アクション小説としてのヴァイオレット・エヴァーガーデン(ネタバレあり)

ヴァイオレット・エヴァーガーデン、劇場版を初日朝に見に行って感動することしきり。
劇場版についてはまた追って書くとして今回は原作をベースにヴァイオレット・エヴァーガーデンを論じます。
なお原作未読でネタバレがいや、という方は閲覧ご遠慮ください。
アニメ未視聴でネタバレ見たくない人もここで閲覧やめたほうがいいでしょう。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンの1巻目、上巻の1話である小説と自動手記人形ですでにヴァイオレットは水面を3歩歩くという常人離れした運動神経を見せています。
2話の少女と自動手記人形ではヴァイオレットが護身用に拳銃を持ち、次の依頼人が紛争地帯にいることが示され、戦闘の予感を感じさせます。
3話の青年と自動手記人形でついに戦場が舞台となり、依頼人であるエイダン・フィールドが兵士として激戦を戦った末に力尽き、ヴァイオレットは斧と格闘でエイダンの敵兵を叩きのめします。
絶体絶命のエイダンを臨終の間際のみとはいえ驚異的な戦闘力で救い、遺体を故郷に持ち帰るヴァイオレットがタダものでないことを読者は感じるでしょう。

4話の学者と自動手記人形ではアクション性は見せませんが5話の囚人と自動手記人形では刑務所で依頼人である囚人エドワード・ジョーンズに面会の際、拳銃にナイフ、暗器を看守に預け、改めてヴァイオレットの常人ならざる武装が示されます。直接の戦闘はありませんがエドワードの凶悪無比な犯罪が列挙され、ヴァイオレットとの緊張した会話が続きます。
更にヴァイオレットが過去少女兵、それも特殊部隊で上官とともに戦ったことが明かされます。
6話の少佐と自動手記人形でヴァイオレットの軍人時代の過去が明かされます。ここでヴァイオレットの母国ライデンシャフトリヒやヴァイオレットの上官である陸軍軍人ギルベルト、ヴァイオレットを見つけたギルベルトの兄である海軍軍人ディートフリート、2人の家であるブーゲンビリア家、さらにギルベルトの友人である陸軍軍人ホッジンズについて諸々述べられます。
ヴァイオレットはディートフリートの船に入った強盗5人をあっさり全滅させ、更に陸軍遊撃部隊への入隊に際し死刑囚10人をこれまた1人で全滅させます。ディートフリートもまた船が遭難し、漂流した島で部下を全滅させられているのです。
いずれの場合でもヴァイオレットの戦闘は鮮やかです。
ランボーのごとくナイフから弓、素手まで駆使し倒していきます。
その後は戦場での戦いが描かれ、ヴァイオレットが両腕を失いギルベルトと別れる場面に至ります。
1巻目ですでにこれだけのアクションが描かれているのです。
2巻目の下巻以降は戦争ではなく平時のアクションが主眼ですがピンチをあっさりと切り抜けるヴァイオレットの戦いぶりには吸い込まれていく読者も多いでしょう。
郵便会社同士の戦闘などときには意表をついた展開もあります。
アニメでもこうしたヴァイオレットの超人的なアクションが描かれています。
武器やその他科学水準などは20世紀前半、第一次世界大戦前後がベースと思われ、当時のボルトアクション銃などを駆使した戦いが描かれます。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンの魅力の1つはこうしたアクション小説としての面白さです。

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