朝永振一郎「滞独日記」から学ぶこと
影響を受けた本は何冊かある。朝永振一郎 著・江沢洋 編『量子力学と私』に収録されている「滞独日記」もその一つだ。「滞独日記」はノーベル賞を受賞した物理学者・朝永振一郎博士のドイツ留学時代の日記だ。どこが好きなのかと言えば、ネガティブ発言のオンパレードなところだ。
例えば、「丁度自分一人とりのこされて人々がみな進んでいくような気持ちがするのである」「どうして自分はこう頭が悪いのだろう、などと中学生のなやみのようなものが湧いてくる」「世の人々のだれを見ても、自分より優れていると