見出し画像

浅井堂岐、雀王への道程

(会報コラム「ボーダーライン」第7号/2022.12)

第21期雀王決定戦は、浅井堂岐の優勝で幕を閉じた。

浅井は終始ポイントをリードする形で最終的に逃げ切ったものの、
その道中は決して平坦な道のりではなかった。

3日目の第14回戦(全20回戦)。

ここまでのポイントリーダーは浅井で+170.4。
この半荘も南3局に31400点持ちで、松本吉弘と同点トップの位置につけていた。

17200点持ちの東家渋川難波が、初巡に南をアンカン。

ドラは5sと7sになった。

20000点持ちの南家仲林圭が、松本から白ポン、そして渋川からドラ5sをポンして25s待ちハネマンテンパイ。

ここに松本が2sを切るも──、

仲林はアガらない。

さらにツモ切られる松本の2sをまたスルー。

親の渋川が、南アンカン、ドラ5s切りと一触即発の状況にもかかわらず、
仲林はこの薄い25s待ちを二度も見逃した。

仲林自身は現状ポイントが▲115.7pと、是が非でもトップを取りたい。
喉から手が出るほど欲しいハネマンだが、ラス前にここで浅井以外からアガッても、良くて浅井とトップ2着まで。
オーラスに31400点持ちの浅井がすぐ捲り返すこともあるだろう。

ここは、浅井からアガる──。
強靭な意志を込めた仲林の見逃し直後に、渋川からリーチ。

仲林が歯を食いしばって危険な4sをツモ切る。

そして浅井が渋川にも仲林にも安全そうな2sを手から抜き──、

仲林の執念が、実を結んだ。

この半荘はオーラスに浅井が松本に放銃して、なんと浅井はラスで終了。
浅井のリードを許すまいと、他三者は必死にしがみついていく。

しかし、日が変わって最終日の16回戦。

オーラス東家仲林がこのテンパイで、やや時間を使ってのリーチ。

待ちに不満はあるが、浅井が37700点でまたもトップ目。31300点の仲林は、足止めも含めて曲げるしかない。

これにカン3pでテンパイを入れていた浅井が、

掴んだ7mを一発で通す。

その後も、2m9p1pと無スジを猛連打。

しかし待ちの3pは仲林にアンコだ。
さすがにこれをアガるのは厳しいだろう。

そこに浅井が持ってきたのはドラの8pである。

ここから先は

995字 / 7画像

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?