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変貌する東国史を読み解く

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2021年12月から刊行が始まり、おかげさまで売れ行きも好調な シリーズ『対決の東国史(全7巻)』。刊行前に収録された鼎談を、6回に分けて特別公開いたします。  著者である高橋秀…
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2022年7月の記事一覧

『対決の東国史』刊行記念鼎談 変貌する東国史を読み解く #5 

上杉氏の役割 田中 木下さんが書かれた第5巻の主役である上杉氏は、畿内とどのような関係を持っていたのですか。 木下 京都に行った上杉氏が畿内に関わっていますし、山内上杉氏は少なくとも15世紀半ばまでは畿内に所領を持っています。その後、1520〜30年ぐらいまでは京都に四条・八条上杉氏がいます。 ―― 上杉氏というのは犬懸、越後、山内、扇谷と、かなり分散的なイメージがあるのですが、あれは鎌倉の地名にちなんでるのですか。 木下 居住しているという前提なのですが、当時ちゃんと

『対決の東国史』刊行記念鼎談 変貌する東国史を読み解く #4 

北関東という地域世界 ―― 今回のシリーズでは、第4〜7巻になると北関東という地域が注目されてきます。北関東の武士団は、北条家得宗(とくそう)時代から、鎌倉の政権に対してはそれほど強い従属意識は持っていないのですか。 木下 鎌倉府時代だと、やはりそこまで強くないと思いますけどね。 田中 一般的に北関東は自立的だったみたいな言われ方をしますよね。 木下 反抗的な武士団もいれば、逆に彼らと対抗するために従属的になる者もいます。 高橋 両極端かもしれないな。だから鎌倉時代だって