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麻雀漫画の原作その1。

(無料部分も結構あるので読んで下さいね。作品の原作自体は2話出しておくので、面白そうor原作ってどう書いてるの?って興味ある人はどうぞ200円ばかり投げて下さい。ありがとうございます!)

みなさんは、麻雀漫画の原作って興味ありますか?

私はご縁があって近代麻雀などでいくつか書かせていただいたんですけれども、そもそも原作ってどんな感じで書いているのか、自分ももしかしたら書けるんじゃないか、と思っている方もいるかもしれないので、自分の書いた漫画の原作を公開したいと思います。

基本的には文章なんですが、漫画の心得がある人ならば絶対にネームで書けた方がいいです。

自分もネームで書くことを編集さんに勧められたことがあるのですが、これはかなり練習がいる作業だと思います。やってみるとわかるのですが、漫画家さんという職業を、本当に尊敬すると思います。

さて、ここで紹介するのは昔近代麻雀オリジナルという雑誌で連載していた「ジャッジメント -猟犬の闘牌-」という漫画の原作です。

当時の担当編集さんに、「天牌のようなハードボイルド群像劇を」と求められて考えた漫画です。

ちなみに、当然ながら「天牌」はすごすぎる漫画です。来賀さん自身にももちろんすごい経験があってこの原作を書かれているのですが、(ナイフで瞬が刺されるシーンなど、実体験だそうですね笑)

来賀さんの闘牌原作が誰にも真似できないんですよ。

『打ち手4人の個性を出しながら、それぞれを読み手が間違えることなく、4人分の闘牌シーンを作り続けること』がめちゃくちゃ難しいのです。

だいたい打ち手にそんなに個性出せないんですよ。

メンゼン派、鳴き派、対応派、デジタル派、流れ派、博打派、競技派とか、せいぜいそんなもんじゃないですか?

片山まさゆき先生もこれは上手いですよね。「牌賊オカルティ」とか、個性を表すのが天才的ですよね。

来賀先生、片山先生に並ぶ闘牌シーンを作れる人がいたら、ぜひ作品を発表して欲しいです。とりあえず私は他に知りません。私もできません。

私はたいてい、自分の麻雀漫画で闘牌原作を書く場合は、1対1です。脇はそこまで手牌を出しません。

昔「リスキーエッジ」という漫画で闘牌原作をしたときは(この話はまたどこかで書くかも)、パイフンというソフトで4人分の牌譜を作ったりしましたが、基本的には、主人公対敵です。実はそれで結構麻雀漫画としては足りるのです。4人分作って、それを違和感なく読者に見せることは、とんでもない能力です。来賀さんや片山さんのすごさが伝わりますでしょうか。

前置きが長くなりましたが、「ジャッジメント」の設定と原作本文をあげていきますね。

設定

先に言うと、二条という主人公がずっと昔雀荘メンバーやってて、そこが火事になって、店長とウエイトレスの女の子が死んじゃったと。

で、当時の同僚だった綾羅木くんが行方不明になったもので、そいつが犯人じゃないかと二条は思って、以来雀荘巡りをして何年も綾羅木を探す話ですね。


「ジャッジメント」


二条(37)主人公。雀荘を渡り歩きながら、15年前の事件の犯人、綾羅木を探している。 


江原(21)雀荘京城のメンバー。 準主人公で、二条と行動を共にする。
日吉(22)江原の同僚。江原と寮に住んでいる。

綾羅木(38)二条の当時の同僚。

柴山(死亡当時43)雀荘とんぼの店長兼オーナー。クールな優男風で、あまり感情を明らかにしない。表向きは面倒見のいい店長だが、蓮と愛人関係にあり、博打や店の経営で借金がある。
香住蓮(死亡当時25)とんぼのウエイトレス。看板娘で誰からも好かれていた。
香住明音(19)成長した蓮の娘。
豊岡(39)雀荘アルテミスで綾羅木の名を騙っていた。

都内の雀荘を渡り歩きながら、雀ゴロ生活を続けている二条(37)。
二条には、ある目的があった。
15年前、二条がメンバーとして働いていた雀荘で、店長とウエイトレスの女性がビルの火災で死亡した。当時二条の同僚だった綾羅木が、事件当日から行方不明になっており、犯人と思われていたが警察の捜査は行き詰まっていた。
綾羅木を探し続ける二条に、江原が出会うことからストーリーは始まる。

まあ簡単に言うとこんな感じですね。

それでは第1話です~!どうぞ。


N(※ナレーション)(1998年――)
暗がりで男が走っている。
(顔は読者にわからないように)
男「ハァ、ハァ――」
通りの影に隠れ、もたれて息をつく。
大通りを消防車がサイレンを鳴らして走る。
商店街の2階建てのビルが燃え盛る様子。
男「ハァ、ハァ」
男がまた走り出す。

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