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乱世の闇に忍びの行方を探る 岩田明広
もう半世紀も前の記憶だ。プラスチックの刀の鞘を背に括り、風呂敷を首に巻いて、テレビの「忍者(昭和中期以後の言葉)」になりきろうとした時期があった。母に頼み、鞘を背に負い結んでもらうのだが(恐らくおんぶ紐だったと思う)、家事と弟の世話で忙しい母は、いつも決まって鞘の中央一点で結んでしまった。刀を差すと柄の重みでくるりと廻り、刀が抜け落ちてしまう。幼かった私は何度も差し直すのだが、同じことの繰り返し
もっとみるもう半世紀も前の記憶だ。プラスチックの刀の鞘を背に括り、風呂敷を首に巻いて、テレビの「忍者(昭和中期以後の言葉)」になりきろうとした時期があった。母に頼み、鞘を背に負い結んでもらうのだが(恐らくおんぶ紐だったと思う)、家事と弟の世話で忙しい母は、いつも決まって鞘の中央一点で結んでしまった。刀を差すと柄の重みでくるりと廻り、刀が抜け落ちてしまう。幼かった私は何度も差し直すのだが、同じことの繰り返し
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