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あなたの一番好きな言葉は何ですか?

こんばんは、ヨシモトです。

これは僕が中学生の時の物語です。

小学校を卒業して、受験を経て私立の中学校に入学した。

地元とは離れた中学校に進学した為、知り合いは全くいなかった。

そわそわして落ち着かない。でもそんな不安は御構い無しに授業が始まった。

今でもはっきりと覚えているのは現代国語の第一回目の授業だ。

「あなたの一番好きな言葉は何ですか?」

先生がそう言って、出席番号順に前の人から順に前に出て発表することになった。

中学生デビューがかかっている。

皆んなそれぞれ人と内容が被らないように言葉を選び発表していった。

遠かったはずのカウントダウンが目の前に迫り、いよいよ僕の番が来た。

僕が発表した内容はこんな内容だった。

「僕が一番好きな言葉は『ありがとう』です。
なぜなら僕の行いが正しかったということで、人の役に立っということだからです。そしてその人を助けることが出来たことは僕も嬉しいからです。」

僕はその場をなんとか無難にやり過ごせたと思う。

僕の後ろには渡辺くんがい居た。

そして、彼はこういった。

「僕が一番好きな言葉は『ありがとうです』。
さっき発表していた”ヨシモト君”と一緒です。なぜなら僕もいいことをしたと思えるからです。... 」

まるパクリじゃねーか!!!

皆んなそう思っていたと思う。

必死になって人それぞれ言葉を探していたのに、発表した内容はほぼ一緒!

なんとなく僕もスベった気分になった。

そんな些細な出来事におろおろしながら僕の中学生生活は始まった。

時は流れて僕は中学3年生になった。

僕が中学生時代一番力を入れていたのは部活だった。

柔道部に入部した僕は、同学年の中で一番真面目に部活に取り組んでいた。

と言っても僕を含めて3人しか居なかったが、それでも一番真面目に練習に参加した。

中高一貫校だった為、高校生も同じ道場で練習していた。

中学生から見た高校生は何故あんなにも大人に見えるのか。体格のいい先輩方には怖さしかなかったのを覚えている。

そんなある日、練習中に右肘を脱臼し、さらに関節部分にヒビが入り肘が曲がらなくなってしまった。

この怪我を境に僕はあまり練習に行かなくなった。

それからしばらく経ったある日、道場に顔を出すと顧問に呼ばれた。

「やる気が無いな奴は退部だ!」と一蹴され強制退部になった。

手術もして肘はなんとか曲がるようになり、回復しつつあったが、体重が軽かった僕は試合でもあまり勝てずやる気が無くなっていた。

その頃、弟が病気で他界したりと家庭内も全く楽しくなかった。

周りに友達がいたので非行に走る様なことは無かったが、放課後はゲームセンターに入り浸るようになっていた。

その日もいつも通り仲のいい友達とゲームセンターに向かっていた。

いつも行っていたゲームセンターは学校の最寄駅の一つ先の駅にあった。

電車で向かい、階段を降りて線路の下をくぐって改札ホームにでた。

「今日は何する?」

友達を振り返ったがそこに友達はいなかった。

階段の下を見ると友達がおばあちゃんの荷物を持ってあげていた。

同じ階段を上っていたはずなのに、僕はおばあちゃんの存在に全く気がつかなかった。

階段を上り終わると、おばあちゃんは友達にこう言った。

『ありがとう』


「お前ええ奴やな。」 ボソッと僕がつぶやくと

「いやいや、あたりまえやろ!」

と返ってきた。

同じ道を通ったはずなのにおばあちゃんの存在に気がつかなかった僕と、

おばあちゃんの存在に気がつき、”あたりまえ”のように声をかけ荷物を持ってあげた友達

同い年なのに僕は自分が恥ずかしくなった。

ちっぽけな自分に嫌気がした。


僕はこの日、この友達を見習おうと心に決めた。

高校を卒業してからしばらく経って、友達に一度だけこの話をしたことがある。

「そんなことあったっけ?俺やるやんw」

と返ってきた。

当たり前にしたことだから覚えていないのだ。

でも僕はこの出来事をいまだに覚えている。

些細な出来事だが、友達がとてもカッコよく見えた。

口の悪い友達だが、僕はこっそり尊敬している。

スレかけていた僕の心はこの友達の行動に救われた。

ありがとう。

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