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おかえり、ジプシーズ

ライブ: Rock’n’ Roll Gypsies-2021- <A night with Rock’n’ Roll Gypsies> (2021年10月19日、京都・磔磔)

京都・磔磔での無観客・生配信ライブ。ほとんどMC なし、ルースターズ・ナンバーなし、アンコール以外カバーなしのジプシーたちとの一夜。あったのは、ひたすらロックンロール・ジプシーズ、いつものシンプルでご機嫌な彼ら4人の音だった。

馴染みの店に入り腰を下ろすと、こちらが何も言わずとも、寡黙なバーテンダーが表情ひとつ変えずに「いつもの」を目の前にさっと寄越してくれる、そんな感じ。

HPによると1年7ヶ月ぶりのライブ。にもかかわらず、相変わらず聴き手のツボを見事に押さえた直球ストレートのパフォーマンスだったと思う。

今回押さえつけられてしまった「耳のツボ」は、なんといっても下山と花田のギターだろう。終盤の「黒の女」など、下山の独壇場ともいえる場面も多々あったものの(さすが下山!)、やはりロックンロール・ジプシーズは下山と花田、この二人のギターがなければ。単なる下山+花田の足し算ではない、下山x花田の掛け算的相乗効果。もちろんこれは池畑のドラムスと市川のベースというリズム隊の支えがあってこそのものだが。

さらにもうひとつ、がっちり首根っこをつかまれたように釘付けになってしまったのは、配信ならではの絶妙なカメラワークによる「目のツボ」。リズムを口ずさみながらドラムを叩く池畑や、同様に口でリズムをとりながら、まるでギターを歌うように弾く花田の姿をつぶさに見られたのはとてもよかった。普段、こうした細かい表情や所作は客席からは見えないし、ステージのミュージシャンたちがノッてている「絵」を見ると、ギャラリーとしても楽しくなるものである。

また、ツボ云々とは別に印象に残ったのは「Junk! Junk! Junk?」での花田のハープ。左手でハープを支え持ち、残った右手でギターの開放弦を爪弾く姿は、ジプシーズ・リスナー歴の浅い筆者には初めての光景で興味深かった。

最後にアンコールの「夢うつつ」(村八分)。この曲でステージの幕を下ろすのは過去にもあったが、京都で演奏されるのを聴くのはなんとなく格別な気分。冒頭、歌詞が若干荒れ気味だったようだが、そんなことはどうでもよくなるほどの重くうねるグルーヴに只々満足。文句はない。

1年半以上ものブランクを感じさせない達者ぶりを見せてくれたジプシーズ。今回は無観客ではあったが、素直に彼らの復活を喜びたい。今後の活動に期待が高まる。

【A night with Rock’n’ Roll Gypsies】
Frame up Boogie/Truckin’/只の夢/渇く夜/あきれるぐらい/You Won’t Be My Friend/Junk! Junk! Junk?/光/Old Guitar/危険な日常/Till Dawn/黒の女/Lazy Sun//(アンコール)//Let’s Work Together/夢うつつ

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