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山本直樹「レッド」5巻-0 ここまで読んだあたりでちょっと史実を軽く確認しておく 

あまりちゃんと史実を確認すると「レッド」が楽しめなくなるのでほどほどに。あくまでも「史実をもとにしたフィクション」として読みたいので。


史実を確認すればするほど、あさま山荘事件のメンバーは主流から外れた「小物」だったことがわかる。カリスマ的なリーダーが不在というか逮捕された後、リーダーシップに乏しい人間が無理にメンバーを率いようとした結果としてやってはならないことをしてしまったという印象がある。

結局、このメンバーだけ見ていても、当時の学生たちがなぜこんな活動にのめりこんでいったのかわからない。「レッド」の中には、これだけの大それた事件を起こしておきながら誰一人カリスマ的存在がいない。

永田洋子も森恒夫も、「北九州連続一家連続殺人事件」の悪のカリスマのような人間とは全く印象が違う。

本当のカリスマは一世代前の「ブント」でメンバーあったり、川島豪や塩見孝也といった初代リーダーたちだった。メインストリームは「大菩薩峠事件」や「よど号ハイジャック事件」「成田空港事件」などの方だった。

この人たちは傍流の残りカスみたいな存在だった。 だからこそ統率が効かなかったのだと思う。



「レッド」ではそのように描かれないが、実際の森恒夫(北)はかなり臆病で虚勢を張りたがる人間だったし、永田洋子(赤城)にはそれほど明確な軸はなかった

皆さんご存じだとは思うけれど「赤色軍」というのは「共産主義者同盟赤軍派」のことであり革命者連盟は「革命左派(京浜安保共闘)」のこと。そして赤色連盟は連合赤軍のことを指す。

主要メンバー以外は別に知りたくないが、北が「森恒夫」であり、赤城が「永田洋子」である。

植垣康博(レッドにおける「岩木」)によると、永田は自我というものを持っておらず、常に自分を支えてくれる男性を必要とし、且つその男性の思想に容易に染まりあたかもそれを自分自身の思想のように述べていたという。すなわち永田は山岳ベース事件においては森恒夫の、その後の裁判においては当初は塩見孝也の、後に塩見と決別してからは植垣の言うことをそのまま信じ込んでおり、また連合赤軍以前においては川島豪の強い影響下にあったと推測されるという。植垣はこのようにその時々の男の言うことをあたかも自分自身の考えのように言う永田を、チェーホフの短編小説『可愛い女』の主人公オーレンカに喩えている。

その他メンバーについてはダイジェストで見ると非常にわかりやすい。

ただし、あまりにも雑で、それでいて誇張表現が激しい「総括」となっていて、当時のワイドショーが今よりずっとひどいことがわかる。

これだけ見るのも何か違うような気がする。あくまでも事実関係だけを確認するためだけに見るといいと思う。

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