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拡大する「おひとり様」ビジネスについて

「おひとり様」という言葉がメディアに取り上げられるようになりしばらくたちますが、
新型感染症の流行により、その姿はさらに多様性を見せているようです。
本日は「おひとり様ビジネス」について取り上げます。

「おひとり様」といわれたのはいつから?


「おひとり様」という言葉は、2005年頃から使われ始めたようです。
生涯独身率が上昇したことや、一人暮らしの高齢者が増えたことで、
「家族を持たず一人でどう生きるか」といった心構えなどへの関心が
増してきたということがあるようです。

さらに、2007年にベストセラーとなった上野千鶴子さんの著書、
『おひとりさまの老後』によってさらに有名となり、定着することになりました。
 
また、このころから「無理をして恋人を作ったり、友人などと大勢で楽しむ」ことをやめ、
自分ひとりの時間を有意義に過ごす方がよいといったようなカルチャーが広まってきたことも、
「おひとり様」の拡大に拍車をかけたのかもしれません。

例えば飲食店などでも「予約は2名から」がほとんどだったようなのですが、「一人鍋」や
「一人焼肉」が登場し始めました。

従来、複数人数でワイワイと楽しむ食事も、一人で気軽に楽しむことができるようになったということです。

こうした一人で物事を満喫できる「おひとり様」に関するビジネスは、徐々に広がりを見せ、
「おひとり様デビュー」ができるアクティビティーがどんどん増えていきました。

誰かに気兼ねすることなく、楽しみを独占できる「おひとり様」ですが、SNSによって「シェア」できることで、
さらに浸透したのではないでしょうか?

例えば、誰かが「一人焼肉中」であるとSNSに投稿すると、それを見た人たちから「いいね」を送られることで承認欲求が満たされ、かつては「一人で食事する」ことの寂しさや抵抗感が薄らいでいるようです。

また、サービスを提供する側も、「おひとり様歓迎」ということをアピールするようになり、一人でお店に入る、という敷居が低くなりつつあるのかもしれません。
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「おひとり様」事情の変遷


ここで、インターネット調査会社「マイボイスコム株式会社」がまとめたアンケートをご紹介します。

「飲食店・レジャー施設をひとりで利用することの抵抗感」については、
「場所などによっては抵抗感がある」と「抵抗感がある」が調査ごとに減少し、
「抵抗感はあまりない」が増加傾向にあるようです。

また、「普段ひとりで利用する場所」については、ファミリーレストラン、定食屋・食堂、ホテル・旅館の宿泊、中華料理店、回転ずし、ケーキ・スイーツ・甘味店などが増加傾向にあることがわかります。

出展:​​​​​​「おひとりさま(一人でのサービス利用)に関するアンケート調査」 より抜粋
 

新型感染症の流行により加速した「おひとり様ビジネス」 


時間の過ごし方は、独身であっても既婚であっても「誰かと過ごす」こともあれば、「一人で過ごす」こともあるでしょう。
しかし、「人との接触をなるべく避ける」ように要請されるという前代未聞の出来事が起こってしまいました。
それは、新型ウイルスの流行による行動制限です。

人との距離をとるだけではなく、大人数での会食や都道府県をまたいでの外出など、さまざまな行動が制限されたことで、自己投資や「自分へのご褒美」として時間をかけたりお金を使ったりする気概が増えました。

2021年にSMBCコンシューマーファイナンスが調べたところによると、一人で行動・消費することにお金を掛けている人の割合は80.4%、ひと月にかける金額は平均9,637円となっており、前回調査(2019年)に比べて大きく上昇していることがわかります。

出展:SMBC コンシューマーファイナンス調べ より抜粋

外出制限によって自宅で仕事をする機会が増えたり、飲食店や旅行、買い物などに一人で行く機会が増えても、「意外と楽しかった」と思ったり、一人で行動していることをSNSで拡散し評価を受けたことで「また一人で行ってみよう(やってみよう)」という意識が芽生えたのかもしれません。

新たに加わった「おひとり様」ビジネス


感染症の世界的流行に伴い、一人で行動するという時間の使い方が増えたようですが、ここ数年で見かけることが増えた「おひとり様ビジネス」をご紹介します。

①ソロキャンプ
・・・ソロキャンプは、一人でテントを張って過ごすキャンプですが、人間関係のしがらみや都会の喧騒を離れ、大自然の中で一人で過ごすことでリフレッシュできるようですので、最近特に需要が高まっているようです。「SNSで誰とでも気軽に繋がれる」昨今ですが、「あえて誰ともつながらない」という選択をする方にはうってつけではないでしょうか?

②プライベートサウナ
ソロキャンプと関連が深いのかもしれませんが、プライベートサウナも近年需要が増えてきているようです。同じサウナを複数人で利用するのではなく、広さも1~2人が入れる空間で楽しめる完全予約制の貸切サウナです。今までのサウナは、不特定多数の人と空間を共有していましたが、一人ないしは二人ぐらいで空間を共有できるため「三密状態を避けられる」と評価されているようです。

③一人ゴルフ
感染症の流行は、ゴルフを始めるいい機会にもなったようです。基本的に屋外ですることが多いゴルフですので換気は抜群、といった理由からなのでしょうか。ゴルフはもともと、会社の同僚や上司、取引先のお客様などと楽しむことが多いようですが、一人ゴルフは、好きなゴルフ場やプレー日、スタート時間を予約すると、同じ条件で予約した人と一緒にプレーできるサービスです。
一人でプレーするわけではありませんが、周りに誘う人がいないときや、新しいゴルフ仲間を作りたい場合などに利用できるようです。


「おひとり様ビジネス」は、感染症の流行でさらに広がりを見せ、定着しつつあるようです。
サービスを提供する側も「おひとり様歓迎」であることをアピールしたり、一人でも使いやすい店づくり(一人でも居心地の悪さを感じない、くつろげるような空間づくり)をすることで、新たな顧客を呼び込むことができるかもしれません。


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