2017.3.25(土) のOB練習会レジュメ案

ブログの転載です。京都大学の合気道部の皆さんと稽古をした時の記録です。

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現時点ではこんなの考えてまーす。と言って、現役のみなさんに事前に提示したものです。思いついたこと全部書いてるので、ここから削って、当日実施しようと考えてます。

OB練習会お品書き(案)
2017/3/21 29代 吉川 聡

1. リクエストにお応えして

1. 1 手の取り方
骨盤動かす体操をした後・・

(1) 手の内を意識して、座って四教
小指と薬指でしっかりつかみに行くのは大前提として、手の角度は親指と人差し指の間の柔らかいところと自分の体の中心軸を合わせるのが基本です。体重を乗せようとしたときに、人差し指のほうに偏って手首の強度がネックになったり、親指のほうに偏って親指の強度がネックになったりしないように。
四教の技は、隣り合って正座して、相手の手を取って相手の肘を頭のほうへやや振っておいてから、前に押さえます。今回はあまりツボを攻めることを意識せずに。
最後押さえるところで、前腕部の骨で支えている体重が自然に相手の手首に伝わってるか意識しましょう。

(2) 片手取りの受け
相手の手を取って、舟漕ぎで吸い込んで、カバが大口を開いてかぶりつくように腰を使って、相手の手首に体重をかけて跪かせるということが、ある程度手首と体ができてくるとできます。体と手の連動の稽古の一つとして。(秘伝:肛門と尿の出口をきゅっと締めると効くらしい)
体験するだけ:袈裟斬りの感じで、斜めにやや回転する動作で崩すのもできそう。相手の手の甲側の橈骨と尺骨の間のツボを攻める感じで。

(3) 体の転換その1
相手の肩口からなぞるようにして、手首をつかみに行きます。最初から手首を狙うと目配りがよろしくないのと、手首、動きやすいのでとらえにくいです。

なお、稽古の趣旨によって手首の取り方はいろいろあります。
? 基本的には相手の手が悪さしないように相手の中心に向かって押さえに行く思いで(今日はこれで稽古)
? 取りの腰を中心に回る力を涵養する目的の時は、しっかりつかんで崩されるまで動かない思いで(相手の練度によって負荷は調整しましょう。力比べではなく、互いに上達することが大切)
? 取られ切らないうちに回るタイミングや間合いを涵養する目的の時は、つかみはやや緩くして、体でついていく受けをしします。柔軟で素早い動作を、受けを通して鍛錬します。あえて、手を開いたままついていく稽古をしたりもします。

1.2 足さばき
 すり足の利点はいろいろありますが、
・足元の状態を確認(段差があったりしない?)
 ・けがの防止(なんか落ちていても足で払って負傷を防ぐ)
 ・弱い床でもご安全に(踏み抜いたりしないでね)
などが挙げられます。取りよりもむしろ足元を見る余裕がない受けの時にこそ、すり足にこだわるべきだと個人的には思っています。
(4) 体の転換その2

受けを取る際、一歩目をなるべく丁寧に(*)すり足で出すことと、足を引く際に広がりすぎないこと(なるべくまっすぐ足を使うこと・・これは取りも同様)を意識してやってみましょう。
(*) 畳が腐りかけてて床がゆるーくなってても、踏み抜かないような気配りで。
※同じような足遣いで、一教や入身投げの受けにつながります。ひいては、取りの時の体の安定的な動きにもつながっていきます(舟漕ぎの応用的な技。後述)

(5) 体の転換から裏の呼吸投げ

転換をして、渦がだんだん小さくなるように歩いて、少ししゃがんで肘を浴びせる呼吸投げ。前へ歩く(かかとを引くのではなくて、つま先を前に出す)のと、肘を体の前に置いて、相手の腕と自分の腕が平行になる位置取りで指先方向へ導く。
受け、できればすり足でついて行ってみましょう。外側の足が大回りするとしんどいです。

※ 足さばきの訓練としては一人稽古がオススメで、メニューとしては
  送り足、歩み足、体の転換、外転換(二度打ちの捌き)、網代の捌き(斜め後ろへジグザグに下がっていくやつ)、それぞれの座り技
 があります。シャドーで「受け」の足捌きを一人稽古するのもオススメ。地味でしんどいですけど、トップスピードを追求するのは一人稽古でないとできないです。

※ 膝を柔らかく使うのが肝要なのですが、いきなり大きな負荷をかけると壊れてしまうので、少しずつ鍛えていきましょう。痛みがなくても、気が付いたときに膝周りの腱や筋肉をケアするとけが防止になります(BOXの「膝痛と腰痛は自分で治せる」という本があって、膝を治すための体操が紹介されています)。

2. 春合宿の師範稽古の復習

(1) 相半身片手取りから四方投げ
舟漕ぎの(「おー」の)要領で相手を吸い込みながら、「心臓を捧げよ」の敬礼の位置を経由して(ここから舟漕ぎの「えい」)お尻の横へ相手の手を導き、目の前にある肘を上げながらくぐって行って四方投げ。

(2) 横面打ち大きく捌いて一教
転身のように相手に踏み込むのではなく、前足を引きつつ相手の打ち手を導き、もう一方の手で窓を開くように相手の手を捌いて(この時点で相手にとって自分は横または後ろ、自分にとって相手は正面というポジションに立っているのを確認しながら)一教へ。
※相手の手を導くとき、「手元を見ないで相手の体勢を見よう」という話を春合宿の稽古中にしましたが、胴体を使う稽古ができてない人は、手が自分の中心線近くにあるのを目で確認しながら胴体を使う稽古をするのを優先したほうが良いことがあります。有効なアドバイスって、段階によって変わります。


(3) 横面打ち大きく捌いて入身投げ
転身のように相手に踏み込むのではなく、前足を引きつつ相手の打ち手を導き、もう一方の手を受けの打ち手に沿って「下ろして」、相手の手を吸い込み、取りのお尻の横まで導きつつ入身。
投げにつながる崩しは受けを追いかけるように。長々と導くときはつま先へつま先へと足を捌く。


(4) 正面打ちから側面入身投げ

組太刀の理合いで相手の中心を制することを意識しながら合わせ、やはり舟漕ぎの「おー」で吸い込み、前足を引きつつ体を開いて相手を導いて側面入身投げ(肘の外側を浴びせる投げ)。
※ 黒帯向け:相手が堪えられるタイミングを外そう。吸い込む動きがなくなると、投げがきつくなります。投げの動作に入っても、あと3センチくらい導く動きを生かしておくと楽に投げられます。たぶん、抜刀の動作(体を開いて鞘を後ろに持っていきながらも、剣を抜いて攻めていく理合い。肩甲骨引っ付ける感じ。)につながるものがあると思います。

3. 5月のOB練習会の予習

(1) 片手取りから転換してしゃがむだけの呼吸投げ

引っ張ったりしないで、入りやすいところへ入ってしゃがむ。

 ・・という技(?)をやりながら、膝を曲げ切ったあたりでの姿勢の制御って昔の人に比べて弱ってるよね、という話をしようと思ってます。
合気道って「相手をやっつける体力をつける」というよりは「持ち前の体力をうまく使う」ことを学ぶのがメインです。でも、昔の人が当たり前に身に着けていた、膝や腰で姿勢をコントロールする力は、弱くなってると感じます。意識して強化していきましょう。

―以上―

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