりました。
理由は2つ。祖母が暮らすのは熊本で、こっちは福岡。呼びかけても反応できない状態になっているから、わざわざ移動するのも大変だよというのがひとつ。そして、周りで「福岡の人に接したら、しばらく会社を休むように」と言われている人がいるから、むやみに来ない方がいいというのがもうひとつ。

もし、祖母の意識がまた回復して、話ができるようになったら、その時にまた考えることにして電話を切りました。

仕方ないと頭で理解できても、気持ちは苦しかったです。くやしくて、涙があふれてきました。

その夜になって、福岡の人に会ったら会社を休むように言われていたのは、緊急事態宣言中のことだったと分かりました。もう大丈夫と言われたような気がして、少しホッとしました。
あとは、祖母が元気になってくれるのを祈るだけ。

でも、翌日の昼前、今度は父からの着信。
祖母が亡くなったことが告げられました。

祖母に会えたのは、お通夜の会場でした。
静かな顔で眠っているのと対照的に、祭壇では凛々しい姿の写真が迎えてくれました。

何度も話し合った結果、我が家で参列したのは僕ひとり。ものすごく悩みました。妻も子どもたちも一緒に連れて行きたい。でも、ちょうど北九州で新規感染者が増えていた頃です。僕たちが、絶対に感染していないという保証は、どこにもありません。式場で、高齢者の方々に接する機会も増えるから、今はみんなで行くのを避けました。

お通夜とお葬式で、実家に泊まれば楽だけど、その分、接触時間が長くなります。なので、日帰りの2往復。片道2時間ちょっとだから、移動できない距離ではありません。熊本にいるときには、絶対にマスクを外さないようにし、なるべく人との距離をとりながら過ごしてきました。それでも、100%とは言い切れないのが怖いところです。

新しい生活様式に取り組み始めた今、お通夜もお葬式もこれまでと違いました。全員がマスクを着用し、身近な親族関係者以外は、焼香だけ済ませて退席。ごく少人数での式でした。終わってから大勢で会食していたのも、ひとりずつに分けられた折詰を持ち帰るスタイルになっていました。

道路の電光掲示板に映し出された「県をまたぐ移動の自粛を」の文字は、今でも重くのしかかっています。

制限があったものの、お通夜にもお葬式にも参列できたことは、ありがたいことだと思います。

県外への移動の自粛は、ひとまず解除されています。
でも、ウイルスがなくなったわけではありません。自分が感染しているつもりで、慎重に行動する。まだしばらくは、それを忘れてはいけないと思います。

今回の内容は、書くかどうか迷いました。
でも、県外に行くのを楽しむ日を取り戻すために、緩みそうになる気持ちをもう少し引き締めなければと感じて、書くことにしました。

いつの日かまた、「ちょっと県外まで」と誰もが言い合えるように、改めて自分と大切な人を守る生き方を。

ヘッダー画像に選んだのは、「沈丁花(ジンチョウゲ)」。祖母の誕生日の誕生花を調べてみました。

天国で見守ってくれる祖母に、感謝を込めて。

毎週テーマを決めて共同運営を続ける日刊マガジン『書くンジャーズ』。
今週のテーマは、【 ちょっと県外 】でした。

祖母との別れの日を思い出しているのは、土曜日担当の吉村伊織(よしむらいおり)です。

今週も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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それではまた、お会いしましょう。

※illust by:灰兎さんイラストAC

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