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謎解きは学校の前に【 #こんな学校あったらいいな 】

朝6時。
今日の指令書が届いた。

<指令書>
 〇山堂へゆけ

(ヒント)朝食をしっかり食べること

「まる、やま、どう・・?」
どこだろう。どこかの場所だけど、ピンと来ない。とりあえず、ご飯を食べたら何か分かるってことかな。
僕は、お母さん、お父さんにおはようのあいさつをして、食卓に座った。いつもの朝のメニューが並んでいる。ご飯、みそ汁、目玉焼き。お父さんは、納豆も食べる。僕は、納豆は苦手。今日の指令が、納豆を食べることじゃなくてよかった。

指令書をお母さんたちに見せながら、朝ごはんを食べ始めた。
「今日は、どこだろうな。残さず食ったら、何かが、分かるっ!」
変に気合をいれて、お父さんが言う。
僕は、たまごの黄身は、やわいのが好き。こぼさないように気をつけながら、ご飯に乗せて食べるとうまい。今日も成功した。こぼさずに乗っけられたら、嬉しくなる。みそ汁の具は、豆腐、たまねぎ、ワカメ。

ご飯を食べていくと、茶わんの底に何やら黒いものが見えてきた。おっ、今日はここにヒントが書かれてるのか。急いでご飯をかきこむ。ひと粒も残さずに食べ終わると、見たことのある動物が現れた。

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「ねこ、だな」
お父さんがのぞき込んで言った。
「ねこ、だね。くろねこ?」
「まるの中に、くろねこ・・・?」
「あ!わかった!まるの中にねこで、ねこやまどう!」
「なるほどなー。ねこで指令書が完成ってわけか。おもしろいな。」
お父さんも楽しそうにしている。

「だよね!ねこやまどう!でも、ねこやまどう、どこだろう?」
「ねこやまどう、知らないか?あの角の山田のおばちゃんちだよ。前は、『猫山堂』って駄菓子屋やってたんだ。お前がまだ小さかった頃に、お店やめちゃったからな。公園で遊んでるときとか、よくお菓子もらってるだろ。それって、駄菓子屋やってたつながりで、今でもお菓子メーカーからサンプルとか届いてるそうだ。それを、山田のおばちゃんが子どもたちに分けてくれてる。お菓子メーカーからすると、子どもたちの反応をリサーチしてるって感じかな。あ、リサーチって、ちょっと難しいか。」
お父さんが、笑いながら教えてくれた。
「へー、そうなんだ。」と、僕は感心した。

『ねこやまどう』が分かったら、ぐずぐずしちゃいられない。
もう、ケンタも、シンジも、謎が解けてるだろうか。3人そろって、問題をクリアするんだ。いそいで準備を済ませて、いってきますとドアを飛び出した。

『猫山堂』には、ケンタが先に着いていた。山田のおばちゃんと、楽しそうに話している。あいさつをして合流したところに、シンジも到着した。今まで気づかなかったけど、玄関の奥の方に『猫山堂』の看板が立てかけてある。茶碗の底に書かれていた、あの黒猫のマークもついていた。

「はい、おはよう。3人そろったね。『猫山堂』は、簡単だったかい?私から渡すのは、これだよ。」
3人それぞれが、カードを受け取った。

<僕のカード>
 (3) イタチのタヌキ
<ケンタのカード>
 (1) サンマのまつり
<シンジのカード>
 (2) ハチマキまきとる

「イタチ?タヌキ?で、ねこやま?なんか、動物の話?」
「いや、オレはサンマだぜ。魚が祭りで踊りだす?みたいな?」
「こっちは、ハチマキ。まきとる。まきとる・・・あっ!」
シンジが大声を出した。

「あー!これ、知ってる!テレビで見た!歌なんだよ。イタチの、タヌキって。で、10まであるの。」
「ん?ん?なんのこと?」
僕とケンタは、何のことを言ってるのか分からなかった。

「イタチから、タを抜いてみてよ。何になる?」
「イ、タ、チ、だから、他を抜いたら、イ、チ?」
「そう!イチ!僕のは、ハチマキから、マキを取って、ハチになるんだよ!」
「でも、オレのは、サンマよ。まつりって、何を取ればいい?」
「まを、釣り上げる」
シンジは、釣りざおで魚を釣り上げるジェスチャーをした。
「まを、釣り上げて、なくなったら、何が残る?」
「サ、ン、マ、で、マがなくなったら、サン?」
「そう!サン!みんな数字になった!」

「おー!すげー!」
僕とケンタは、同時に声を上げた。
「じゃあ、僕は、イタチのタヌキで、1」
「オレは、サンマのマを釣って、3」
「僕は、ハチマキのマキを取って、8」

「おー!いいねー!」
三人の声が重なった。

「そしたらさ、この小さな数字はなんだろう。」
みんなのカードを、並べてみた。

(3) イタチのタヌキ
(1) サンマのまつり
(2) ハチマキまきとる

「番号順に、並べてみるんじゃない?」
「だね!えーっと、『サンマのまつりで、3』、『ハチマキまきとるで、8』、『イタチのタヌキで、1』。できた!『381』!」

「ふふふ。」
山田のおばちゃんが、やさしく笑った。
「はい、今日も元気に、いってらっしゃいね。」
「いってきまーす!」
大きな声であいさつをして、僕たちは学校に急いだ。

校門には、校長先生がいる。
「校長先生、おはようございます!」
「はい、おはようございます。今日の謎は、解けたかい?」
そう言って、タッチパネルを取り出した。画面に触れると、0から9までの数字が浮かび上がった。

3人を代表して、シンジがパネルを押す。『3、8、1』。
「ピンポーン!」正解の音が鳴り、画面が輝いた。

「やったー!」
3人はハイタッチをした。

「はい、おめでとう。今日も楽しい一日を。」
校長先生ともハイタッチをして、僕たちは教室に向かった。


※「イタチのタヌキ」「サンマのまつり」「ハチマキまきとる」は、ピタゴラスイッチで放送されていた
『--なぞなぞうた♪--いたちのたぬき (作詞:うちのますみ・佐藤雅彦、作曲:栗原正巳)』
から引用しました。

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