2017.1.14(土) OB練習会お品書きとか補足とか

ブログとして公開していたものを転載。京都大学の合気道部で実施した、OB・OGが現役部員と一緒に稽古する会の記録です。

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寒い中多くの方にお越しいただきました。現役・OBの皆さんありがとうございました。

お品書き(決定稿)は添付の画像を参照してください。「案」の時点からは、引っ張る二人掛けを削除したり、説明を微妙に変更したりしています。
あと、「案」としても提示しなかったですが、没にした技も参考までに末尾に付してます。

当日、話そうかなと思ってて話せなかったこと補足します。

(1) 袴
 2回生の皆さんが昇段されて初めてのOB練習会なので、袴について若干話そうと思ってました。ご存知かもしれませんが、
 ・「格」を示すものなので、町民さんはなかなか身に着けることができなかった。帯刀よりもハードル高かったそうです。
 ・「履く」「脱ぐ」とは言わず、「付ける」「外す」と言います。
 ・付けるときは左足から、外すときは右足から。あえてやりにくい左足から使うことで、袴をつけることの意味に思いを致すということのようです。なお、右足から付けるのは切腹の時の作法。よそのおうちに上がるときも、左足からが基本(同期の加藤さんによると、お坊さんの世界でもこういうことは躾けられるそうです)
 ・袴の襞の前五本は五常(付けた状態で自分から見て右から仁義礼智心)、後ろ一本(誠)を表します。五倫(君臣の儀、父子の親、夫婦の別、長幼の序、朋友の信)をも示すとすることもあります。

(2) 良いことを考えて力をふるおう
 点穴の稽古をしたときに少し話しましたが、つぼを刺激するときは、突いてる人の心持ちが相手に影響する・・と言われてます。なので、「お互い元気になろうね」という気持ちでやるのがよいです。
 これは合気道の稽古全体についてもいえることで、だから「和して合する」というモットーがうたわれるわけです。「稽古する前より後のほうが調子がいい」というのも、こういう心持でやるからなのでしょう。
 8月にゼエブ先生がお話しされていた神様の祈り「あめつちともにとわにさかえん」を思いながら舟漕ぎ運動をするというのも、禊として心を整えて稽古に臨もう、ということだと思うのです。
 もっというと、自分もみんなもハッピーになるようにと思いながら日々の暮らしをおくるというのが、合気道の本義だと思うわけです。
 卒業して社会に出ると、自分には意外なほど力があって、周りやお客様から特に重要な仕事をお願いされたりします。
 自分の体力・知力のほかに、お金の力や他の人の力も自分の判断で使うことを求められます。悩みどころいっぱいあると思いますが、「みんなが幸せになる」やり方は必ずあります。心持ちのベクトルを良いほうに向けて励んでいただければと思うわけです。

・・・説教臭いなぁ。こんな話しなくて正解だったかもしれませんね。

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OB練習会お品書き
2017/1/14 29代 吉川 聡

1. 体慣らし
 指導演武ではバリエーションをいくつか示しますが、慣れているやり方でやりつつ、元気な人は変化したものも試してください。
(1) 正面打ちから一教(擦り落とすのも)
(2) 横面打ち四方投げ(釣り上げるのも)
(3) 正面打ち入り身投げ(鈴木さんの入り身投げをちょっとやってみようかな)
(4) 片手取り回転投げ(くぐるやつ、外回り、そのままの三種類。)

2. 天地投げのバリエーション
(1) 普通に
裏:受けの勢いを吸い込みつつ前足を引き、手を天地に分けて腹を返して引いた足を出して投げる。
表:後ろ足を出しながら、後ろ足の方の手を天に使って相手の襟を手刀でなぞるように出て行って投げる。
(2) 教科書に載ってるやつ(本部道場風。東京遠征対策。)
表:相半身から後ろ足を出しつつ、その後ろ足の方の手を地に使って相手を腹の前にとらえて、体を返して投げます。手は、「がおー」って感じ。
裏:(相手の勢いによるけれど)相半身から相手の前足の横に後ろ足を出して転換して崩して投げます。
(3)  横浜風
体を開きつつ、天の手は手のひらを上にして自分の耳の横くらいに上げ、地の手はお尻の後ろへゴミを放る感じ。体を返しつつ天の手を縦に使って投げます。相手を崩した時、相手の視界が自分の肘しか見えなくなるくらいの間合いで。

3. 「重み」のやりとり

(1) 受けが差し出した手のひらに指先で重みを伝える稽古
 受けは手のひらを上にして差し出し、取りは指先を受けの手のひらの真ん中に着けて体重で受けに重みを伝える。お互いに(腕じゃなくて)体の真ん中を使うことを意識する稽古。コントロールセンターは胴体の底。
 ・取りは肘じゃなくて、肩甲骨と膝を使って背骨が下りていく感じでゆっくり下げる
 ・受けは取りの重みをハラで支える感じで。赤ちゃんを抱いているお母さんが不意に赤ちゃんを渡そうとしたときに「おっとっと」と支えに行く感じ。

(2) 両手取りから前に落とす呼吸(投げ?)
 両手を取りに来たところを手のひらをコロンと外側に返して崩し、起き上がってくるところを呼吸投げ(にしてもいいし、起き上がってこなかったらそのまま転がしても良いし)
 手首で駆け引きする気持ちでやると力比べになります。自然に腹の前で文庫本を開いて読書を始める感じで。


(3) 持ち上げられる諸手取りの二人掛け
自分の体の脇で自分に二教をかけるように親指の付け根をこすりつけるようにすると、落とせるはず(相手の手の甲を伸ばしてあげると力入りにくくなりますよね)。膀胱のあたりに重心を意識しつつ、腕は肩甲骨をずらして駆動させて。落としてしまえば後は随意に。

(4) 諸手取りの二人掛けで二教
外側でも内側でも。手首でけんかをせずに済ますのが肝要。肩甲骨と重心を使う体の使い方を押さえたうえで、タイミングとバランスを加味して。

4. 余興

(1) 点穴
指先で突く。(①鎖骨の内側を下へ。②胸骨の真ん中へこんでるところをまっすぐ。まぁ、軽い北斗神拳です。)
※取りは、「元気になってね」と願いながら突いてください。受けは、倒れるほど痛くないと思いますが、「効いてるよ」という合図として快く倒れてください。
(取りが凶悪な思いで突いたり、受けが意地になって頑張ったりすると、マジで体に良くないです。)
時間があったら裏の一教(びりびり来るあたりを親指で刺激しつつ)とか、入り身投げ(耳たぶの後ろのへこんだところに人差し指を当てつつ。てきめんに効くので触るくらいにしてね)もやってみよう。


―以上―

(没)引っ張られる諸手取りの二人掛け
 バランスとりながら、重心を意識する。腕力抜いて、近寄りたいほうに寄って、肩甲骨を意識しながら投げやすいほうを投げる。(体は比較的自由になるので、結構何でもできる)
※よく考えたら一方に寄れば、2対1になるので引っ張り負けする人ができるよね。手が抜けるか、抜けなかったら崩れてくるから大きな隅落としなどで片づけられそう。

(没)不動剣(波切の太刀)
柄倒しが剣を寝かせるのに対し、不動剣は相手の剣を上に逃がして相手の剣をすり抜けて肘の内側を切る。
(※)横浜国際合気道会では柄倒しとセットでよくやります。


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