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拙作『徒然とはいかない喫茶いしかわの日常』を自己出版して考えたこと

 2021年11月1日付で自己出版いたしました。

 これ別に自費出版と書こうとして間違ったわけではありませんよ。
 最近は初期投資しなくても無料で出版できる方法があって、それを自己出版と呼ぶそうなのでそちらを採用しております。

左から『徒然とはいかない喫茶いしかわの日常』『カウンターごしの恋』


 2020年春に「小説家になろう」で『徒然とはいかない喫茶いしかわの日常』という連載を始めて、1年7ヶ月ほど経ちました。

『徒然とはいかない喫茶いしかわの日常【Web版】』

 読者様が小説に期待されているようなストーリー展開する形式ではないので一応短編集と言っているのですが、気付けば100万字を超えており、「それ短編集って言わない」と言われてしまいました(苦笑)

 一話完結型というか四コマ漫画の連載をイメージして同じ人物が出てくる短編を並べているような連載なので、短編集でいいと思うのですが……どなたか適切な分類をご存じではありませんか?
(飛行機あるあるの「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」のトーンで聞いてみたい)

 喫茶いしかわは主人公の本編だけでなくifストーリーとか脇役の話とか、(Web小説には出してないけど)パラレルとかをぽんぽん出してるので、本の虫が期待する小説らしいカタルシスはほぼ存在しません。

 そのかわり、前回までの設定やキャラ名やあらすじを覚えている必要がほとんどありません。だいたい1話あたり2500~4000文字くらいで書いているので、電車1~2駅分で読めるようになってます。
 読みたいけどまとまった時間が取れない、コーヒー1杯分の隙間時間ならなんとか……その隙に気分転換で読みたい、という人向けに書いているので、それでいいかなと。


 そうこうしてるうちに愛着がわいてしまったので、せっかくなら本にしようと思い立ちました。

 普通なら商業出版を目指すと思いますし、私自身も最初はそれを狙いたいなと思いました。
 でも様々な公募で受賞している作品のジャンルなどを見ていると、喫茶いしかわはそこで拾ってもらえる作品ではないなと思い、すっぱりと切り替えました。

 最初は同人誌にすることを考えたのですけれど、販売方法などを考えると二の足を踏んでしまって。

 それよりも一般の本屋で扱えるISBN付きにしたいなと思ってざっくり自費出版について調べていくうちに、さほど費用をかけずとも出版する方法があること、それを自己出版と呼ぶことを知りました。

 そうして作ったのが『徒然とはいかない喫茶いしかわの日常 1』と書きおろしの『カウンターごしの恋』です。
 ちなみに喫茶いしかわ2巻目以降の発行は年明け以降に検討予定です。


https://books.rakuten.co.jp/rb/16939251/?l-id=search-c-item-text-01


 それぞれ出版社を変えて、いろいろ試しながら作ってみました。そのあたりの話はいずれまた。

 自己出版の場合、紙面のサイズは関係なく、1頁いくらで作ることになります。文庫本でもA4でも費用は同じなので、値段設定も一緒です。

 そこで喫茶いしかわは、とても悩みましたが自己出版の割高感を薄めるべくB5サイズで作成しました。そのうちハンディサイズを作ってもいいかなとは思いますが、作っても売れないなら……という思いもあり、そちらのプランはしばらく熟成させるつもりです。

 書式の設定には多少のこだわりを持って。白地は量を読むとチカチカくるのでクリーム地にして、表紙は高級感より丈夫さ優先でコーティングして。
 表紙のデザインは、専用ソフトを持っているわけではないので、格安PCに入ってたソフトで小手先のごまかしをいろいろと。つまり自分にできる範囲で工夫して表紙を作成しました、ということです。
 出版社が出している説明が専用ソフトを持っている人向けのものが多くて、そこはちょっと苦労しましたね。
 自分好みの表紙を作るならちゃんとイラスト描く人とかが使うような専用ソフト揃えたほうがいいのかなと思いつつ、わたし自身はイラスト描ける人ではないので他に使い道ないしな……と。

 それから、十年後、二十年後に老眼になっても読めるように、フォントサイズは大きめ、行間隔は広めに設定しました。
 知り合いのアラカンのお姉さまがたがよく「はなせばわかるー!」って腕をのばしてパンフレット読んだりしてるのを見てたら、ちっこい字でページ数減らすと後で自分が辛くなるなと思ったもので。

 正直「あれしたい」「これしたい」の理想はたくさん湧いてきますけど自分ひとりでできることには限界があるので諦めたこともたくさんあります。
 例を挙げると、今回ほど「絵師兼任できる物書きさんがうらやましい」と思ったことはありません! そういうことです(笑)


 いざ紙の書籍と電子書籍を作ってみて、手に取ったときの喜びももちろんあるのですが、もっとこうすればよかった、みたいな反省点ももちろんあって。
 いざ冊子が届いて改めて読み返して最初の脱字を見つけたときは「あれだけ精査したのに~っ!」と頭抱えましたよマジで。
 喫茶いしかわ1だと約12万4千字で3箇所……かな。今も「他にもあるかも……」とガクブルしてます。
 次回こそは誤字脱字ゼロを達成したいものです。

 それから、やはりと言いますか、売れなさを実感しております。
 商業作家さんや出版社の力ってやっぱりすごいんだなと。

 例えば国会図書館に納めるには、オンデマンド出版の場合15部売れたという実績が必要らしいのですが、このままだとその15部すら達成できそうにないぞと。もう冷や汗モンです。

 そもそも作品が知られてないんだから、即売会(文フリとか)での手売りも検討するべきよねと思うようになりました。
 私の場合、どこなら出してもいいんだろう。そのへんの知識がなさすぎて、ただでさえ亀の歩みなのに、さらに遅いものになりそうです。

 実績として売れてないとかさほど閲覧されてないとか、そういう事実はございますけれど。
 でも、ひとまずできる努力をしてから諦めても遅くない……とは思いたいのです。