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若武者浅井堂岐の老練なる麻雀

(会報コラム「ボーダーライン」第4号/2022.9)

第21期A1リーグ第4節の浅井堂岐(たかき)の麻雀を見ていて、私はある印象を抱いていた。

浅井がこのカン4s三色でリーチ。

捨て牌には7s3s1sが飛んでいて、これでカン4sを警戒する打ち手はなかなかいないのではないだろうか。

リーチ宣言牌が1sなどの待ちに絡む牌ならともかく、先切りの中スジはちょっと止めようがない。

実際これを受けた橘哲也の手がこうなって──

吸い込まれるように浅井に放銃となった。

浅井が1sを切ったときは

からで、9mを切ってのソーズリャンカンを残さず、
ソーズで決めるなら三色、マンズが伸びればそちらで一通含み、と手役を追う意志を見せている。

打点を狙ってこのように受けを絞った場合、そこが残れば出アガリはかなり期待できる。

逆に言えば、打点があっても待ちが悪いなら、それなりに出やすくなる効果が何かしら欲しい。

浅井は、こういう工夫をかなり意識する選手なのではないだろうか。

橘はこの前の半荘でも、リーチの浅井が先切りしていた4pのスジで、カン7pを放銃している。

浅井は仲林圭に対する追っかけリーチである。

仲林の捨て牌にも7pがあり、ただの先切りなら橘も浅井に切らなかったかもしれないが、
先行リーチの現物、浅井は4pを先切りしていてノータイム追っかけ、というややレアな状況が、橘にとってもエアポケットになったのだろう。

第5節、私はその浅井と対戦する機会があり、抜け番で浅井の麻雀を見ていた。

浅井がまた、8m4mと切って、カン7mの布石を打っている。

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