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根管治療の失敗リスクとは?再治療で抜歯を避けるために知るべきこと

こんにちは、吉松歯科医院です。

虫歯の治療として「根管治療」と呼ばれるものがあります。
根管治療をかんたんに説明すると、歯の神経を抜いて歯内部を洗浄し無菌状態にしたのち、詰め物・被せ物をして細菌感染を防止するという治療方法です。

根管治療を受けることで、虫歯による痛みを解消することができます。
しかしながら、根管治療の成功率は必ずしも高いわけではありません。
根管治療で失敗した場合、再治療ならまだしも抜歯の必要性も出てきます。
そのため、できる限り失敗を避ける形で根管治療を受けたいものです。

そこでこの記事では、根管治療の失敗率や失敗する原因、さらに失敗リスクを軽減するためにはどうすればいいのかという点についてお話していきます。

根管治療の失敗率と原因について

根管治療失敗②

虫歯による痛みは、その進行度合いによっては睡眠の妨げになったり食事もままならない状態になったりすることがあります。
そのため虫歯に悩まされている方の中には、すがる思いで歯科医院に駆け込む方も多いでしょう。

しかし信頼している歯科医院で根管治療を受けたにも関わらず、治療が失敗に終わるというケースは珍しくありません。
根管治療は、ほとんどの歯科医院で日常的に行われているものですが、その成功率は3〜5割といわれているのです。

まずは、根管治療の失敗率とその原因について解説していきます。

根管治療の失敗率は50〜70%

政府統計ポータルサイト「e-stat」が2010年7月に発表したデータによると、前年度の一年間における根管治療の保険診療請求件数が「13,501,152件」でした。
そのうち抜髄が「6,004,644件」、感染根管処置が「7,496,508件」となっています。
上記の抜髄は一回目の根管治療を指し、感染根管処置は再治療のことです。

参照元:社会医療診療行為別統計|e-Stat

つまり一回目の根管治療よりも、再治療のほうが圧倒的に件数が多いことがわかります。
これは、根管治療に失敗のリスクがあることを表しているともいえるでしょう。

もう一つ、東京医科歯科大学むし歯外来が発表した調査データがあります。
このデータからわかるのは、根管治療を終えたあとに再度根管部分に膿が出た割合です。

根管処理歯における根尖部X線透過像の発現率
上顎前歯・・・・約70%
上顎小臼歯・・・約60%
上顎大臼歯・・・約65%
下顎前歯・・・・約50%
下顎小臼歯・・・約55%
下顎大臼歯・・・約65%
智歯・・・・・・約70%
参照元:わが国における歯内療法の現状と課題|須田英明

これらのデータを統合すると、日本の根管治療の失敗率は50%〜70%ということがわかります。
これらの数字を確認すれば、根管治療の失敗を危惧する方が多いのも無理はありません。

根管治療が失敗する原因とは?

虫歯神経②

では、日本国内で受ける根管治療が失敗する原因として、何があげられるのでしょうか。
原因としてはさまざまありますが、主に以下のようなものがあげられます。

①歯科医院の設備等が整っていない
②歯髄を完全に除去できていない
③詰め物・被せ物が合っていない

一般的な歯科医院の根管治療においては、医師の感覚的な部分に頼っているケースが多いです。
レントゲン写真や歯根の長さを測る計測機器などを用いて治療を行いますが、治療箇所が見えていない状態で治療が行われています。

根管部分は非常に細く複雑化しているため、設備等が整っていなければ、なかなか治療箇所を目で直接的に確認するのは難しいのです。
その結果、虫歯菌に感染している歯髄を完全に除去できないといったことが起こります。
他にも再感染を防止するために詰め物・被せ物をしますが、これが適合していないと治療後も歯が痛んだり再感染したりして再治療が必要となるわけです。

根管治療の失敗を避けるためには?

根管治療失敗

ここまでお読みいただければ、根管治療には失敗する可能性があることがおわかりいただけたかと思います。
しかしながら「虫歯の痛みからいち早く解放されたい」「再治療になるのは避けたい」と考えるのが普通です。

では、根管治療の失敗率を下げるためには、どういったことに気をつければよいのでしょうか。

ラバーダム防湿による治療を行なっていること

根管治療の成功に欠かせないものが「ラバーダム防湿」と呼ばれるゴム製マスクです。
ラバーダム防湿を施すことで、根管治療の成功率を高められるともいわれています。
具体的には、治療中に歯内部に細菌が含まれた唾液が入るのを防ぐ役割があるものです。
ラバーダム防湿を施せば再感染のリスク低減、つまり再治療の可能性も下がるといえます。

海外においては一般化しているラバーダム防湿ですが、日本では保険診療による制限でラバーダム防湿を使用できません。
しかし歯科医院によっては、ラバーダム防湿を導入しているところもあります。
根管治療の失敗を避けるためには、ラバーダム防湿による治療を行なっている歯科医院を選ぶことが必須といえるでしょう。

顕微鏡で確認しながら治療を行なっていること

上述で根管治療が失敗する原因として、「治療箇所を目で直接的に確認できていない」ということをあげました。
しかし顕微鏡(マイクロスコープ)などを用いることで、肉眼では見えない箇所を拡大して見ることができます。

顕微鏡を使えば、細く複雑化した根幹部分をしっかりと確認して治療にあたることができるため、根管治療の成功率アップに繋がるでしょう。
担当医の経験と勘に頼りに行う治療に比べて、歯髄の取り残しなどのリスクも低減されます。

自由診療による治療を選ぶこと

歯科医院で受ける治療は、「保険診療」と「自由診療」から選択することが可能です。

保険治療は、治療費を安く抑えられる一方で、最善の治療を受けるのが難しいという側面も持っています。
一方で自由診療は、医療保険が適用されないため治療費が全額自己負担です。

その分、受けられる治療に制限がないため最善の治療を受けることができます。上述したラバーダム防湿なども、自由診療であれば可能になるというわけです。

保険診療で治療費を安く抑えても、根管治療に失敗して何度も再治療を受けるということになれば意味がありません。

どちらを選択するかは患者様の自由ですが、自由診療による治療を選択したほうが失敗率を下げられるといえます。

根管治療を途中でやめないこと

根管治療は、基本的に複数回にわたって治療が必要です。
治療回数の目安は、平均すると5〜8回といわれています。
虫歯の進行度合いによっては長引くこともあるため、先の見えない治療に途中で通院をやめてしまう方も少なくありません。

しかし途中で治療をやめるということは、虫歯の悪化に繋がります。
再治療を受けても、さらに治療期間が伸びる可能性もあるでしょう。
また治療が完了していない状態で放置すれば、最悪の場合、抜歯の必要性も出てきます。

根管治療を受けたら、必ず最後まで通うようにしてください。

根管治療の失敗リスクについて

根管治療に失敗した場合に、起こりうるリスクについて解説していきます。
根管治療に失敗するとさまざまな問題が起こる可能性があるため、できる限り失敗を避けたいところです。

例えば、以下のようなリスクがあげられます。

・膿による腫れや痛み、不快感が続く
・再治療の期間が長くなる
・抜歯しなければならない可能性が出てくる

膿による腫れや痛み、不快感が続く

根管治療後、歯肉に膿が溜まって腫れたり痛みを感じたりすることがあります。
これは、感染した虫歯内部をきちんと洗浄できていない可能性が高いです。

腫れや痛みだけでなく、膿が出てきたときの臭いや不快感も気になるでしょう。
放置しても症状が治まるわけではありませんので、いち早く再治療を受けることをおすすめします。

再治療の期間が長くなる

根管治療に失敗して再治療を受けることになった場合、一回目よりも治療期間が長くなります。
これは、すでに装着されている詰め物・被せ物を取り除く作業が必要だからです。

さらに感染がかなり進行している場合や膿が出ている場合、出血がある場合には、さらに治療期間が長引くでしょう。
再治療が長期化するほど治療費がかさばりますし、時間だけでなく精神的・肉体的なストレスもかかります。

不必要な再治療を避けるためにも、失敗リスクの低い歯科医院を利用しましょう。

抜歯しなければならない可能性が出てくる

根管治療が失敗し、歯に腫れや痛みを感じているにも関わらず放置し続けると抜歯しなければならなくなる可能性が出てきます。
歯を残すための根管治療で、歯を失うことになるのは何としても避けたいところです。

ご自身の大切な歯を残すためにも、根管治療後に痛みなど違和感を覚えたらすぐに歯科医院に相談しましょう。

根管治療の失敗に関するまとめ

根管治療は、決して高い成功率とはいえず失敗リスクが付いて回ります。
失敗を避けるためには、設備の整った歯科医院を選ぶことが大切です。
ラバーダム防湿顕微鏡(マイクロスコープ)による治療に対応している歯科医院を選択しましょう。

吉松歯科医院では、ラバーダム防湿の徹底はもちろん医科用マイクロスコープを用いた精密な治療を行なっています。
虫歯による痛み、根管治療に関する不安・悩みを抱えている方は、ぜひご来院ください。

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休診日:土曜・日曜・祝日

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