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【水の探究】大地は貯水池である

本日も過去に書いた水の探究の記事より、
抜粋しました。

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大学時代の恩師でもある藤原成一先生の本に、
次のような文章がありました。

『富士山の周りはぐるりと龍神がとりまいていた。
富士の伏流水の出現するところに人びとは集住し、四時を通じて絶えることなく変わることなく生命の水を与えてくれる湧水を水神として祀った。
幾度にもわたる大噴火によって堆積して山容を形成した溶岩は、山に降る膨大な量の雨水や雪をしみ込ませ貯える巨大な貯水槽であった。』

藤原成一・著『富士山コスモロジー』より


富士山には草山(山裾~2合目あたり)、木山(2~5合目くらいまで)、
焼山(5合目から山頂)という3つの姿があります。

草木の生えない焼山は、雨水や雪を岩肌から吸収して、
山懐に深くしみ込ませ、しみ込ませつつ水を浄化する巨大な浄化装置。

それが樹木の茂る木山地帯で木々を潤しながら、
地下深く貯水されて、さらに浄化されているのだそう。

今のように観光地化される前の富士は自然本来の姿であり、
人々は水という生命の基本となる恵みを受けてきました。
かつては、それを確かめるための富士山麓巡りであった、
と先生の本には書かれています。

さてさて、東京の水源について探っていても、
やはり大地のことに行き着いてしまいます。

東京都の地図を広げてみます。
西の方から順に山地(奥多摩の山々)、丘陵(狭山丘陵や多摩丘陵)、
台地(武蔵野台地)、低地(東京湾のある東側、河口付近)となります。

武蔵野台地は関東ローム層という赤土で、
今から約12万年前から1万年くらい前に、
富士山や箱根山が噴火した時に積もった火山灰でできています。

この地層は小金井市付近では10メートル近くも堆積していて、
水を通しやすいのだそうです。
その下にある、小石の積み重なった「れき層」も水を通しやすい。

武蔵野台地に降った雨は地面に沁み込みます。
(藤原先生風に書くと貯水槽)
地表はススキやカヤばかりが生えた野っぱらで、
水に乏しい地帯ということになります。
しかし、地中には水が溜め込まれている。

武蔵野台地の端に行くと、湧き水の出るところがあるので、
人々はその近くに集落を作って住んでいました。
丘陵や台地に降った雨が貯水槽のように地面に貯め込まれ、
関東ローム層とれき層を通って粘土の層の上に流れ出たものです。

東京の湧水は火山の恩恵。
ルーツをたどっていくと富士山の噴火によって堆積した火山灰にいたります。

山や大地を見て、水を想う。
自然の凄さを改めて感じさせられました。

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