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674. NEJM Journal Watch蔵出し

1. Is Piperacillin-Tazobactam More Likely Than Cefepime to Be Associated with Acute Kidney Injury?

https://www.jwatch.org/na56674/2023/10/24/piperacillin-tazobactam-more-likely-cefepime-be-associated

ピペラシリン-タゾバクタムがセフェピムと比べて腎障害が多いかの非盲検試験。敗血症または重篤な感染症が疑われる成人2500人をセフェピムまたはPTZのいずれかを投与する群に無作為に割り付けた。バンコマイシンが各群の4分の3の患者で併用されていた。14日後、急性腎障害または死亡の複合アウトカムは、両者で同等。死亡率もセフェピム群で7.6%、ピプタゾ群で6.0%で有意差なし。せん妄または昏睡の発生率はセフェピム投与群でわずかに高かった(20.8% vs 17.3%)。在院日数、血管作動薬や人工呼吸の投与日数には有意差がなかった。

2. Do COVID-19 Vaccine Mandates Disadvantage At-Risk Candidates on Transplant Waitlists?

https://www.jwatch.org/na56624/2023/10/23/do-covid-19-vaccine-mandates-disadvantage-risk-candidates

移植患者へのCOVID-19ワクチン接種義務化後、腎移植待機者リストからの除外に関連する因子の単施設研究。COVID-19ワクチン接種証明の欠如を理由に待機リストから除外されたのは186人。マッチさせた対照744人と比較したところ、アジア系候補者は白人候補者よりも除外される可能性が低かったが(aOR 0.39)、黒人候補者に差はなかった。Vaccine Equity Metricの最低四分位群の者は、最高四分位群の者よりも除外される可能性が高かった(aOR 1.89)。教育水準は除外とは関連しなかった。

3. RSV Infection in Older Adults: Presentation, Comorbidities, and Outcomes

https://www.jwatch.org/na56677/2023/10/23/rsv-infection-older-adults-presentation-comorbidities-and

A) Investigating Respiratory Viruses in the Acutely Ill(IVY)ネットワークを利用した高齢者RSウイルス感染症の解析。2022年2月から2023年5月までにRSV、インフルエンザ、SARS-CoV-2感染で入院した60歳以上の患者の重症度を評価。5784例中、RSV陽性は5.3%、COVID-19陽性は81.8%、インフルエンザ陽性は12.9%であった。RSV感染患者は酸素吸入を必要とし、集中治療室に入院する可能性が最も高く、死亡率もRSV群で最も高かった。

B) 2022年7月から2023年6月までのRSVサーベイランスで特定された60歳以上の入院患者3218人を対象とした死亡率と罹患率の検討。54.1%は75歳以上で、17.2%は長期療養施設から入院していた。重篤な転帰をたどる可能性はRSV単独感染と重複感染で同等。最も多かった合併症は肥満、慢性閉塞性肺疾患、うっ血性心不全、糖尿病で、患者の18%は免疫不全と考えられた。約20%の患者(特に75歳以上の高齢者とCOPDやCHFの併存)がICU入室や死亡を含む重篤な転帰をたどった。

4. Autoimmune Encephalitis After Herpes Simplex Encephalitis

https://www.jwatch.org/na56553/2023/10/18/autoimmune-encephalitis-after-herpes-simplex-encephalitis

単純ヘルペスウイルス脳炎と自己免疫性脳炎の関連性を調査。単純ヘルペスウイルス脳炎の42%に脳脊髄液自己抗体が検出され、そのうち54%が自己免疫性脳炎を発症。自己免疫性脳炎発症の中央値は単純ヘルペスウイルス脳炎発症後39日目で、自己抗体は21日以内に検出されることが多かった。自己免疫性脳炎を発症した人は、HLA-A*02対立遺伝子の保有率が有意に低かった(19%対65%)。発症リスクは、単純ヘルペスウイルス脳炎発症後21日目のIFN血中濃度が高いほど高かった。自己免疫性脳炎では、振戦、精神・行動、てんかん重積状態などがみられ、検出可能な抗体は自己免疫性脳炎の70%で認められ、抗体のない患者29人のうち25人はウイルス感染または合併症に関連した症状であると判定された。

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