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読書感想文

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読んだ本や文章の感想を書いたものです。
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#読書記録

『リーチ先生』(原田マハ 著 集英社文庫 2019)読書感想文

タイトルにもある「リーチ先生」こと、バーナード・リーチはイギリス人の陶芸家だ。若き日は東京に居を構え、創作活動に勤しんだ。柳宗悦や濱田庄司らとの親交も深かった。 本書は沖亀乃介・沖高市という陶工親子とリーチとの交流を描いた美術史小説である。主人公である沖親子はフィクションらしいが、リーチはもちろん、柳宗悦や濱田庄司といった実在の人物も多数登場する。 本書のメインは若き日の沖亀乃介(カメちゃん)の視点で描かれたリーチの半生である。亀乃介はひょんなことからリーチの弟子となり、

『なぜ科学者は平気でウソをつくのか』(小谷太郎 著 フォレスト出版 2021)読書感想文

今のところ、研究の世界は捏造などの研究不正(ウソ)と縁を切れていない。世間を騒がすような研究不正も登場する。そのような研究不正は元々、研究業界やマスコミを歓喜させる大発見だった。 本書は、常温核融合やSTAP細胞などの科学史に刻まれた研究不正について書かれた新書である。 研究不正は一時、大発見として取り沙汰されてしまう。しかしながら、後々、論文内の不可解な記述や追試の失敗などにより、各所から疑念が浮かび上がり、ウソであることが暴かれてしまう。 本書では、大発見として発表