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レコードが似合う雪景色

ウランバートル にあるナショナルパーク。
1周5km近くあるジョギングコースを備えた
そのエリアは、ただただ広いの一言です。

短い夏、黄色や紫の花々がサイクリングコース
の脇をいろどり、遠方をぐるりと囲んだ山々を
はじめ、目に映る景色すべてが緑一色で
覆われていました。

それが今は、雄大な山脈も、
大地も、すべて真っ白な雪一色。

その広大なパークの中に、韓国の伝統的な
建造物がある憩いのスペースがあります。

ミシッ、ミシッという音とともに
冬のモコモコブーツで、ふかふかの雪を
踏みしめてそのエリアへ入っていくと、

そこに広がるのは、
しっとりとした真っ白な空間。

最初は、背後でカラスが鳴いていました。
’カァ、カァ’から’クワッ、クワッ’となり、
そして、’ゴホッ、ゴホッ’、

それが、しまいには 'ゲホッ、ゲホッ’だって!
こんな鳴き方するカラス、いるん??

「ちょっとアンタ、大丈夫?」笑いながらも
ちょっと心配しました。

カラスの鳴き声、意味がわかったら
おもしろいだろうな。

そのゲホゲホカラスが飛んで行ったあと。
ぴーんと糸を張ったような静寂感が
広がりました。

あぁ、この感覚。

20数年前にバックパッカーとして、初めて
モンゴルへ足を踏み入れたときに
「全身で聞いた静寂感」。

まったく音の聞こえない世界。
これは前にも後にも、このモンゴルでしか
経験したことがないのですよね。

このことは、以前、別のところにも
書いたことがあるのですが
今回思ったのは、

私には静かだと感じていても、人間が聞くこと
のできる周波数の「可聴域」を超えた音は、
きっと存在しているのだろうなということ。

今はもうほとんど見かけることのなくなった
レコードですが、レコードは「可聴域」を
超えて録音されていたそうですよ。

片やCDは、可聴域だけ取り出して
デジタル処理されるのだと。

可聴域を超えた音は、私たちの耳には
聞こえなくとも、心地よく感じられる癒しの
作用があるんだそうです。

だからなのかな、この静寂な雪景色の空間に
身を置いたとき、
「あぁ、レコードだなぁ」と思ったのですよ。

CDだったら何の音も入らない無の空間。

でも、レコードだったら、可聴域を超えた
自然が織りなす幾層もの音を
全部ひろってくれている。

「モンゴルの雪景色」と題されたアルバムを
聴いている感覚。

だから、癒されたんだな。

自分を研ぎ澄ましてくれる
「自然がもたらす静寂なレコードの空間」
あなたもぜひ、見つけてください。

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