「CARNIVAL小説版」のあらすじ

Google音声入力のテスト。
すごいな6500字だけど25分くらいでこの記事書けたぞ。

瀬戸口廉也の作品「CARNIVAL」の続編にして完結編。もともとは900円の本だが、超絶プレミア価格になっている。


CARNIVALのざっくりあらすじ

いじめられっ子だった少年Mが、ある日クラスメイトを校内で殺害した。
少年Mは、学校で唯一仲が良かった少女Rの家に隠れていたが、そこで様子を見に来た警察を監禁〇辱した。さらにこの二人、いじめていた側の仲間だった少女の姉妹を監禁〇辱していたことが判明する。(第一章)

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その後少年Mと少女Rは少女の家を出て逃避行の旅に出る。この際に少女の親友だったWが二人を追いかけて自首するよう説得する。「カラマーゾフの兄弟」を意識したような問答の後、Wも二人とともに行動しようとするが、二人はWを巻き込まぬよう去っていく(第二章)

第三章では、少年Mの幼少時代、そして、Rのとんでもない闇ば暴露される。とっくに世界に絶望しきっており、殺人の罪によりさらに希望が断たれた二人だが、手を取り合っていけるところまで行ってみようとどこかに向けて歩き出していく。(第三章)

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このラストシーンはとても美しい。

だからこそ、このゲームをプレイした人は、この二人が幸せをつかめるかもしれないという将来が不確定な猫箱状態のままにするか、それとも不幸な結末であっても最後まで見届けるかの二択を迫られる。


完結編である小説版は、原作の7年後が舞台になっている

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完結編の主人公は少女Rの弟

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原作に登場したキャラクターもすべて登場する

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プロローグはとある人物の「遺書」から始まる。これが「アスペル・カノジョ」の最終話ととても良く似ている


今思えば、いつかこうなってしまうと、初めからわかっていたのだと思う。でも、もし駄目になってしまうとしても、その前にゴールに駆け込むことさえできれば、何も問題がないと高を括っていたんだ。

ゴールはまだ見えない。あの頃想像していたより僕達は長生きしすぎてしまったんだろう。

一時停止ボタンなんかどこにもなくて、力いっぱい全部を出し切ったその瞬間に都合よく存在が消えて無くなったりもしない。 疲れ切ってしまって戦う気力なんか全部なくなって勇気とか希望とか自分を守ってくれるものが全部失われてしまって、映画だったら終わりとテロップが出るような場面が過ぎても生活は続いてしまう。決して止まらない。そこからが本当に人間が生きるということなのだろうと最近はそう思ったりもする

ドラマが終わって興奮から冷めて何も心を守ってくれなくなって、これからはもっと大変な毎日が続くだろう。でもどんなに苦しくても心が死んだようになって 痛みも喜びも何も感じることができなくなってしまって、何をしても無意味に感じられてもうダメだと思っても、諦めないで自分に耐えて、もう少しだけ頑張ってほしい。

小さな頃に見ていたものはまだ何も知らなかった時代の幻なんかではなくて今でも見ることができるずっとそこにある変わらないものだった。辛くなるからって無理に忘れてしまわなくても良かったんだ。僕は気が付くのが遅すぎた。必要なものを自分で隠していたんだ。でもこんな僕でもまだ全て失ったわけではなかった。

世界は残酷で恐ろしいものかもしれないけれどとても美しい。思えばそんなこと僕らは最初から知っていたはずなんだ。

時間が過ぎて僕のことは忘れてしまっても構わないけれど、僕が今ここに書いてある言葉のいくつかを時々思い出してくれるならそれより嬉しいことはない。

追伸。今までありがとう。
できることならば誰も憎まないで生きてください。


私はこの文章がかなり好きで、つらい時に時々読み返したりします。


あとがき

小学生の頃飼育員という係をしていました。校門の近くにある飼育小屋の掃除や餌、水の交換を行う係です。小屋にはセキセイインコだとか、鶏だとかがいました。その日もだるいと言いながら掃除をしていたのですが、鶏の卵が巣箱からはみ出はみ出て冷たくなっているのを見つけました。そこで僕はちょっと残酷なこと思いついたんです。鶏の卵を、鶏の前で少し割ってみたんですよ。ほうきの柄の先で押しつぶして。親鳥は自分の子供の可哀想な死体や見て、嫌がるんじゃないかと想像していたんです

ところが鶏はすごい勢いで卵を食べ始めたんです。殻をバリバリと砕いて貪っているんですね。赤い血の膜が表面を覆いかけている黄色い液体にクチバシを突っ込んで、時折頭を上下させ、唸り声をあげ狂喜しています。あっという間になくなって、鶏は卵がしみついた土まで食べてしまいました。その後も名残惜しそうにずっと白い殻をつついています

僕はその光景にぞっとして、心臓がバクバクしていました。グロテスクで、恐ろしくて、その上辺に神聖な気持ちでした

この本は同タイトルの18禁ゲームから7年後の話です。ゲームから引き続き描かせていただきました。あの狭い飼育小屋の中みたいな世界だなと思います


完結編である小説版は、原作の後の二人の「戦い」の軌跡とその「終わり」を見届けるお話である

瀬戸口作品は、総じて主人公の感情の起伏がとても少ない。
それ故にものすごく小さなことに感動したり、日常の輝きが感じられる作品になっていることが多い。

本作もその例にもれず、主人公や〇〇〇の目線を通して最初から最後まで淡々と起きた物事が語られる。このテキストがとても癖になる。

いくつかキーとなる部分を引用しておく。


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