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卒業生へのメール

高校1、2年生の間、学級担任、学年主任として関わった学年。
僕が学校を離れ、残念ながら3年生では関われなかった生徒が、大学に合格したことをメールで教えてくれました。
とても嬉しかったので、メールを返しました。


合格おめでとう!!!
君の努力が結実したことが心から嬉しいです。
めっちゃ嬉しいので、めっちゃ長文で返します。

勉強もサッカーも常に高いレベルで維持し、向上に努めてきた君の軌跡は誰からも称賛されることだと思います。
それを支えたのは安定した生活です。
その生活は、ご家族、友人、サッカークラブのスタッフ、何より君自身の意志があって築かれたものです。

僕にメールをくれた君にはとっくにわかっているので蛇足だと思いますが、環境と力をくれた周囲の人への感謝を大切にしてください。
パスをくれた人もいるし、自分がドリブルするためのスペースを空けに走ってくれた人もいる。
それをわかった上で勝負を仕掛け、結果に関わらず感謝するのは、将来仕事に就いても大切です。

そして、この春は自分のことも褒めて良いと思います。3年間の中で、もっと遊びたいとか、休みたいとか感じた日もあったのではないでしょうか?よく勝ちました。素晴らしい!

さぁ、わくわくの大学生活ですね。
僕は教師になる為に大学を選び、進学しました。
そして、教師になって数ヶ月経った頃に
「教師になるという夢が叶ってしまった。この先30年の自分の夢はなんだろう?生徒に夢を持てと語る立場なのに、自分には夢がない。」
とやっと気付いた大馬鹿者です。
本来は違ったはずなのに、いつの間にか「教師になる」そのものを夢としてしまっていました。
なぜ教師になりたかったのかを見つめ直し、「教師として何を成すか」という目線で夢を創り直し、今があります。色んな人からパスをもらって君たちと出会うチャンスを得ました。
初めから「教師として何を成すか」を夢としていれば、大学時代は少し違ったと思います。
もちろん色んな経験をし、人と出会い、一緒に挑戦し、成長し、楽しく過ごしたのですが、今の自分の夢に対して出遅れてしまったこと、取り返せないことがあるのも事実です。

法学の道に進む君の夢が今後変化していくことがあってもそれは良いと思います。
ただ、例えば「検察官になる」よりも「どんな検察官になる」「検察官として何を成す」までを描きながら大学時代をどうか過ごされることを祈ります。
法学を志したきっかけを礎に抽象的な夢で漕ぎ出し、年月をかけて具体に。

君が大学の入試に臨んだ日、僕は久方ぶりに高校へ招かれ、学年の皆に話をする機会を貰いました。
その時にした話を君にも伝えます。
それは、将来誰かに君の口から語って欲しいと思っているからです。

「優れている」とは、どういうことでしょう?

幼児の頃、「足の速い人」がすぐれていると感じていませんでしたか?

小学生の頃はどうでしょう?
「スポーツができる人」「発表をよくする人」がすぐれていると思っていました。

中学校、高校では「勉強ができる人」という感覚が強まります。
それから、目が大きいとか、「かっこいい」「かわいい」とか、容姿という要素が影響してきます。

大学に行くと「コミュ力が高い」「友達が多い」「オシャレ」「個性的」など。

働き始めると次第に「出世している」「収入が多い」「高層階に住んでいる」など、社会的地位や富が「すぐれている」の判断に関わります。
その期間は長いです。
いつの間にか足の速さや容姿は判断基準から消えます。

そう、僕たちの「すぐれている」の判断基準は年齢とともにブレています。
そんな曖昧なものに振り回されるのは残念です。

本当に「優れている」とは何でしょう?

答えは初めから書かれています。
「優」の字です。
優れているとは、優しいということです。
「優」は「人」を「憂う」と書きます。
「憂う」とは、簡単に言うと「心配する」です。
人の心配をしてあげられる人が、優しい人であり、優れている人のはずです。

サッカーが上手で、勉強もできた君は多くの人たちから「すぐれている」と思われ、そう褒められてきたと思います。

僕から見た君は…、きっと優れた人です。
でも、法学の道に進む君にはこれからもっと優れた人をめざして磨くべきです。
君ならわかると思います。
だから伝えます。

君への称賛、前途への祝福を贈ります。
よくやった!これからも頑張れ!

何かあったら遠慮なく連絡ちょうだい。


「優」の字は、よく卒業生に贈ってきました。
「人に優しく」の一言を贈ることもありました。
この先しばらく、僕が卒業生に直接言葉を贈ることはなくなると思うので、忘れないようにnoteに書いておくことにしました。

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