母の認知症治りますか? 私達はどう答えるか


現在、認知症支援をはじめとする介護福祉は地域や家族を支えることも大きなテーマの一つです。

本人在りきの介護を大切にする事はもちろんの事、家族にも希望を与えるケアは大切です。

そこで介護の現場で家族に聞かれる事が多い
「認知症は、治るのでしょうか?」
という質問。

こんな質問がされたときあなたならどのように認知症患者のご家族へ答えますか?

今回は難しい話題となりますが、私自身が考える認知症との付き合いについて記載していきます。

1.「治る」と答えれば嘘になる。


認知症に100%有効な治療方法や治療薬は厳密にはありません。

医師でもこの質問に答えるのは難しいと思います。

私自身、多くの認知症の方と関わってきた中で治った方を見たり聞いたことはありません。

しかし
正しいケアや関わり方によって
・進行が緩やかになった。
・以前より少し行動や性格が穏やかになった。
・会話の流れが改善した。
といった事例は多くあります。

しかし関わる家族に対しては認知症状が見られるが、デイサービスや家族以外の知人やケアマネとの関わりの中ではスムーズな応対できる方が多いのもまた事実です。

その為、長く関わる方とそうでない方との間で認識の違いが生まれたり、
職員や家族に対して
「この人認知症じゃないよね?もう治ったんじゃないの?」
と言われる方もいるのもまた事実です。

画像3

2.認知症は、その一瞬毎に症状が違う。


これが1番難しいのですが、認知症は
良いときもあれば、少悪いときもあります。
それは、本人のその日の体調や気持ち、環境によるものが大きく影響します。

現在認知症の進行を抑える薬などはありますが、その薬の有効性も症状や合う合わないので大きく違ってくるので 一概に効果あるかは分からない事だらけというのが現状です。

画像4


3.本人今の状態を否定せず、受け止める。


認知症の方との関わりとして、1番大切な事になります。
それは今の状態、その瞬間に寄り添った対応をする事です。

ただ、ご家族は認知症を患う前の状態に戻ってほしいと考えていることも忘れてはいけません。

そして私達自身も
「認知症治らなくてもいいじゃん」
とは考えませんよね?

治るまではいけなくても、進行が進まないようお互いに努力する。
その為のご家族の協力は不可欠ですし、1番重要と言っても過言ではありません。

施設に預けっぱなしにし
「後は私達に任せてください!」
ではなく
「私達も同じ気持ちです。お互いに○○様を一緒に支えていきましょう。」
とお伝えする。
そしてご家族の気持ちに共感し、私達は共に支え合う同志であることを伝える事がこれからと介護では重要なキーとなるでしょう。


まとめ


誰もが一度は聞いたことがあるであろう、日本で最も普及している認知症診断のための知能検査
「長谷川式簡易知能評価スケール」
を開発した長谷川和夫先生。

本人が認知症になり初めて認知症の事が理解出来た、という内容です。

医師として認知症の関わった経験と、認知症になり認知症に罹った人間がどのような気持ちで日々生きているか、素朴でそしてリアルな言葉で書かれるのが特徴です。

長谷川先生本人がキリスト者である点も宗教と認知症というあまり交わりが無さそうな点で繋がる内容も視野を広げるきっかけになると思います。

ご家族は、医療、福祉分野で働く方はもちろんですが、認知症という病とまったく関わりがない方こそ是非読んで頂きたい一冊です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?