2019.7.27(土)のOB・OG練習会の記録

京都大学の合気道部の皆さんとの稽古の記録です。

事前配布したレジュメに、当日実施した技を追記しました。暑い中お集まりいただき、ありがとうございました。

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OB練習会お品書き
2019/7/27 29代 吉川 聡

1. 前回の補足(言い忘れたこと)

(1) 体の転換(”前足ちょん”と股関節を意識して)
体の転換、一教裏、入身投げ・小手返しで崩される時に前足を出す動きを大事にしよう、という話。動きとしては皆さんできてるので話は省略したのですが、
 ・膝に力入りがちだけど、なるべく股関節(鼠径部とかお尻の下あたりの筋肉とか)で動きをコントロールする(膝の自由度確保と体軸支える筋力の養成)。
 ・という足の動きを、一教や入身で活用すると、姿勢を保ちながら移動できます。

(2) 諸手取りから裏の呼吸投げ(抜刀の体使いを意識して)
一生に一度でいいから、模造刀で「抜刀して、正眼に構えて、納刀する」×100回をやってみよう、という話。
肘だけじゃ抜けないので体を使うのだということとか、剣の重心を中心に回すとかといったコツを、道具が教えてくれます。「昔の人なら当たり前に出来てた動きだけど、我々の普段の生活では身につかない動き。なので、我々は意識して身に着けておこう。」という趣旨です。
脇をあまり開けずに、「引っ張り出す」のではなくて「押し出す」感じで抜きます。
(最初からきちんとした型で抜刀術を習いたい、というご意見もあろうかと思いますが、手元を見ずに納刀できるくらいになってないと、抜刀の型の稽古ってできないです。自己流でいいのでまずは剣の扱いに慣れるのが吉。)
徒手技では、腕を振って投げるのではなく背中の肩甲骨から動かす意識で。
抜刀の型の例として「切り外し」「燕尾剣」「平抜き」を実施。
(3) (2)の動きで、太刀取りで正面打ちからの裏の呼吸投げ
(4) 「切り外し」の足さばきを意識して、正面打ち外転換からの天秤投げ

2. (最近は)あまりやったことないであろう稽古
(1) 突き六法から小手返し
広めの相半身から後ろ足を出して脇を開けて突きを誘っておいて、体を返しながら突きを払って入身。最初の一歩で体重を乗せすぎないのがコツ。

(2) 片手取りの四方投げを3人稽古で(多人数掛けの基礎として)
受け二人を相手に、右・左・左・右の順番で稽古。受けの人は待ってる間に技を観察するとともに、どの位置に立てばすぐに次の技ができるか考えて動いておきましょう。


(3) 【こちらは省略】片手取りからグーで相手の脇を攻める呼吸(から、あわよくば一教)
片手取りの一教って、相手の腕を伸ばすだけじゃないよ、という話。あと、取りの手首・肘が二教を極められてるような形になります。なので「ちゃんと極めてもらう」のって、実は大事な鍛錬なのです。

(4) ゆるゆる正面打ちから後ろ両手取りの捌きで裏の一教風抑え
後ろ両手取りの受けは「入身」。何となくじゃなくて攻める気持ちで踏み込みましょう。
この技の受けは、手を使わなくても鼠径部や膝で姿勢をコントロールします。
手順→踏み込み(自分が動く)→導き(相手との絡み)という順番でやるのが吉かな。

(5) 後ろ両手取りから後ろに手を払う呼吸
通常は相手の腕を自分の腕の上に載せるのが後ろ両手取りの崩しの基本ですが、この技は、自分の腕が相手の腕の上に載ってる状態で、肘掛椅子に腰かける要領で相手を後ろに崩します。

3.武道は基本、何でもあり(入身投げの「崩し」を通して)
 入身投げって、入身の段階でほぼ勝負はついてます。だからこそ、その後の投げまでに何を稽古するかが腕の見せどころ。なお、以下のような理由で、同じ技なのに言ってることが変わることがよくありますが、混乱しないでください。
・鍛錬の段階 ・稽古の趣旨(鍛えどころ) ・スタイル(剣術の理合いを入れるなど)
(1) 正面打ち入身投げ野村先生風
入身したら早めに相手を懐に入れて、「体を開いて四股立ち→半身で相手を吸い込みながら足を入れ替え→体重移動で前へ一歩」を、手はゆるゆるで。
(2) 正面打ち入身投げ反射道風
入身したらほとんど体を開かずに、相手の打ちを制した手で光が反射するイメージで天を称えるように挙手。


自己トレーニングネタ:瞑目とか背腹運動とか合気道ノートとか
・夜中に勉強してて、ちょっと体を動かしたくなった時、舟漕ぎ運動とか体の転換とかすると思いますが(しますよね?)、目を閉じてやってみると自分の体の状態がチェックできてオススメです。
・腸腰筋の鍛錬は伝統的に「四股を踏む」というのがありますけどしんどいので、西式健康法の背腹運動をお勧めしてます。正座して左右に体を振って、傾けたときに腹を出し、真ん中で引っ込める運動。3ヶ月くらいやると、10分で500往復くらいできるようになります。
・当日の稽古では、ここに書いてないことも話せればと思ってます。覚えきれないと思うので、自分なりの合気道ノートを書くことをオススメします。

参考:
本:以下の武道本は、武道を学んでいない人も結構読まれてます。一読をお勧めします。
宮本武蔵「五輪書」、オイゲン・ヘリゲル「日本の弓術」または「弓と禅」、
塩田剛三「合気道修行」

動画:「活法合気道」で検索。枚方で稽古されている先生が、わかりやすくコツを解説されてます。私とはスタイルが違うところもあるのですが、とても参考になります。
-以上-

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