【合気雑感】腸腰筋の鍛え方---背腹運動

武道本では「奥義のカギとなる筋肉」なんて言われたりする腸腰筋。
腰椎から骨盤の中を通って大腿骨の根元につながる大腰筋と、
寛骨の上のほうをぶわっとカバーしたところからやはり大腿骨の根元につながる腸骨筋をまとめて腸腰筋と呼ぶようです。

「腸腰筋」で検索すると、鍛え方やらストレッチの仕方やら画像付きでたくさん出てきますけど、武道的な文脈では古来「四股踏み」で鍛えてきたのがこの筋肉であろうと思います。

合気道で四股踏みといえば、大東流の木村達夫さんが佐川幸義先生から「合気を会得する秘訣は毎日千回四股踏みをすることです」と言われ、海外滞在で佐川先生と離れて暮らしている間にこの修行をされたという話があります。

また、佐原文東先生の合気道本の、巻末に書かれているトレーニング法では、四股踏みを30分やるべし、という記述が実にさらりと書かれています。30分=1800秒なので、まぁ、慣れてくれば大体千回という計算でしょうか。

おそらく、四股踏み千回できれば実に強い筋力が育つでしょうが、私の場合はやり方が悪いのか、百回あたりで股関節ががたつくような違和感を感じて、それ以上続ける勇気が出ません。また、千回やり通したとして、翌日まともに歩けるだろうか?という恐れがあります。ただ、百回でもそれなりに骨盤の内側がじわっと温まる感じがしますので、腸腰筋に有効なトレーニングだとは思います。

で、四股踏みを挫折した私がひょんなことからやり始めて、「あ、これなら続けられる」と感じたのが西式健康法の「背腹運動」です。

背腹運動の準備体操
 正座で、
 肩を上下にぎゅーっすとん10回
 首を左倒し10回、右倒し10回、前倒し10回、背中からそるようにして後倒し10回、左向き10回、右向き10回
 両腕を横に伸ばして左向き1回、右向き1回
 両腕を上に伸ばして左向き1回、右向き1回
 腕を下して胸を張って力持ちポーズ
拝復運動10分
 膝をやや開いた正座で、背骨を楽にして左右に体をゆっさゆっさ揺らす。傾けたときに腹を出し、真ん中で腹をひっこめる。

やり始めたころは10分間で、230往復程度。3日に1回程度の頻度で継続するとだんだん速く揺らせるようになって、3か月ほどで500往復できるようになりました。

西式健康法ではこれを朝晩やるように勧めてますが、私は寝る前にやってます。10分で骨盤の内側にかなり疲れを感じるのですけどここに疲れを感じると、見事なまでに何にもやる気がなくなるのです。実に気持ちよく眠りに落ちることができるわけですが、朝一番にやるとその日一日やる気なく過ごすことになりそうなので、試したことはありません。

ところで、拝復運動によって、仙腸関節が少し緩むようです。仙骨と寛骨の間の関節ですが、ここが緩むことで普段の生活でふわふわした感じがする時期がしばらくありました。また、歩くときに股関節からではなくて、この仙腸関節から下半身を動かすような動きに変わりました。

これは私には自覚がないのですが、拝復運動によって中枢神経が刺激され、ある種催眠術にかかりやすいような状態になるようです。なので、運動中はなるべく「(心も体も世の中も)良くなる、良くなる」と考えながらやるのが良いとされてます。

この辺、人によっては気持ち悪いと感じるかもしれないので、体調や心境を確認しながら続けるかどうか判断するのが良いと思います。

効果ですが、骨盤を自在に使うためのカギのような感覚を得ることができたように思います。拝復運動で疲れるポイントを意識的に動かすことで、それまで意図して動かすことがなかった骨盤周りを動かせるようになったのです。どこがどうというわけではないのですけど、稽古の中での立ち居振る舞いが変わったと感じてます。おそらく、技も切れるようになっているのではないかと思います。

ところで、合気道では「呼吸力」を重視しますが、呼吸力とは何か?という点について明快な言葉を聞いたことがありません。

私は今のところ、「呼吸力とは姿勢を司る力のこと」と仮に定義してます。

自分の体全体を支える力=姿勢を支えている力を技の中に有効に発揮できたとき、それを呼吸力と呼ぶのであろうと。だとすれば、腸腰筋を意識して使えるようになることが、上達のキーになるであろうと考えるわけです。

参考:
拝復運動について
http://susumu-akashi.com/2012/07/%E3%80%90%E7%94%B2%E7%94%B0%E7%99%82%E6%B3%95%E6%97%A5%E8%A8%9869%E3%80%91%E8%83%8C%E8%85%B9%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95/

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