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セルフカウンセリングにも使えるツールを考えてみる

昨日の記事で紹介した「モーニング・ページ」。思考回路を掃除して、心を整える毎朝の習慣としておススメなだけでなく、セルフカウンセリングにも有効です。カウンセリングの場で大切にしていることと共通する部分も多いので。というわけで、今日はそのお話を。

まずは、モーニング・ページについて、もう少し詳しくみていきます。もともとは、アメリカでアーティストとして活動するジュリア・キャメロンさんが提唱されたもの。創造性を育むプログラムのひとつだそうです。こちらの本で紹介されています。

モーニング・ページとはなんだろう?ひと言でいうなら、三ページほどの手書きの文章であり、意識の流れをありのままにつづったものだ。
ー中略ー
もっとくだけた言い方をするなら、それは「脳の排水」と呼んでもいいかもしれない。脳の中を掃除することが目的だからである。
モーニング・ページには間違った書き方というものはない。

>『ずっとやりたかったことを、やりなさい』
 ジュリア・キャメロン著|サンマーク出版 p.25・26より引用

毎朝、起きてすぐに思いついたことを手書きでただ書く。そうすることで、頭の中が整理されます。モーニング・ページは、人に見せるものではありません。自分でも読み返さないようにしようとまで言われています。取り留めもないこと、弱音やグチ、しなければならないと思いつつ取り組めていないこと、嬉しかったこと、感謝していること、恥ずかしいこと、などなど、何でも書く。書き続ける中で、「きれいに書かなければ」、「正しく伝えなければ」と、周りの人に対して自分が気にしていることに気づくこともあります。

普段の僕たちの思考は、自由に飛び回っているような状態で、周りの影響も受けます。こうやって文章を書きながらも、「あ!そう言えば・・・」と誰かに対する用事を思い出したり、子どもたちの声が聞こえてきてそっちが気になったりしています。納得できずに消化しきれていないことを思い出してイライラしたりすることもあるので、そんなものも出して、自分で気づくことが大切です。

ジュリア・キャメロンさんは、毎朝のモーニング・ページで書くのはノート3ページとされています。

もし何も書くことが思いつかなかったら、「何も思いつかない」と書いてほしい。三ページが全部埋まるまで書き続けるよう。

>『ずっとやりたかったことを、やりなさい』 p.28より引用

これが理想的な状態ですね。でも、毎朝3ページ書くのは、ちょっとハードルが高く感じます。時間がかかるし、それだけの量を書くこと自体がものすごく大変そう。修行のようにも思えてきます。その分、得られるものも大きいだろうと想像できますが。

モーニング・ページが創造性を育むことを目的としたプログラムの一部なので、とりあえず自分の心を整えることに意義を見出すなら、3ページ書けなくても効果を感じられるというのが僕の実感です。今のところ無理なく続けられている量が、A5サイズのノートに毎朝1ページ。かかる時間は約15分。1ページ書けなくてもよしとする、という自分ルールも設けています。これを続けてみると、カウンセリングとの共通点があることに気づきます。書き出してみるとこんな感じです。

・思ったこと、感じていることを、ただただ書いていい
・文章の整合性がなくてもいい
・何も思いつかなくてもいい
・アドバイスがもたらされるものではない
・人に見せるものではない

ここで、話をカウンセリングに切り替えます。
モヤモヤとした悩みがあっても、カウンセリングには一歩踏み出せない人の中には、こんなことが気になるという人がいらっしゃいます。

「私の悩みなんてくだらないから、わざわざ相談するのも気が進まない」「うまく話せないから、聞いててもつまらないと思って」
「途中で話が続かなくなったら、気まずくなりそう」
「ただ話すだけで解決するはずがない」
「共通の知り合いがいるから、もしバレたら困る」

これらの疑問に、カウンセラーとして回答してみましょう。モーニング・ページのことも振り返りながら見ていくと、共通点について納得しやすくなります。

「私の悩みなんてくだらないから、わざわざ相談するのも気が進まない」
→くだらないこと、取るに足らないと思っていることでも、ただただ話していい。あなたが感じたことに間違いはありません。

「うまく話せないから、聞いててもつまらないと思って」
→うまく話す必要はない。最初からきれいにまとめて話さなくて大丈夫。話しながら一緒に整理していけばいい。

「途中で話が続かなくなったら、気まずくなりそう」
→話すことがなくなったり、話したくないときは、沈黙してもいい。沈黙にも意味があるから。

「ただ話すだけで解決するはずがない」
→話すことで、自分が感じたことを認識できる。それが問題解決の第一歩。こちらからアドバイスをするのではなく、自分で自分の気持ちに気づくことが大事。

「共通の知り合いがいるから、もしバレたら困る」
→人に話すことはないから大丈夫。それが大前提。

カウンセラーの存在は、鏡みたいなもの。カウンセリングの場では、その空間で相談者の気持ちを一緒に見つめていきます。話してくださったことを「こんなことがあったんですね」「こう感じて辛かったんですね」と確認していく。こちらが鏡になることで、本人に心の中をのぞいてもらうようなイメージです。そのプロセスの中で、過去の出来事やその時の気持ちを客観的に見て、なぜ悩んでいるかに気づき、それからどうしたいかを考えていきます。

そんなカウンセラーが目の前にいなくても、モーニング・ページが似たような役割を担ってくれる。自分ひとりで、セルフカウンセリングをやっているようなもの。もっと手軽にやろうと思ったら、時間帯ややり方にこだわらず、ただ書くだけでも効果が期待できます。できれば、自分ひとりになれる時間と場所を設ける方がいいですね。

今の社会の状況のように、外出して誰かと会うのが難しいときは、対面でのカウンセリングを受けることも難しくなります。家にいてばかりだと、悩みを外に出せずにため込むことも増えてしまうかもしれません。心を整えるツールを持っておくと安心です。

※ヘッダー画像は、かなてんさんによる、イラストACからのイラストです

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