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適切な距離の確保

心地よくトレーニングするためには、それに適した動物との距離を保つ必要があります。動物との関係性のレベルによって、その距離の保ち方は変わってきます。ここでは、カレン・プライヤー アカデミーのトレイナー、ケン・ラミレス氏のトレーニングデモを元に、その方法を解説します。

1. 保護された場所での接触 Protect Contact 

初めて動物に接する時、動物が以上に興奮したり、攻撃的、あるいは怯えている時は、物理的な仕切りを解した保護された場所での接触を試みます。これは自分自身の身の安全を確保するだけでなく。適度な距離を保ち物理的に切り離されていることにより、動物のストレスを軽減するのが目的です。

フェンス越しに十分に安心して動物と接することができることを確かめてから、フェンスのない環境に移動しトレーニングをします。

2. 適切な距離とは

近すぎもせず、遠すぎでもない、適切な距離とは、自分の腕の長さを目安にします。そのために、強化子を与えるときは、腕をしっかり伸ばして与えるようにします。動物が自分の方ににじり寄ってきたら、動物の顎の下から胸元に向かって腕を伸ばして強化子を差し出せば、そのトリーツを食べるために動物は自ら下がることになります。これは一つの方法ですが、動物を押し戻したりするのではなく、自然と定位置にとどまれるように工夫するのが良いでしょう。このようにして常に適度な距離感を保ちながら動物に向き合います。

3. 定位置での滞在

せっかく確保した適切な距離も、動物が動いてしまうとその修正が常に必要となってしまいます。次の段階では、動物に望ましい定位置に止まってもらう練習をしてみましょう。これには、継続時間を少しづつのばしてくDuration を使います。初めは0.5秒、そして1秒と、本当に短い時間から始め、時間をかけて滞在時間を伸ばしていきます。その時に重要なのが、いつも同じ位置で強化子を提供すること。そうすると、動物は強化子が与えられる位置を把握し、わざわざ動いて強化子を受け取ろうとしなくなるため、同じ場所に留まるようになります。

4. ハンドラーの移動

どうぶつが定位置を確保できるようになったら、ハンドラーが動いてみましょう。正面で向き合うように位置していたのを、ハンドラーが動いて動物の側面や後方に移動して、動物に触る練習をします。これは医療行為を行うときに非常に役に立ちます。

ハンドラーが移動しても動物が動かないように、自分が動くけれどすぐにこの位置に戻ってきますよと動物に伝えるキュー(合図)を用意しておくとよいでしょう。ケンの場合は、移動の前に一歩真横に移動することをキューにしています。体勢によっても異なり、さまざまなキューの出し方があると思うので、これはほんの一例です。そして元の位置に戻ったらクリッカーを鳴らして強化子を与えます。お分かりのように、クリッカーもはいつも同じ位置で鳴らすようにします。

5. 思い通りにいかない時(エラーの修正)

動物の行動は必ず必然性を伴うので、ハンドラーの思い通りに動物が行動しなかった場合にその行動を「失敗」と呼ぶことはありません。「ハンドラーが望まない行動」を動物が取った時の「エラーの修正」。この場合のエラーは動物の行動をさしたものではなく、トレーニング上のエラーを指します。

まずエラーが出た時は、即時にトレーニングセッションを終了しますが、その直前に動物が必ずできる行動を行なって終了します。

エラーが出るのはさまざまな原因がありますが、大概の場合、強化子を出すスピードが適切でなかったとか、指示が明確でなかったとか、ハンドラーが一考すべき事がほとんどです。再度トレーニングの環境設定から見直し、エラーの出る原因を取り除いてから再挑戦するようにしましょう。

6. プラットフォームを使ったトレーニング

適切な距離の確保や定位置での滞在は、プラットフォームを使えば簡単にできます。(ターゲットトレーニングのヒント参照)ただ、プラットフォームが用意できない場所でも動物よ適切な距離を保てるように練習しておきたいものです。

動画を撮り #トレーニングチャレンジ  のハッシュタグを付けてSNSに投稿してみてください。ここに紹介されなかった全く新しい方法でも構いません。うまくいかなくて助言を求めたものでも構いません。楽しくトレーニングチャレンジしてみませんか?




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