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日本を窒息させている言葉ランキング

それはこのツイートから始まりました。

言葉の持つ威力に興味があるので、これは面白いと思い、調子にのって以下のように「日本を窒息させている言葉ランキングを開催します」というツイートをしたところ、予想をはるかに越えるたくさんのエントリーを頂きました。

ランキングと書きましたが、数を数えて競ってもあまり意味がなさそうなので、いくつかのグループに分けて全て紹介することにしました。

最初に全てを書き出して、それをグループに分けていっただけなので、同じ言葉が何度も出てきます。出てくる回数を数えて数字を書くより、そのまま載せておいた方がビジュアルに分かりやすいだろうと思って、そのままにしてます。


世間・みんな・普通

「世間」や「みんな」や「普通」という言葉は強力な言葉です。そこに価値の源泉があるような使われ方をすると、個人の意見なんて簡単にねじ伏せられるような圧力を感じます。それに近いものをここに集めました。

「普通は」
「みんな」
「日本に生まれてよかった」
「みんな言ってる」
「これ、目立たないかな?」
「出る杭は打たれる」
「世間様に顔向けできない」
「それ、浮いてるよ」
「みんな」
「決まりだから」
「常識だから」
「普通じゃない」
「世間体」
「普通は」
「皆そう言ってるよ」
「皆そうやってるよ」
「ありえなくない?」
「郷に入れば郷に従え」
「ふつう〇〇でしょ」
「そんな事、他人にも言えない」
「せめて人並みに大学出て…..」
「器量は10人並み」
「......さんは良いところへ行った(金持ちと結婚した)」
「何でみんなと同じ行動が出来ないの?」
「みんなやってるよ」
「マナーがなってない」
「普通は」
「みんな言ってる」
「普通なんだから」
「自分勝手」
「普通は○○ダヨネ」
「出る杭は打たれる」
「一般常識だろ」

迷惑

「迷惑」という言葉自体に窒息要素はないでしょう。ただ、それが世間やみんなの視線というお墨付きをバックに持たせて使われると、上のグループと同じような働きをするのだと思われます。

「迷惑」
「迷惑なんですけど」
「他人に迷惑」
「迷惑」
「周りに迷惑をかけない」
「人に迷惑をかけるな」
「人に迷惑かけるな」

空気

他人の感情や意向を察するというのは、どこの文化にもあります。「空気」もそういう意味では同じはずです。しかし、日本ほど集団的「空気」の圧力感の高い文化は珍しいのではないでしょうか。
「空気」の絶対権力の前では個人は全く無力化される。そんな世界が日本のようです。

「空気読め」
「空気を読め」
「空気読めない」
「空気読め」
「あいつ空気読んでねぇ」
「空気読めよ」

忖度

これは「空気」と同じことかもしれません。見えないもの、言われないことを理解しろと言ってるわけですから。

「言われなくても動け」
「新人はお茶汲みから」
「見て覚えろ」
「黙ってハイと言いなさい」

年齢・長幼

日本ではいまだに上下関係の維持が厳格な掟として生きており、その上下を決定する要素の大きなものが年齢・長幼というものです。朱子学の影響が強固に残っている例だと思います。
他の国でも伝統的村落共同体が残っているような場所では同じ例が見られますが、いわゆるグローバル・コミュニティで生きている人たちの中では急速に希薄化しています。北米や西欧・北欧では日常的には消滅したと言ってもいいと思います。

「年甲斐もなく恥ずかしい」
「いい歳して」
「年齢考えろ」
「もう年だから」
「いつ結婚?」
「子供はいつ?」
「何歳ですか?」
「若いくせに生意気だ」
「長幼の序をわきまえろ」
「大人になれよ」
「年上だから」
「目上だから」
「年下だから」
「先輩、後輩」
「いい歳して」
「年を考えろ」
「そういうのは偉くなってから言え」
「一人前になってから言え」
「大人の事情」
「大人の事情」
「大人になれ」

脅し・恫喝・説教

これも実は上下関係を源泉にしていると思います。日本では、上から下への命令口調というのは日常社会に厳然と存在します。個人の尊重が上下関係に優先される社会では、このような表現は対等な人間関係を破壊するので使われないのでしょう。同じ内容は、必要なら示唆とか提案にとって変わられます。

「通報しますよ」
「そんなこと言ってると嫌われるよ」
「静かにしろ!」
「それいいと思ってやってるの」
「それはこちらが考えること。」
「理屈じゃないのよ」
「えらそうに…。」

精神論

日本では竹槍は健在です。B29爆撃機は竹槍で落とせるのだから、ドローンも竹槍で落とせます。信じ難いですが、まだそう信じられているとしか思えない言葉が飛び交っているのが日本です。

「我慢」
「我慢しなさい」
「欲しがりません勝つまでは」
「甘えるな」
「根性なし」
「みんなガマンしてる」
「とりあえず3年」
「苦労は買ってでもせよ」
「頑張れ」
「それは甘え」 
「気合いが足りない」
「ポジティヴ思考」
「前向き」
「楽をしては、いけない」
「みんな頑張ってる」
「わがまま言うな」
「しんどいのは皆一緒や」
「覚悟を持ってやり抜く!」
「〇〇しなければならない」
「絆」
「甘えている」
「(嫌いなことでも)「努力しろ」
「(亡くなった人)の分まで生きなさい」
「俺たちも我慢してきたから、お前も我慢しろ」

責任

「自己責任」がこんなに出てきたのには、ちょっと驚きました。日本に長い間住んでないから、実感として感じていないからだと思います。「自己責任」なんて変な言葉、というか概念を海外では聞いたことありません。以前、「自己責任」について、こんなツイートをしたことがあります。話が見えやすいように、元のツイートと両方載せます。
何を言いたかったかと言うと、物事に責任を取るべき人がその責任を取らずに、他の人に押し付ける時に使われる言葉が「自己責任」だと言うことです。そう言う事態が横行している、責任者が責任を取らず、責任を押しつける社会なら、そりゃ息も詰まるでしょう。

「それは無責任」
「休むのは無責任」
「断るのは無責任」
「参加しないのは無責任」
「自己責任」
「自己責任」
「自己責任」
「自己責任」
「連帯責任」
「自業自得(自己責任)」
「自己責任」
「自己責任」
「自己責任」

冷笑

冷笑はツイッターの基本ではないかと思うほど、多いなあと思いますが、やはり出てきました。これは窒息社会で生存するための一種の適応じゃないのかと思い始めたところです。冷笑することによって、自分は一段上にいるのだと深層で思い込むことによって、窒息から逃れたと思い込む。実体は何もない、はかない快楽だと思いますが。

「どうせ〇〇なんでしょ?」
「どーせむり」
「意味なくね」
「それ自慢?」
「お前なんかにできるわけがない」
「冗談なのに、何ムキになってんの?」
「まあ、どっちでもいいけど」
「あとで泣きついてきても知らないよ」
「そういうことにしておいてあげようか」

嫉妬

「ずるい」というのは公正さが欠けたことに対して使う言葉だと思いますが、そういう使われ方をされてないのだと思います。みんなが列に並んでいるのに横入りしたら「ずるい」ですが、誰かが人より努力して抜け出たら、それはずるくないはずです。ところが、そこで「ずるい」が使われる。足を引っ張って引きずり下ろそうとする。ここに出てきたたくさんの「ずるい」はそういうことだと思います。みんな一緒じゃないといけないという社会の圧力です。

「ズルい」
「ずるい」
「ズルい」
「ずるい」
「ズルい」
「ずるい」

男根

日本社会の隅々まで行き渡っている男根主義は恐るべきものです。一度は先進国とまで言われた国でよくぞ、まあ、ここまで前近代的な習俗が残っているものだと思います。女性が窒息するのも当然だと思います。

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「旦那さんいいって言ってるの?」
「だから女はダメなんだよ」
「女子力」
「美魔女」
「女子力」
「子供は大丈夫?」
「独りで夫と子供から離れて自由に勝手な事して良いの?」
「主婦なのに?」
「甲斐性」
「きれいになりたい」
「かわいくなりたい」
「痩せたい」
「ウチの嫁にふさわしくない」
「女子力」
「自分女やのに何でここおるん?旦那探しに来たん?」
「君の作った味噌汁を飲ませてくれないか」
「女だから、女のくせに」

へつらい・自己卑下

同じ人間が、一方では、へつらい、自分を卑下し、他方では、バカ殿のような横柄な態度を取る。日本人の、この醜い習性は世界にバレているし、嘲笑と軽蔑の目玉商品です。
もういい加減、卑下する必要も、横柄になる必要も感じない日本人が出てきているのに、いつまでこんなこと言い続けないといけないのかという言葉の一覧です。

「ツマラナイものですが」
「愚妻」
「愚息」
「どうせ私なんか」
「私もうおばさんだから」
「私なんか〜」
「つまらないものですが」
「いえいえ」
「そんなことないです」

レッテル・揶揄

このグループに入る言葉がどうしてここで出てくるのか最初ピンと来ませんでした。おそらくですが、これは型にはめ込まれるという意味なのかと思ってます。なんかちょっと真面目なことを言ってしまうと「意識高い系」に分類されたりする。そこには若干の揶揄が込められて。そういう「型にはめる」という窒息術がここにあるのかと思います。

「意識高い」
「意識高いね(笑)」
「意識高い系」
「愛され系」
「癒し系」
「○○キャラ」
「〇〇系(なんでもカテゴライズ)」
「まじめ」
「モテる女/男の仕草」
「モテ術」
「男/女ウケ」
「キモい」
「アラサー」

追い討ち・セカンドレイプ

何か失敗をする、酷いことが起きる、そんな時に理解を示すとか、いたわりの言葉ではなく、トドメを刺すような言葉、まさにセカンドレイプのような言葉がこのグループです。これはギスギスした社会の病状なのか、日本古来の習性なのか、いずれにしろ、これは息が詰まる。

「それ見たことか」
「いじめられる方にも問題がある」
「痴漢されるほうに問題がある」
「差別される方に問題がある」
「言っただろ。」
「前に古人も後ろに新人もいないだろう」
「ほらね」
「言ったじゃん」
「どっちもどっち。」
「空見た子とか」
「(人身事故アナウンスで)また電車遅れる」
「(人身事故アナウンスで)○ぬなら1人で○ねよ」

諦め・Discourage・いじけ

これはやや冷笑に似ている。ただ、積極的に否定を押し付けるような点で少し違うなと思ったので、別グループにしました。Discourage に相当するいい日本語が思い浮かばなかったのでそのまま書きましたが、要は励ましたり、応援したりするのと全く反対のことです。やる気を失わせたり、ケチをつけて意欲を削ぐようなこと。そんな態度が横行している

「そんなの出来っこないよ」
「失敗したらどうするんだ」
「どこも一緒だよ」(転職したいと言うと言われる言葉)
「◯◯はそういうものだから」
「それ無理でしょ」
「もう遅いけど」
「そんなんして何の意味があるねん」
「〇〇出来ない」
「どうせ〇〇〜」
「分不相応…」
「なんもできねーくせによぉ〜」
「やるだけ無駄」
「何だかんだ言っても」
「言われる内が華」
「〜のくせに」
「調子に乗るな、できるわけないやろ」
「人の話聞いてへん」
「まぁまぁ、そう硬いこと言わんと…」
「〜ウケしないね」

職・労働・形式

ここには職場や仕事上で使われる言葉を集めました。日本の仕事環境に詳しくないので、あまりしっくりこないのも入れてしまっていると思います。よく分からないなあと思いながら読んでいて思ったのは、形式主義が強固に残っているのだということです。その形式にはめられていなければいけないという圧力がここにはあるのかと解釈してます。

「お疲れさま」
「よろしくお願い致します」
「ほかの従業員に示しがつかないから」
「情けは人の為ならず」
「みっともない」
「定時で帰る奴はやる気がない」
「若い時は死ぬ気で働け」
「大学を出ないと就職できない」
「経営者意識をもって」
「いらっしゃいませ」
「風邪をひいても休めないあなたへ」
「前例がない」
「前例がない」
「おもてなし」
「キチンとなさい」
「ちゃんとしないと」
「誤解させたのなら撤回します」

閉塞・鎖国

日本を世界の中に位置付けられない人が発する言葉はすぐに分かります。日本スゴいでもなく、海外命でもない日本人がいくらでもいるというのに、鎖国用語がのびのびと生きている時代錯誤な社会はもう世界でも珍しくなってきたと思います。

「アナタ、日本人?」
「洋楽」
「日本にいるから英語必要じゃないでしょ?」
「日本では浮くね」
「国へ帰れ」(外国籍や移民、混血の方に対して)
「愛国心」
「反日」
「洋楽」

思考停止

これもやはり型にはめるということだと思いましたが、あまり馴染みのない言葉で実はよく分かってないかもしれない。こういうスローガンみたいな言葉で片付けるとそこから先は話が展開しなくなるなあと思いましたが。

「自己啓発」
「コスパ」
「ネタ」
「コミュ力」
「ネタばれ」
「賞賛の嵐」
「神回」
「イタイ」

差別・侮蔑・身体・見た目

表面上は穏やかに聞こえるけど、侮蔑心がこもったような嫌らしい言葉のグループです。

「お里が知れる」
「時給いくらで働いてるの?」
「そんなこと気にするなんてお前だけ」
「太った?」
「痩せた?」
「あなたらしくない」
「女らしくない」
「若者らしくない」
「おばさんらしくない」
「主婦らしくない」
「お母さんらしくない」

ツイッター

最後にTwitterでよく見る言葉です。自分で勝手にルールを作って、勝手に恐縮したり、勝手に怒ったりして、何がしたいのかさっぱり分かりません。

「FF外から失礼します」
「巻き込んでます」

以上です。皆様、ご協力ありがとうございました。

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