マガジンのカバー画像

変貌する東国史を読み解く

6
2021年12月から刊行が始まり、おかげさまで売れ行きも好調な シリーズ『対決の東国史(全7巻)』。刊行前に収録された鼎談を、6回に分けて特別公開いたします。  著者である高橋秀…
運営しているクリエイター

#北条氏

『対決の東国史』刊行記念鼎談 変貌する東国史を読み解く #4 

北関東という地域世界 ―― 今回のシリーズでは、第4〜7巻になると北関東という地域が注目されてきます。北関東の武士団は、北条家得宗(とくそう)時代から、鎌倉の政権に対してはそれほど強い従属意識は持っていないのですか。 木下 鎌倉府時代だと、やはりそこまで強くないと思いますけどね。 田中 一般的に北関東は自立的だったみたいな言われ方をしますよね。 木下 反抗的な武士団もいれば、逆に彼らと対抗するために従属的になる者もいます。 高橋 両極端かもしれないな。だから鎌倉時代だって

『対決の東国史』刊行記念鼎談 変貌する東国史を読み解く #3

列島のなかでの位置づけ 木下 特に足利氏や新田氏は、東国だけでなく全国に基盤を持っています。東国史といわず、全国的な広がりになってしまうので、田中さんの『第3巻 足利氏と新田氏』は描くのが大変だったのではないですか。 田中 おっしゃるとおり、新田氏は九州や西国にも一族が展開して足利氏と争ったので、実際には東国に収まらない対決になりましたね。 高橋 そこがたぶん第1〜3巻と、第4〜7巻との差なのではないでしょうか。東国というエリアだけで見られる時代と、そうではない時代と。  

『対決の東国史』刊行記念鼎談 変貌する東国史を読み解く #1

企画のなれそめ ―― 本日はお忙しいところ、シリーズ『対決の東国史』の刊行記念鼎談にお集まりいただきましてありがとうございます。12月(2021年)から、第2巻・3巻同時配本として刊行開始となりましたが、シリーズのなれそめについてお話しします。2017年ころ、『動乱の東国史』(2012~13年刊行)が発売中でしたが、もう少しコンパクトな内容のシリーズを作りたいと考えました。そうしたところ、田中先生から「各巻のテーマを、主要な二つの武家の関係に絞ったら読みやすくなるのではない