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山本直樹「レッド」3巻 リーダーが無能だと、思想を強制的に統一したり過激化しないと維持できない歪な組織運営になって崩壊する

3巻で描かれている内容は現代の日本のリベラルやフェミニズムも抱えている問題に通じるものがあると思う。

リーダーが不在、あるいは無能というか組織化というのがそもそもできないてないのに一つにまとまろうとすることだ。これにより、「過激な意見を言うやつ」の発言力が大きくなり、そいつが「同質化」をはかるようになるのでおかしくなってしまう。

リーダーがいないのであれば、下手にまとまろうとしないほうがまだましだし、運動として拡大しようとしないほうが良い。リーダーが機能しない状態で下手にまとまろうとするとひたすら過激な人に一時的に人が集まるが、これは後々さらなる惨劇につながりかねない。



前回までのあらすじ=「そうだ、山(岳ベース)、行こう」

この作品は、登場人物の内面を描こうとしません。とにかく曲がりなりにも読者に「共感」や「同情」といったものを抱かせないような細心ぶりです。
ただこいつらが何をやっていたのかを淡々と描く。生き残ったりメインの役割を果たした人間ほどそれを徹底する。

どうやってこのモチベーションを維持しているのか。普通マンガ家なんて登場人物に愛着抱いてなんぼだと思うんですが、この作品はそういうところがほとんどなくてプロフェッショナルすぎる。他の漫画を読みなれている人からしたらすごい違和感あると思いますが、だんだんなれてきました。

マクロ環境

学生運動の印象

①もうこいつらがやってるのって、「革命のため」を言い訳にしたカツアゲとか強盗ばっかりですね……。そりゃ支持者も嫌になるよ。この未熟さや自分勝手ぶりが本当にSEALDSと同じだが、この時は暴力が許される雰囲気だったからひどいことになった。

そしてこの時に大人抜きで若者が暴走したことが国のトラウマになって、日本ではその後デモやストライキ、市民運動が半ばタブー視されるように。
というか、今でもこの時代の学生運動の残党がウロウロしてるから引き締めを緩和できないのだろう。日本の若者がふがいないとか言ってる左翼のおっちゃんいるけど「お前らのせいだろうがボケ」って言いたい。


②資金の融通も、この活動によって何か生み出すわけじゃないからカンパ
や現金強奪など、原始的な手段に頼らざるを得なかった。なんというか、現代においてもリベラルや左翼集団が頻繁に騒いで耳目を集めなければならないのも、「支援者からのカンパ」に頼らざるを得ないからだろう。マネタイズがしっかりできない社会運動はマジでどんどんひどいことになっていく。

③リーダーの赤城は革新を目指しながら変なところで死ぬほど保守的で教条的な人間だし、他人の考えを許容できないどうしようもなく未熟な人間だった。まぁ仕方ないけど。赤城はなぜか「交際関係」が闘争への貢献度によって決められるという思想を持っておりこれをメンバーに強制しようとした。

でもメンバーはまだ若い大学生なので性欲が旺盛だったので、男女の共同生活なんかしてたら「何も起こらないはずがなく」なんだよね。

④結果としてまともなリーダーがいない上イデオロギーだけで結びついてるだけの弱いつながりだから「全会一致」を強制しないとまともに動けなかった。そのため輪を乱す人間に対しての許容度が低く、少しの事でも自己批判を強要するような空気がどんどんつよくなっていった。

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