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「わたしたちは無痛恋愛がしたい~」感想:この漫画を読むとシュナムルのような人間が今だにネットで支持されてる理由がなんとなくわかる気がする

「猛禽類」や「ハラミ会」など造語が大好きな瀧波ユカリさんの今回の造語は「星屑系男子」と「フェミニストおじさん」。なんでもそうなんですけど、新しい言葉が使われているとそれだけで新しい概念のように感じちゃうので、非常にうまいなと思います。

あと、瀧波さんのキャラは(本人は「身近にいる普通の人を描いてるつもりなんだけど」と言ってますが)割と言動が誇張された人が多く、読者のかわりに感情を激しくアップダウンさせてくれているのでまぁ読みやすい。

そうやって奇抜さを装った「ガワ」に対して、描いてる内容は割と堅実だったりするのがまた面白いです。


瀧波さんの描く世界の登場人物は「ドクズの男に引っかかって傷ついた」みたいな恋愛至上主義者が多く、「別世界の住人の話してるなー」って感じる

星屑系男子というのはこういうやつらしいです。

正直、こういうのにひっかかる時点で、「この作品に登場する女性がアホ」なんだと思うんですがこういうアホな女性を救うためにフェミニズムって必要なのかというと思う。

「女を食い物にするような屑な男は許されない」それはわかる。でも「アホな女はそのままでいい」とはならないと思うの。

でも、なんかこの作品はそのあたりの描き方は微妙なんだよね。「女は恋愛してなんぼ!性欲が強くてなんぼ」であって、恋愛由来の女性のアホ行動に対してはめちゃくちゃ寛容。女性向け漫画だからエロ描写描くのも全然OK。

これに対して「男は性欲があってなんぼ!」とはならない。むしろ「おじさん」というだけで馬鹿にしてもOK。そんなノリが延々と続ていている。この漫画自体が女性の鍵垢の語りみたいだ。

いいんです。なぜなら今の社会は男が強すぎるから。女が男を馬鹿にしまくるのは正義!


実に読者のニーズをよく把握されており、商売的にはとてもうまいとは思うんだけど、瀧波さんはそれでええのか……?

フェミニズムって「アホな女が、アホなままでも安全に恋愛できる」ところまで過保護であるべきっていいたいのか? それとも「無痛恋愛」を欲するような女はこんなにアホなんですよって描きたいのか? どっちなんだ?


……といいたくなるような展開が数話くらいダラダラと続く。


正直1巻の時点では女主人公がアホすぎてあんまり共感できない。


ただ、無料公開されてる最新話あたりを読むとどうやらそういうわけではないらしい。


序盤の描写は意図的なものであり、最初はそういうツイッターにはびこる「恋愛でアホになった女性」をキャッチするために共感的な描写をしまくっていただけのようだ。この漫画に共感を示しまくってた女性は内心では瀧波さんに馬鹿にされてたのかもしれないですね。

別に瀧波さんは女性はアホなままであっていいとは語っていない。

次に瀧波さんはキャッチした女性読者に対して、「フェミニストおじさん」という「男性にとっての都合の良いヒロイン」みたいなキャラを出してくる。このおじさんを使って「アホな女のままであってはいけないよ」と諭してくる。


共感するのは女キャラにさせて、耳が痛い話をする役回りはおじさんにやらせるのはうまいなと思う。瀧波さんが女社会の中でどれだけ気を使ってマンガ描いてるのかわかる。


「シュナムル」のような人間が今だにネットで支持されてる理由がこの漫画を読むとなんとなくわかる

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