腕立て伏せの肘

腕立て伏せで休む肘

強いパンチを出すために繰り返しサンドバッグをたたく、というアプローチを、合気道の稽古ではあまりやらない。おおむね、以下のような理由によるものと思う。

・みんなで集まって稽古するので、自分の体作りよりも人との関わりを優先して稽古しよう
・そもそもみんな忙しいので、持ち前の体力で何とかする技術を優先して稽古しよう
・で、あわよくば、人と関わる技術の稽古の中で、ついでに体作りもしていこう
・だから、トレーニングやるなら、基本的には一人でやろう

・・・と、認識している私がたまたま稽古の指導をするときに、3級あたりの、ある程度技の手順を憶えた人を対象に、腕立て伏せをしてもらったりする。3級あたりになると、単に技の手順をなぞるだけじゃなくて、胴体の力を腕を通して相手に伝えることを意識できるといいなぁ、と思いがあるから。

つまり、腕立て伏せで腕力を鍛えるのではなくて、疲れて休んでるときの腕の形を憶えてほしい、というのが趣旨。休むときって、肘が大体150度くらいに開いてて、それで体重の半分を支えてる。たぶんこのくらいの角度が、胴体からの力を一番「楽に」伝えることができる角度なのだと思う。

だから、体の転換で相手を導くときは、大体この角度で肘を使う。一教で抑えて体重をかけるときの肘もこのくらい。ところが一教で下から擦りあげるとき、肘がうんと曲がってしまうことがある。相手の勢いを調整するために一時的に曲がることはあり得ても、胴体の力を活用して抑え込みに行くには、ある程度肘が伸びてないと(できなくはないけど)つらい。

上級者になると、つらい動きもあえて活用して、よりスムーズな流れの中で技をかけることができると思うのだけど、そこに至る過程で、「強い肘」の形を憶える段階を通り過ぎる必要があるんじゃないか、と思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?