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短歌

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#現代口語短歌

【短歌】葬列へさえも日差しは降りそそぎあなたの薄いまぶたをなぞる

葬列へさえも日差しは降りそそぎあなたの薄いまぶたをなぞる お変わりはございませんか本日はお日柄もよくとりあえず死ね がら空きのエレベーターが昇ってくたかが生活たかが人生 まどろみのさなかに死ねる破れかけの卵の中で腐っていれば ぼくの手が消えたいきみの手を救うその手できょうは羽虫を潰す 「愛」の語を作った人は誰ですかあなたのせいでずっと苦しい 母親の通勤路沿いに新しいパン屋ができたらしい死にたい けんもぐもつかないことをことさらにつまずけぬままあるきつづける 明

【短歌】きらきらと川は斜陽を跳ね返し明日の不安を嘲っている

首元にかるい木綿の肌触りどうせ脱ぐ服どうせ死ぬ人 きらきらと川は斜陽を跳ね返し明日の不安を嘲っている 白雪を穢して惜しむこともない僕は地獄に堕ちるんだろう 降る雨も恥じらうような安寧があなたの眠りでありますように 木枯らしに揺れる信号機がならぶどうやら日々はしばらく続く ゆうやみの見知らぬ風にさらわれることが幸福なのだと知った 未だ見ぬ傷の痛みを生まぬため小指の糸を噛み切っている でも いずれ きみとわたしは別れるし平気な顔でケーキも食べる 制服で、だけれどわ