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『カブール・ノート』英語版のためのクラウドファンディング

『カブール・ノート』の英語版を出版するためのクラウドファンディングをKickstarter が始まりました。アメリカ東部時間の7月24日、日本時間の7月25日から60日間地味に続きます。

下は、そのために書いた全然クラウドファンディングらしくない能書きです。4年ほど前に、シンガポールのスタートアップのクラウドファンディングを手伝ったことがあります。初めてだったので、外から見ているよりやることが多いことにちょっと驚きました。それよりも、常にuplifting な雰囲気を出し続けるのがどうも自分に合わない気がしたのを覚えています。だから、今回は普通に伝えるのが必要なことだけ書くことにしました。

日本での英語版の需要はほとんどないだろうと思うので、アメリカのプラットフォームを使うことにしました。といっても、どこの国からでも支援者になることは出来るので、英語の共通語レベルが著しく上がって来た今となってはアメリカのプラットフォームという言い方は変なのかもしれません。

クラウドファンディングは、原初的には多くの人が少額の寄付を通して、新しいアイデアや開発を支持するようなものでしたが、現在は新商品の先行販売のような色彩が強くなっています。だから、クラファンのプラットフォームが今ではEコマースのお店サイトのように見えます。それでも、突拍子もないアイデアに寄付を募ってるような人もまだ健在で、クラファン・サイトを見ているとなかなか面白いものにも出会います。

英語版を出せということは、出版当初からずっと言われてました。ただ僕自身がその必要性をあまり感じていなかったので、何もしてませんでした。なぜその必要性を感じていなかったかというと、『カブール・ノート』は書いていた時から、日本人へのメッセージという意味が強かったのです。もちろんアフガニスタンの話ですが、アフガン研究ではなく、むしろそこで考えることの中心は日本と言ってよいくらいです。

アメリカがアフガニスタンを空爆してから20年以上、アメリカはイラク、リビア、シリア、ウクライナと戦争に関与し続け、アフガニスタンは結局タリバン政権に戻りました。絶えず悪魔と天使が作り出され、傍観者が一喜一憂する間に、人類の悲惨は世界のいたるところで一度もとまることなく続いている。同じ人間の中に悪魔と天使が共存する事実から目を逸らし続ける限り、ゲームのようにリプレイされ続ける悲惨は終わらないだろうと思っています。情景を描写するという形でそれを書き続けたのが『カブール・ノート』でした。野卑な政治屋のように咆哮するのが苦手だからそういう形になっただけです。一度 retreat して、考える機会を持つべきなのは、日本人だけでなく、アメリカも含めて世界の人だろうと思います。世界の人々の retreat に使えるものとして、英語版を考えました。

日本語を書く時は誰でも日本語で考えていると思います。それと同じように英語を書く時は英語で考えてます。それは日本語を英語に翻訳するのとはまったく別の作業です。仕事はすべて英語でやってきましたが、そこに日本語を英語に直すという仕事は全くありませんでした。元から英語です。英語のインプット、英語による思考、英語による議論、英語による独り言、英語による寝言、英語によるアウトプット。一つの言語を別の言語に直すというのは、それらとは独立したスキルです。

自分が書いた日本語を自分で英語に翻訳するというのは、頭の中が捩れるような奇妙な感覚になります。英語に直す過程で英語が一人歩きし、やがて英語で考え始めて英語を書いていることに気が付きます。自分ではない他の誰かが書いた日本語として扱えないからでしょう。翻訳が出来る人に頼みたいと思ったのは、そういう理由です。おそらく今ならAI 翻訳を下訳に使って、それを直すという形で超スピード翻訳も可能だと思います。

All-or-Thing 方式のクラウドファンディングなので、目標金額に達しない場合、プロジェクトはキャンセルになり、支援金は返金されます。英語版が出るかどうかはクラウドファンディングの結果しだいということです。

下図をクリックすると。実際のキャンペーンサイトにとびます↓

Kickstarter - Kabul Note


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