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オタクをフックにして人類の歴史のダイジェストを振り返る教育的マンガ「神と呼ばれたオタク」

タイトルや「いかにもなろうっぽい導入」で食わず嫌いされそうですが、私的にすっごいお勧めの作品なのでぜひみんなも読んでほしいです!


はてなブログ出身の創作者の一人で、よく創作論・企画論・編集者との付き合い方などをTwitterで投稿されているRootportさんという人がいます。以前にバズをきっかけに「女騎士、経理になる」という作品で連載を勝ち取り、さらに会計に関する本を出版などされています。


原作者は基本的にうんちく重視な人で、「もしドラ」みたいな作品を作るのが得意な作家さん

Rootportさんはあまり人間には興味がない人なのか、設定フェチ&マクロ的な視点が強すぎて「キャラ」を作ることが上手ではない(というか過剰にテンプレ気味)な印象ですが、その分「うんちく」がとても面白い人です。

やや「結論決め打ち」な論理展開をすることが多く、それゆえに私ははてなブログ時代はあまり好きな人ではありませんでした。しかしそんな私からみてもこの本はとても面白かったです。

そんなRootportさんが原作を担当されたマンガの4作品め。2作目と3作目は全然面白くなくてやっぱりすぐ打ち切られてしまったのですが、久々にこれは面白いかもしれません。

とてもRootportさんの特性に合った作品だと思うからです。

本作で語ろうとしているのはオタクの話ではなく「娯楽」というものがいかに文化の豊かさを示すかという歴史や経済のお話


主人公は「コールドスリープ」が使えるくらい現代よりも進んだ技術を持っているので、神の視点で人類の歴史を再現できる

定住できて、人が暇を持て余すほどに経済が豊かにならない限りは自分が好きなアニメが作られることはないと知った主人公は、「人類の経済を作ってやる」と意気込む展開になります。

素晴らしいと思ったのは、コールドスリープ設定。要所要所で新地球の人類たちに技術介入を行った後は、コールドスリープで時間を飛ばすことができる。

これによってFGOと尾内上に「特異点」のみ介入するという歴史のかかわり方を体験できます。

「歴史」そのものをコンテンツにしてしまおうというわけですね。キャラクターは実質的に解説役でありそこまで強い個性は要らない。「ゆっくり解説動画」にフィクションとしての要素を加えた作品。まさにRootportさんの強みが活かされた作品といえます。

まずは圧倒的な技術力をもとに「神」として君臨し、十の戒律を定めた上で農耕文化を植え付けていく

個人的に面白いと思ったのは「知識チート」だけでは物事が動かないので、「宗教」をフル活用していくところ

最近この記事がバズりましたが、この要素をしっかりと活用しているところが良いです。一足飛びに農耕の技術を教えても、現地の人類たちは農耕生活を受け入れずに狩猟生活に戻ります。

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