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「ハルヒスキーのDL同人教室」(1回目~2回目):「あなたのDL同人で利益が出ない理由」

#DL同人の話

以前にハイエロさんの動画を紹介したことがありますが、私はこういう感じで「自分の実体験×検証」の両輪が回ってる人の話を聞くのが大好きです。

特に結果を出しておられる同人作家さんは、自分の取り組みがダイレクトに売り上げにつながる職業なので、試行錯誤の数が多く、非常ーーーに面白いです。

さらに、実際そういう話を聞きつつ、自分でも同人作品の売り上げとかチェックしてるのでそのあたりを作家さんの側から裏付けしてもらえるとめちゃくちゃありがたいなと思ってます。


「ハルヒスキーのDL同人教室」という解説動画シリーズを見始めました

というわけで、今回は「ハルヒスキーのDL同人教室」の1回目と2回目観ました。ハルヒスキーさんは「ろいやるびっち」というサークルで活動されている作家さんです。

名前の通り涼宮ハルヒが好きな人で、今でもTwitterではハルヒや武蔵ちゃんコスプレものをよく描かれています。twitterは12万フォロワー「くーねるまるた」や「FGO」の二次創作を経て最近はオリジナル同人を中心に活動されています。最近では1作品での販売部数が最大で15000を越えたり、最新作がFANZA同人でデイリー1位を取ったりと、デジタル同人の中できちんと実績を出されています。

そういう活動での体験を踏まえて、解説動画でもズバリご本人の考えを言ってくれててとても面白いです。「同人講座」は全部で40回くらいあるのですが、他の動画も見たくなりました。


「ハルヒスキーのDL同人教室」の面白いところ

何が面白いかというと「DL同人という商売の2つの致命的な弱点」というところからお話をスタートさせているところです。かなり現実を重視し、商売の基本を踏まえたうえでお話をされているので、話が分かりやすいです。


ビジネスとして考えた時、DL同人が抱える致命的な弱点とは

ハルヒスキーさんが語る致命的な弱点というのは以下の2点です。(ワンオペで頑張らないといけない、という構造も含めると3つ)

①価格がそれほど高くないのにリピート購入がない一発売り切り型(商品のLTVが低い)
②市場規模(売り上げの上限)が極めて小さい

この2点を大前提としたうえで、同人作家として生き延びるためにはどうしたらいいかを語ってくれています。



弱点1:エロ同人は商品のLTVが低い

これは「売り手」(ただのアフィリエイター)側としてもめちゃくちゃ痛感してますね。 これはアダルトアフィリエイトにおいて、LTVが高い「エロ動画」コンテンツがめちゃくちゃ人気あるのにエロ同人のアフィリエイトをやる人が極端に少ない理由でもあります。

エロ動画は一度入会した人は結構継続率が高いことが知られています。それ故にやたらとお買い得な「入口」となるコンテンツというのがあって非常に売りやすくなっています。また、アフィリエイト報酬体系も魅力的です。月980円の動画に入会させるだけで3500円の報酬がもらえるなど料率が高かったり、月1980円の動画にその会員が継続している限りずっと月800円のアフィリエイト報酬が入るというようなストック型の報酬体系になっています。


これに対して、エロ同人のアフィリエイトはそもそも1作品当たりの単価が低く、アフィリエイト料率もAmazonなどと比べたら高いですがアダルト業界内で比較するとゲロ吐きそうなほど低いです。

一度紹介したあとチャリンチャリンとお金が入ってくる世界ではなく、常に1作品ごとにきちんと紹介し続けなければいけない。うるだけでいい私はアフィリエイトリンクを踏んでもらいさえすれば他の作品が売れても報酬につながるので、作家さんよりは断然楽ですが、それでも本当に好きじゃないと割に合わないと感じる世界です。

紹介する側だけでいい気楽なアフィリエイターですらそう感じているのだから、まして作る側にとっては「売れるかどうかわからない」ものを1作品ごとに全力で作り続け、売るためにも工夫をして、作品を出すときには毎回お祈りをするようなビジネスであり、これは心身ともにめちゃくちゃキツイと思います。


なので専業作家、売れっ子作家ほど作品を「シリーズ化」していくのは当然と言えるでしょう。


弱点2:エロ同人は市場規模(売り上げの上限)が小さい

これについては言うまでもないですね。

同人ゲームについては比較的市場規模が大きくなってきましたが、マンガ系のエロ同人の方はまだまだ小さいです。上位50位までのサークルだけ見れば作者のネームバリューによって市場規模が大きいように感じられますが、それ以下になるとかなりシビアな数字が並んでいます

時期による変動もあって、9月は枯れ相場ということもありますが、たとえば本日FANZAの同人で発売日初日にデイリーで100を越えられているサークルは29しかありません。(8月だと100位まで行っても販売数100を越えてるときもあります)

この②については実際に取り組んでいる作者様は全員が共通してかんじておられるようで、この前紹介したRさんもハイエロさんも同じことを語ってくれています。

これについて、Rさんやハイエロさんが「じゃあ市場規模を増やすにはどうすればいいか」(制約条件を塗り替える発想)について説明してくれているのに対し、ハルヒスキさんはこの制約条件内で勝つ方法を語ってくれています。


というわけで、非常に面白いのでぜひチェックしてみてください。


DL同人できちんと利益を出すための考え方(50分くらいまでの内容)

全部は紹介しませんが、普通の商売にも通じることをお話されているので概要をまとめてみます。

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1:安易に値下げをしない

・値段が低くなればなるほど卸値率が高くなり利益がなくなる。特に600円以下は悲惨。

・同人作品において客は「値段が安いから」という理由だけで買うことはない。

・個々の作家と、プラットフォーマーであるFANZAやDLSiteの販売戦略は違うどころかむしろ反する場合すらある


2:売れるタイミングできっちり売る

①発売直後(5割~7割)
②続編が出た時(~3割)

③30%以上の割引を行った時

③はほとんど利益が出ないので、①と②でしっかり取らないといけない


3:値引きを行うことの弊害をしっかり知っておく

・「1人の読者に対して同じ商品は1回しか売れない」上に「読者数は限られている」にもかかわらず、その貴重な1回のチャンスをみすみす投げ売りしている。

・ファンを増やすためには「内容」で買ってくれる人を増やさないといけないのにファーストコンタクトが値段になってしまう

※値引きして売った後そこからさらに利益を得る手段のアテがあるなら話は別


4:数少ない機会にしっかり高い値段で売ることの重要性も理解しておく


・ファンの人に売れる数は値段を下げても上げても同じ。それならば400円の価値しかないものを800円で売るということではなく400円のものを2冊出すくらいならそれをセットにして800円で売ろう。

・後で値引きをするときも、元の価格が高い方がお得感がある。400円のものを半額にしてもお得感はそんなにないが800円を半額にするとお得だと感じる(ユーザーとしては500円以上割引になった瞬間お得だ!と感じ始める)

・実際に、最近は「ボリュームが多めで値段も少し高め」の作品が増えている

・紙の同人誌の時であれば「ページ数少なめで値段が500円」はファンサービスとしてありだったが、DL同人の世界では他作品との比較の面でも不利。

・ファンの満足度と利益度をどちらも最大化する戦略をちゃんと考えるのはお互いにとってハッピー


5:「購入してくれた人の満足度を増やす」戦術にフォーカスしよう

・分量を増やす
・専売特典のおまけをつける
・最近は支援サイトもあるのでそちらで還元するでもよい
(参加型の企画をやってるサイトもある)

などなどいくらでも考えられる。

◆逆にお客様をだますようなことをしたら二度と買ってもらえない

・「不意打ちNTR」とかは絶対にダメ!奇をてらうべきではない。
・ジャンルを表紙で明示したりタイトルと内容を一致させる(意外と重要)
・クソゲーオブザイヤーなんかを見てみると反面教師になるかもw

6:結論「伊東ライフ先生はすごい」

「作品頑張って作りました」の「作品」の幅をもうちょっと広げて考える。

情報の伝え方やサービスも作品の一つと考えて

作品を手に取ってくれた人の満足度を上げるにはどうしたらいいか考える。

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