合気道についての準備体操雑感

1.準備体操でストレッチするとパフォーマンス悪くなるって話があるけどホント?
2.準備体操しないと使えない技なんて武道的にどうよ?

って話について。

1. 準備体操でストレッチ
 運動前のストレッチはパフォーマンスを下げるという話は、「ダンベル何キロ持てる?」というアニメで知ったのだけど、Webでも紹介されている。

https://www.stretchnavi.com/interview/bui/taishitsu/kenmochi

研究として踏み込んだ話も交えているのがこちら。
https://rakuno.repo.nii.ac.jp/index.php?action=repository_action_common_download&item_id=1347&item_no=1&attribute_id=21&file_no=1&page_id=13&block_id=37

なんとなく想像はしていたのだけど、ストレッチをやった場合とやらない場合で、体力測定(膝の曲げ伸ばしの最大筋力とか垂直跳びとか30m走のタイムとか)がどう変わるかという実験の結果がもとになっているらしい。

大雑把に言えば、筋肉がゆるむので、最大筋力は出にくくなる、ということのようだけども、合気道に限らず大抵のスポーツって最大筋力は使わない時間が多いと思う。
むしろ、最大筋力の6~7割までの範囲で、「ちょうどよい加減」を的確に使用できるかが問われる。

合気道の場合、特に受けでは筋力よりも相手の技を受け止めながら適切に反応することが求められる。この場合モノを言うのは筋力よりも関節の可動域。姿勢を崩されながらどう動けるか、どの時点まで頑張れて、どの時点から身を守るための受け身に転じるかという話。

試合のあるスポーツで、この日・この時刻に最大の筋力を発揮できるようにしたい、という場合、その時刻を前にした準備体操は軽めの動的ストレッチにとどめるのがよいのかもしれない。
だが、日々の合気道の稽古においては、可動域の拡張を意識するのがよいと思う。


2.準備体操しないと使えない技なんて
こちらはある意味、おっしゃる通りで、日々の立ち居振る舞いの中で使えないと武道的には意味がない。
ただ、道場稽古は非日常でもある。
何度も何度も投げられるし抑え込まれるわけで、可能な限りそれに適応できる体を準備する必要がある。
段階が進んでくると、相手の技に適応するだけではなく、受けをとりながら相手の技を観察したり、時には動きを導くことで指導したりすることもある。自分の運動能力に余裕がないとこれはなかなか厳しい。

さらに言えば、高段者の指導を受ける際は、運動能力の限界を試されることが多い。
一方、高段者にしてみれば、「この人はもう少し厳しい技をかけても受け切ってくれるかな?」という確信が得られた時に初めて試す技・コツというものがあるのだと思う。そうした技・コツを披露してもらうのは、学習者にとっても、おそらく当の高段者にとってもより充実した稽古になるだろう。

なので、日々の稽古においては準備体操、しっかりやるのが吉だと思う。


なお、指導役としては、一度は準備体操のメニューについて考える時間を取るべきだと思う。
多数で集まって稽古をしているので、なるべく多くの時間を対人稽古についやすべし、という要請がある中、どんな内容でどれだけの時間を単独の準備体操に費やすか。問われれば答えられる程度には考えておくのが、指導役の務めかと。
逆に、学習者は「なぜこんな運動をするのか?」について、指導役になったつもりで考えてみると、その後の稽古において指導役がどんなポイントに注力しているかを紐解く手掛かりになることもある。


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